フェルスタッペンが年間王者2連覇達成も短縮レースの獲得点解釈で混乱|F1日本GP2022決勝結果・順位・ランキング

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

フェルスタッペンが年間王者2連覇達成も短縮レースの獲得点解釈で混乱|F1日本GP2022決勝結果・順位・ランキング image

F1(フォーミュラ1)世界選手権の2022年シーズン第18戦となる日本グランプリ(GP)の決勝は、9日(日)14時から三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで行われ、雨による長時間中断がありながらも、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝。短縮レースにおける獲得点の解釈で混乱はあったものの、年間王者2連覇も確定した。3年ぶりの開催となった日本GP決勝の順位、年間王者確定となった理由、レース後のランキングポイントを紹介する。

▶F1を観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

第18戦日本GP決勝:前が見えない水しぶき! 雨で約2時間半中断

2019年以来、3年ぶりの日本GPのオープニングセレモニーには岸田文雄総理大臣が来場。声優で歌手の水樹奈々さんの君が代斉唱を終えた時点から雨脚は強くなり始めた。予選とは打って変わってウエットコンディションとなり、全車インターミディエイトタイヤでフォーメーションラップを走ったが、路面状況は見るからにシビアだった。ピエール・ガスリー(アルファタウリ)はパルクフェルメ違反でピットレーンスタートになった。

スタート直後、水しぶきをあげてのファーストコーナーの競り合いは2番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)がインから攻めるも、ポールのフェルスタッペンがアウトから被せるようにリードを奪い返した。しかし、水しぶきでまったく視界が効かない状況になり、その後方ではフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)に接触されたセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)がスピン、周冠宇(アルファロメオ)は単独でのスピンを被るも、それぞれコースに復帰した。一方、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)はエンジントラブルでコース外にストップしており、こちらはリタイアとなった。

さらにカルロス・サインツ(フェラーリ)がターン12でウォールにクラッシュしリタイア。その際に吹き飛んだROLEXの看板が、後方から来たガスリー車のノーズに乗り上げる状態になり、セイフティーカー導入が決まった。さらに視界を失うほどの高さにおよぶ水しぶきが懸念され、赤旗発動により、わずか2周目でレースがストップした。

一旦は14:50からセイフティーカー先導でのローリングスタートが決まり、全車ドライバーが再搭乗し、フルウエットタイヤで準備に入ったものの、雨脚が弱まることはなく、路面確認を受けてリスタートは延期に。3周目開始を待つ間にレース終了カウントダウンも開始されるなか、ドライバーやスタッフは我慢強く待つ鈴鹿の観客たちに手を振るなど束の間の交流を行っていた。

赤旗から約2時間半が過ぎ、雨脚が弱まったところで16:15にようやくローリングスタートが始まり、強制終了まで残り40分を切るなか、6周目からレースが再開された。

第18戦日本GP決勝:フェルスタッペンが圧勝、ルクレールの自爆でペレスが2位に浮上

スプリントレースの様相となったことで、ミック・シューマッハ(ハース)以外は一斉にウエットタイヤからインターミディエイトに履き直し、急激にペースアップ。フェルスタッペンは2番手のルクレールにファステストを塗り替えられたものの、トップを維持したまま徐々に差を広げていった。3番手のセルジオ・ペレス(レッドブル)がルクレールに徐々に迫る後方では、エステバン・オコン(アルピーヌ)がルイス・ハミルトン(メルセデス)の猛追を抑え込む熾烈なバトルが展開された。

しかし、40分は短く、28周でレース終了となり、27.066秒差をつけてトップを快走したフェルスタッペンの日本GP初制覇が決まった。ルクレールはペレスとの激しい攻防戦を演じたが、ファイナルラップでのホームストレート直前、ターン16で不意のショートカットを行ってしまったことで5秒ペナルティとなり、3位が確定。これによりペレスが2位に浮上し、レッドブルのワンツーフィニッシュとなった。

最終的なファステストラップは16位の周冠宇による20周目1:44.411(10位以下のため無得点)だった。鈴鹿ラストランのベッテルは6位、日本人F1ドライバーの角田裕毅は、13位で初凱旋レースを終えた。

第18戦日本GP決勝:得点巡る混乱はあったもののフェルスタッペンが年間王者2連覇

そして、勝利者インタビュー中にルクレールの審議結果が伝えられ、F1公式はフェルスタッペンの年間王者2連覇をアナウンスしたのだが、このアナウンスは混乱を呼んだ。

53周中の52%になる28周で終わった今レース、75%以上のレース距離に満たければ獲得ポイントが減点され、年間王者確定は持ち越しと考えられていたことから、フェルスタッペン自身やチームまでもが戸惑ったものの、FIA担当者によると、それは「レースが再開されなかった場合」であり、今回は「レース再開されたことからフルポイント配給」となり、ルクレールの3位降格によって(ドライバーズポイント8点差以上がつき)、フェルスタッペンの年間王者が確定したのだという。

思わぬタイミングで年間王者決定の気分を聞かれたフェルスタッペンは、「今年は良いレースができた。みんなが全力を尽くしてくれた」と話し、エンジンを提供するホンダにも感謝した。年間王者2連覇についても「2度目は嬉しいね」と喜んだ。

第18戦日本GP決勝リザルト(順位/ドライバー名/走破周/タイム/獲得点)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)28周 / 3:01:44.004 / 25点
  2. セルジオ・ペレス(レッドブル)28周 / +27.066s / 18点
  3. シャルル・ルクレール(フェラーリ)28周 / +31.763s / 15点
  4. エステバン・オコン(アルピーヌ)28周 / +39.685s / 12点
  5. ルイス・ハミルトン(メルセデス)28周 / +40.326s / 10点
  6. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)28周 / +46.358s / 8点
  7. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)28周 / +46.369s / 6点
  8. ジョージ・ラッセル(メルセデス)28周 / +47.661s / 4点
  9. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)28周 / +70.143s / 2点
  10. ランド・ノリス(マクラーレン)28周 / +70.782s / 1点
  11. ダニエル・リカルド(マクラーレン)28周 / +72.877s / 0点
  12. ランス・ストロール(アストンマーチン)28周 / +73.904s / 0点
  13. 角田裕毅(アルファタウリ)28周 / +75.599s / 0点
  14. ケビン・マグヌッセン(ハース)28周 / +86.016s / 0点
  15. バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)28周 / +86.496s / 0点
  16. 周冠宇(アルファロメオ)28周 / +87.043s / 0点★
  17. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)28周 / +88.091s / 0点
  18. ミック・シューマッハ(ハース)28周 / +92.523s / 0点
  • リタイア(NC)
    • カルロス・サインツ(フェラーリ)0周 / DNF / 0点
    • アレックス・アルボン(ウィリアムズ)0周 / DNF / 0点

★:ファステストラップ、1:44.411(20周)

ついにフェルスタッペン連覇、コンストラクターもほぼ確定か

フェルスタッペン(366点)の年間王者が確定したことで、日本GP決勝終了後のドライバーズランキング(スタンディング)は、2位以下の争いが注目となるだろう。ルクレールじゃ「自爆」によってフェルスタッペンの年間王者確定を招いたうえ、ペレスにも1点差(253点)で抜かれ、3位に後退(252点)。4位ラッセルは4点追加(207点)、5位サインツはリタイアで無得点(202点)となっており、ハミルトンが180点で迫ってきている。無得点の角田は17 位(11点)で変化がなかった。

ドライバーズランキング(日本GP後)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)366点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)253点
  3. セルジオ・ペレス(レッドブル)252点
  4. ジョージ・ラッセル(メルセデス)207点
  5. カルロス・サインツ(フェラーリ)202点
  6. ルイス・ハミルトン(メルセデス)180点
  7. ランド・ノリス(マクラーレン)101点
  8. エステバン・オコン(アルピーヌ)78点
  9. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)65点
  10. バルデリ・ボッタス(アルファロメオ)46点
  11. ダニエル・リカルド(マクラーレン)29点
  12. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)24点
  13. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)23点
  14. ケビン・マグヌッセン(ハース)22点
  15. ランス・ストロール(アストンマーチン)13点
  16. ミック・シューマッハ(ハース)12点
  17. 角田裕毅(アルファタウリ)11点
  18. 周冠宇(アルファロメオ)6点
  19. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)4点
  20. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)2点
  21. ニック・デ・フリース(ウィリアムズ)2点
  22. ニコ・ヒュルケンベルグ(アストンマーチン)0点

コンストラクターズ(チーム)ランキングは、首位レッドブルの619点に達し、同部門タイトルもほぼ手中に収めた状況だ。大きな動きとしてはオコンとアロンソの奮闘により、アルピーヌ(143点)がマクラーレンを抜いて4位(130点)に浮上した。

コンストラクターズランキング(日本GP後)

  1. レッドブルレーシング・RBPT 619点
  2. フェラーリ 454点
  3. メルセデス 387点
  4. アルピーヌ・ルノー 143点
  5. マクラーレン・メルセデス 130点
  6. アルファロメオ・フェラーリ 52点
  7. アストンマーチン・アラムコ・メルセデス 45点
  8. ハース・フェラーリ 34点
  9. アルファタウリ・RBPT 34点
  10. ウィリアムズ・メルセデス 8点

次戦は今季2度目の米国開催

次戦は5月のマイアミGPに次ぐ、2度目の米国開催となるテキサス州オースティンでのアメリカGP。時差の関係で日本時間では全日朝の時間帯となり、10月22日(土)朝4:00からのFP1で開幕し、予選は10月23日(日)朝7:00、決勝は同24日(月)朝4:00スタートとなる。

日本国内向けの中継はフジテレビNEXT(CS放送・ネット配信)、DAZN(ネット配信)で有料視聴できる。

▶F1を観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。