大学限定スニーカーを転売した選手13人の処分は、妥当だったか?

Mike DeCourcy

大学限定スニーカーを転売した選手13人の処分は、妥当だったか? image

ノースカロライナ大学のフットボールチームは、同校が提供しているエア・ジョーダン3を販売したことによりNCAA(全米大学体育協会)の規則を破ったとして、選手13名を処分した。その一件に対する反応は大方、予想通りのものだった。

ツイート訳:

ノースカロライナ大学は20年間にわたって、フットボールやバスケットボール選手たちのためにフェイククラス(架空の授業)を作って(選手たちの成績を水増しして)いた。

NCAAの反応:オー、大した問題じゃない。

ノースカロライナ州の選手13人が、チームから提供された限定版エア・ジョーダンを売っていた。

NCAAの反応:何だって! 罰則だ!

AFAM(アフリカ&アフリカ系アメリカン学部)における不正行為を含む、この大学の長年にわたる違反行為は、多くの人たち、特にノースカロライナ大学のライバル校を納得させてはいない。

そして、NCAAが学生アスリートたちの懐事情を制約していること、特に選手たちが名前や写真、肖像権などを販売することを禁じていることに対する真っ当な批判を受けて、譲歩の姿勢を見せていることは驚くべきことではない。

しかし、この2018年において、あまりにも多くの人がソーシャルメディアでNCAAを批判したのは驚くべきことだった。その人たちは、ノースカロライナ大学のフットボール選手たちがこのような形でお金を稼ぐことを、NCAAが禁止することに反対した。選手たちは働くこともできず、ときに空腹で、スポーツをする以外は何のお金も学校から与えられていない、と言うのだ。

たとえば、かつてスーパーボウルを制しラインバッカーとして3度オールプロに選ばれている元NFLのスター、セス・ジョイナーはこう言っている。

ツイート訳:この子たちは実家を離れて5か月間、1日3食で暮らすだけのお金しかないんだ! 僕らは皆映画だって見たいし、デートに行きたいし、スナックも買いたい! そのためにお金が欲しい! 彼らにもう少しお小遣いをあげるか、そうでなければ似たような事件がまた起こるはずだ!

学生アスリートにお小遣いをあげるべきだという彼の主張は、もちろん正しい。問題は、この後のツイートで彼が「NCAAが選手たちはいつ破産しても良い、と考えているのは馬鹿げている」と述べたことだ。NCAAは2015年に、アスリートの学費支援を認めるルールをすでに作っている。

2016年、この支援金は最高でシンシナティ大学の6082ドル、最低でマサチューセッツ大学アマースト校の1600ドルだった。ノースカロライナ大学では、この支援金は選手たちの住居と交通費に応じて個別に計算されるが、大学によると2016年から2017年度にかけて、フットボール選手たちの平均受給額は3177ドルだった。

つまり、選手たちはお小遣いをもらっているのだ。処分された13人は単に、もっと欲しがっただけなのだ。学校から提供されたシューズを売ってはいけない、もしバレたら処分される、とわかっていたに違いないにもかかわらず。

しかし、ジョイナーの認識が間違っていたのはこれだけではない。

学生アスリートたちは、1日の食事が3食に制限されてはいない。2014年、NCAAはディビジョン1部の選手たちは「無制限の食事とスナック」を享受できるというルールを通した。何も塗られていないベーグルはただのスナックだが、クリームチーズを挟んだベーグルはご馳走だ、なんて古い議論はもう通用しない。選手たちは今や、ルールの範囲内でそのどちらも享受できるのだ。

間違った認識を持っていたのは、ジョイナーだけではない。スティーブ・スコットというツイッターユーザーも「お小遣い」の必要性を主張したが、選手たちはもうもらっているのだ。

ツイート訳:クォーターバックの選手を含むノースカロライナ大学のフットボール選手たちが、学校から提供されたナイキの靴を売って処分された。彼らはこれがいけないことだとわかっていて、おそらく少しばかりお金を必要としていたのだろう。大学とNCAAがこの選手たちによって荒稼ぎできることは、誰もが知っている。彼らにお小遣いをあげたらどうなんだ。

そして元メンフィス・タイガースの選手ドク・ホリデーは、NCAAが「選手たちは学期中、働いてはいけない」というルールを設けていることについて批判した。ESPNのトニー・コーンハイザーも、大体同じようなことを言っていた。

しかし、このルールは10年以上も前にとっくに終わっている。選手たちは自身の競技におけるパーソナルコーチとして働くことが、法で認められている。報酬が妥当な金額で、レッスンはキャンパスの施設外で行うという条件付きで。

NCAAが選手たちの名前や写真、肖像権の販売を禁じていることに対する批判には、納得の余地がある。もっとも、最たる障壁となっているのは、この件に関する裁判が今も行われていることだと思われるが。

しかし、もし選手たちが自身の肖像権を得たからと言って、彼らが靴を売らなかったとは限らない。なぜなら、彼らはすでにお金と無制限の食事を受け取っており、望みさえすればアルバイトもできるからだ。

今回の一件に関して、議論の余地はない。明らかに、この問題は「何でもない」ことではないのだ。

原文:Don't blame NCAA for UNC football players' shoes suspensions
翻訳:Muneharu Uchino

▶スポーツ観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

Mike DeCourcy

Mike DeCourcy Photo

Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.