フィギュアスケートの北京五輪代表最終選考会を兼ねる全日本選手権(埼玉県・さいたまスーパーアリーナ)は、12月26日夜、男子フリースケーティング(フリー)が行われ、五輪2連覇の羽生結弦が今季最高点で圧巻の優勝を果たし、北京五輪への切符を手中にした。2位は平昌五輪銀メダルの宇野昌磨、3位はローザンヌユース五輪金の鍵山優真だった。
12月24日、252日ぶりの実戦となる全日本選手権のSPで、国際スケート連盟(ISU)非公認ながら今季世界最高得点の111.31点でトップ発進となった羽生。国内ではおそらく今季最後になると想定される羽生の演技を観るため、多くのファンがさいたまスーパーアリーナに詰めかけた。
注目されるのは、実戦では世界でもまだ誰も成功したことがないクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)の完成度だ。羽生は23日の公式練習では回転不足ながら3度目で片足着氷に成功していたものの、25日の公式練習では納得の行く形にならなかった。フリー本番当日の練習でもトライしたが、やはり回転が抜けるなど完成度に不安が残った。
SP順位通り、順当な結果がでるなか、成長著しい鍵山が最後のトリプルアクセル以外、見事な形のジャンプを次々に決めると、197.94点で合計292.41点で表彰台確定のスコアをマーク。平昌五輪銀メダリストの宇野が4回転トーループでの転倒による減点で193.94点となり鍵山に及ばないながらもSPとの合計で295.82点を計上し、この時点で1位をキープした。
鍵山のエネルギッシュな演技と、宇野の転倒からの見事な立て直しの妙味が印象に残るなか、最終出走となった羽生が登場。プログラムは「天と地と」だ。冒頭、注目のクアッドアクセルは両足着氷で人類初成功はお預けとなるも、4回転サルコーを皮切りに華麗に決めると、後半も怒涛の3連続トーループコンビネーション、トリプルアクセルも隙のない出来栄え。
ジャンプ以外もしなやかなステップなど構成面でも丁寧な演技をみせ、4回転半への挑戦とはまた別にプログラム自体を進化させて、ISU非公認ながら今季フリー最高点となる211.05点を獲得。合計322.36点を叩き出し、2年連続6度目の全日本制覇。北京五輪出場を内定させた。
中継内のインタビューでは、「正直ほっとしています」と話し、練習の時点からあと何度この景色がみられるのかと反芻したという。感極まり、声をつまらせる場面もあった。
11月上旬、グランプリ(GP)シリーズのNHK杯前の練習中に右足関節靱帯(じんたい)損傷が発覚。回復が間に合わずロシア杯(ソチ)も欠場し、全日本に絞って一発勝負に挑むと、羽生らしい土壇場での強さをみせ、北京五輪で自身3度目の五輪出場を掴んだ。狙うは男子では1920年アントワープ大会のギリス・グラフストローム(スウェーデン)以来94年ぶりとなる五輪3連覇だ。
明日27日には大会上位者や日本代表クラスのスケーターたちによるエキシビション「メダリスト・オン・アイス」が15時45分から行われる。中継は地上波フジテレビ系列で行われる。
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