フェルスタッペンが貫禄のポールトゥウィン!ベッテル最終レースで10位入賞|F1アブダビGP 2022 決勝結果

荒大 Masaru Ara

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現地時間11月20日、アラブ首長国連邦アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行なわれた2022年のF1世界選手権・第22戦のアブダビGPで、ポールポジションからスタートしたレッドブルのマックス・フェルスタッペンがトップの座を守って優勝。今シーズン打ち立てた1シーズン最多優勝回数の記録を「15」に伸ばしてシーズンを終えた。2位にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が入ってランキング2位の座を獲得。このレースでF1を引退するアストンマーチンのセバスチャン・ベッテルは10位でフィニッシュ。1ポイントを獲得してラストレースを飾った。

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1ストップ作戦完遂。横綱相撲を見せたフェルスタッペン

オープニングラップでカルロス・サインツ(フェラーリ)とポジションを争っていたルイス・ハミルトン(メルセデス)がコースオフするなど、やや荒れ模様となるなか、フェルスタッペンは着実にレースをリードし始める。ここに僚友セルジオ・ペレスが続き、一時レッドブルが1-2体制を築いた。ペレスとルクレールのドライバーズランキング2位争いがこの最終戦の大きな焦点となった。


その後、タイヤが早めに摩耗したマシンが出始め、レースが4分の1ほどが進んだ14周目にランス・ストロール(アストンマーチン)がピットに入ってタイヤ交換を行なう。これを皮切りに、各車がピットへ向かい始め、ほとんどのマシンが最も摩耗しづらいとされる「ハードタイヤ」へ交換した。このまま走りきるか、レース終盤にもう一度別のタイヤに交換するという策が考えられる状態だった。

上位勢では首位フェルスタッペンと2番手ルクレール、さらには3番手のハミルトンがピットインを遅らせ、まずハミルトンがピットへ。続いてフェルスタッペン、ルクレールもピットへ向かい3人ともハードタイヤへ交換を済ませた。

各車がピットインを終えて、フェルスタッペン、ペレス、ルクレールがトップ3を形成し始める。ペレスがフェルスタッペンを追い立て、迫るような場面も起きるのだが、ここでフェラーリ陣営がピットが慌ただしくなり、ルクレールにピットインをちらつかせるような無線を送る。このタイミングでペレスもピットイン。再びハードタイヤへ交換し、順位を下げることとなった。だが、ここでルクレールとフェラーリチームはピットに入らずに走り続ける「ステイアウト」を選択。ここから両者のマッチレースが始まった。

フレッシュなタイヤで追い上げるペレスは、46周目にハミルトンを抜いて3番手まで戻り、なおもペースを上げられないルクレールを追い立てていく。だが、残り3周というところで、周回遅れながらバトル中だったアレックス・アルボン(ウィリアムズ)とピエール・ガスリー(アルファタウリ)に引っかかってしまう。リズムを乱されたペレスが、怒ったかのように右手を上げる仕草も見られた。

そんななかで、タイヤマネジメントをやりきったフェルスタッペンは、むしろ終盤でルクレールを引き離し、最後までポジションを譲らずに優勝。これでアブダビでは3年連続の優勝となった。レース後にチームが発表したコメントでは、「1ストップがうまく機能したし、タイヤマネジメントがすべてだった」と作戦面での充実ぶりを語っている。

ルクレールも2位を守りきってフィニッシュ。この結果、3位でレースを終えたペレスをポイントで3点上回ったことで、今季のドライバーズランキング2位の座を手に入れ、今季独走を続けたレッドブル勢に一矢報いた。これにより、レッドブル勢はチーム史上初となる「ドライバーズランキング1-2」の達成とはならず。ただ、来年以降の達成が待ち遠しくなるような力強さは、十二分に示されたシーズンだったと言えよう。

4度の王者・ベッテルの去り際は華やかに

レッドブル在籍時の2010年からF1で4年連続のドライバーズチャンピオンとなるなど、一時代を築いたベッテル。2007年のアメリカGPでデビューして以来、299レース目となったこの一戦は、レース前から彼を労うムードに包まれた。

スタート前には全ドライバーが花道を作って彼を迎え入れる「ガード・オブ・オナー(Guard of honour)」が行なわれ、かつて王者を争い続けたルイス・ハミルトン(メルセデス)やフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)などと握手やハグをする場面も。さらに、ベッテルがマシンに乗り込んだあと、6歳上で来季も現役を続けるアロンソは再びベッテルのもとへ。言葉を交わし、固い握手を交わした。

9番手でレースをスタートしたベッテルは、ランス・ストロール(アストンマーチン)やダニエル・リカルド(マクラーレン)の先行を許したものの、終盤にハミルトンがリタイアしたことで10位に浮上すると、そのポジションを守ってフィニッシュ。F1でのラストレースで入賞を果たすと同時に、この日のドライバー・オブ・ザ・デイにも選出された。

レース後にはスタンドを埋め尽くしたファンの前で「ドーナツターン」を披露したベッテル。その後、マイクを手にした彼は、改めてファンに向けてメッセージを送った。

「メッセージ、手紙、皆さんからの応援、すべてのサポートに感謝します。(引退は)寂しいことではあるのですが、私のキャリア全体を見ればとてつもなく楽しかったです。ありがとうございました」

第22戦アブダビGP決勝リザルト(順位/ドライバー名/走破周/タイム/獲得点)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)58周 / 1:27:45.914 / 25点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)58周 / +8.771s / 18点
  3. セルジオ・ペレス(レッドブル)58周 / +10.093s / 15点
  4. カルロス・サインツ(フェラーリ)58周 / +24.892s / 12点
  5. ジョージ・ラッセル(メルセデス)58周 / +35.888s / 10点
  6. ランド・ノリス(マクラーレン)58周 / +56.234s / 9点★
  7. エステバン・オコン(アルピーヌ)58周 / +57.240s / 6点
  8. ランス・ストロール(アストンマーチン)58周 / +1:16.931s / 4点
  9. ダニエル・リカルド(マクラーレン)58周 / +1:23.268 / 2点
  10. 1セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)58周 / +1:23.898s / 1点
  11. 角田裕毅(アルファタウリ)58周 / +1:29.371s / 0点
  12. 周冠宇(アルファロメオ)57周 / +1 lap / 0点
  13. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)57周 / +1 lap / 0点
  14. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)57周 / +1 lap / 0点
  15. バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)57周 / +1 lap / 0点
  16. ミック・シューマッハ(ハース)57周 / +1 lap / 0点
  17. ケビン・マグヌッセン(ハース)57周 / +1 lap / 0点
  18. ルイス・ハミルトン(メルセデス)55周 / DNF / 0点
  19. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)55周 / DNF / 0点
  • リタイア(NC)
    • フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)27周 / DNF / 0点

レース終盤でリタイアとなったハミルトンとラティフィだが、レースの90%以上の周回数をすでに走っていたため、それぞれ記録上18位と19位での完走として扱われている。

★:ファステストラップ、1:28.391(44周)

シーズン終了。フェルスタッペンが歴代最多15勝、ハミルトンはなんと未勝利

ドライバーズチャンピオンシップのランキング(スタンディング)は以下の通り。歴代最多のシーズン15勝をあげたフェルスタッペンが、ルクレールに大差を付けたかたちに。そして、アブダビGPでリタイアとなったハミルトンは、F1でのキャリア16年目にして初めて、ポールポジションと優勝なし。ランキング最終順位は6位だった。

サインツは昨季と同じランキング5位でシーズンを終えたが、昨シーズンより80点以上獲得ポイントを増やしてみせた。唯一の日本人ドライバーであるアルファタウリの角田裕毅は、最終レースでは惜しくもポイント圏内に届かぬ11位で終幕。昨シーズンよりポイント、順位ともにダウンとなった。来季の奮起を期待したい。

ドライバーズランキング(シーズン終了)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)454点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)308点
  3. セルジオ・ペレス(レッドブル)305点
  4. ジョージ・ラッセル(メルセデス)275点
  5. カルロス・サインツ(フェラーリ)246点
  6. ルイス・ハミルトン(メルセデス)240点
  7. ランド・ノリス(マクラーレン)122点
  8. エステバン・オコン(アルピーヌ)92点
  9. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)81点
  10. バルデリ・ボッタス(アルファロメオ)49点
  11. ダニエル・リカルド(マクラーレン)37点
  12. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)37点
  13. ケビン・マグヌッセン(ハース)25点
  14. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)23点
  15. ランス・ストロール(アストンマーチン)18点
  16. ミック・シューマッハ(ハース)12点
  17. 角田裕毅(アルファタウリ)12点
  18. 周冠宇(アルファロメオ)6点
  19. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)4点
  20. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)2点
  21. ニック・デ・フリース(ウィリアムズ)2点
  22. ニコ・ヒュルケンベルグ(アストンマーチン)0点

コンストラクターズランキングも決着。フェラーリがメルセデスを引き離して、2位のままシーズンを終えた。また、中団争いではアルファロメオとアストンマーチンが同点でフィニッシュ。シーズン中の最高成績でランキングが決まるとされており、エミリア・ロマーニャGPで5位を記録していたアルファロメオが6位、3回の6位入賞が最高成績だったアストンマーチンが7位となっている。

コンストラクターズランキング(シーズン終了)

  1. レッドブルレーシング・RBPT 759点
  2. フェラーリ 554点
  3. メルセデス 515点
  4. アルピーヌ・ルノー 173点
  5. マクラーレン・メルセデス 159点
  6. アルファロメオ・フェラーリ 55点
  7. アストンマーチン・アラムコ・メルセデス 55点
  8. ハース・フェラーリ 37点
  9. アルファタウリ・RBPT 35点
  10. ウィリアムズ・メルセデス 6点

オフシーズンも随時コラム更新

スポーティングニュース日本語版では、オフシーズンもF1にまつわるコラムの更新を予定している。来シーズンに向けた話題や、過去のF1にまつわる雑学的なもの、F1初心者という方から、玄人の皆さんでも思わず頷くような内容まで幅広く取り扱う予定だ。ぜひオフシーズンの楽しみとしていただきたい。

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荒大 Masaru Ara

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茨城大学卒。福島県内のテレビ局で報道記者を務めたあと、web編集者を務めた2019年からモータースポーツの取材を行う。2020年に独立後、Bリーグの取材を開始し、現在は記事執筆のほか動画コンテンツの編集などで活動中。