ロマゴンとの10年越しの因縁対決を制したエストラーダ 井岡一翔、井上尚弥との対戦にも興味

杉浦大介 Daisuke Sugiura

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現地時間12月3日(日本時間4日昼)、米アリゾナ州グレンデールのデザート・ダイアモンド・アリーナで、ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)が、「ロマゴン」の愛称で知られるローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に2-0の判定勝ちを収めた。2021年3月の第2戦に続く勝利で、積年の宿敵とのトリロジーに勝ち越した。

試合後には、12月13日にバンタム級4団体統一戦を控える井上尚弥や、自身と同じスーパーフライ級の井岡一翔との対戦にも興味をみせた。現地取材を行ったスポーツライター・杉浦大介氏が、勝者エストラーダの一問一答を伝える。

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10年越しトリロジーを制したエストラーダ、将来の対戦候補に井上尚弥、井岡一翔の名も

ローマン・ゴンサレスに2-0判定勝利を飾ったファン・フランシスコ・エストラーダ、試合後の会見での一問一答。

――メキシコのボクシング史に残る重要な勝利を挙げた。

「すごい試合でした。トリロジー(三部作)は終わりましたが、できれば(ゴンサレス)4戦目を行いたいです。ただ、(勝利という)結果は嬉しいです。いい仕事ができました。高地での練習でいい準備ができたおかげで、前に進めたのです」

――1人が114-114でドローと採点したことに関してどう思うか。

「真実は皆さんが見たはずです。重要なのは私が勝ったこと。はっきりと勝ったのに、どうしてあの採点が出たのかはわかりませんが、勝ちという結果が重要なのでよかったです。ジャッジは私の勝利と見ましたし、私は明らかに勝ったと思いました」

――ゴンサレスと計36ラウンドを戦ったが、昨年、ダラスで行った第2戦と今回ではどんな違いを感じたか?

「3戦とも同じで、彼は強かったです。今日は私たちのフィジカルの準備が身を結びましたが、彼の行く手にもまだ長い道が広がっていると思います。彼はもう終わりだという人もいますが、私はそう思わないですし、偉大なファイターです。4戦目の実現を願っています」

――トリロジーを終えたことについて。

「3試合の素晴らしい戦いが終えました。ただ、周囲が4戦目を望むなら、それに値すると思います。そうならないのであれば、ほかの王者との統一戦が希望です。道はまだ続いていくと思っています」

――今夜は11ラウンドより12ラウンドの方がいい戦いをした。

「ラウンドごとが勝負でした。彼にはどのラウンドも勝たせないつもりでしたが、彼もいくつかを制しました。本当にすごい選手です。私の方が大多数のラウンドを制することができて、それが大事なこと。人々は『ガヨ!ガヨ!』と私の名(愛称)を呼んでくれたことがモチベーションになり、前に進めました」

――今では父親になったこともモチベーションになったのか。

「すべての親にとってベイビーがいることはモチベーションになります。私にとっても大きなモチベーション。家族と1か月半も離れ、高地で過ごした練習時でさえもそれは同じでした。もちろん試合にも家族、子供のために勝つつもりで臨み、実際に勝利を手にしたのです」

――統一戦が実現できなかった場合、階級を上げて『モンスター』井上尚弥と戦うことも考えるか。

「もちろん井上とも対戦したいですが、現在、より興味があるのは(スーパーフライ級の)統一戦の方です。フライ級時代からそれが目標であり、今でも同じ。スーパーフライ級の体重を作るのは私にはまだ難しくはありません」

――過去10年、ゴンサレス、カルロス・クアドラス(メキシコ)、シーサケット・ソールンビサイ(タイ)というライバルたちに合計5勝2敗。

「やってきた仕事に価値があったということなので、この結果にハッピーです。トレーニングキャンプは厳しいものでしたが、勝てたのはそのおかげ。これらの勝利のおかげで名誉の殿堂に入れるかもしれないですし、メキシコのボクシングの歴史にも名を刻めます。ただ、私の前にはまだ長い道が広がっています」

――今月末、日本で同じ階級の王座統一戦を行う井岡一翔、ジョシュア・フランコの印象は。

「(井岡は)私の記憶が確かなら4階級を制した偉大な選手です。フランコも上り調子の好ボクサー。私はどちらとでも戦います。フライ級時代から井岡との戦いを望んでいましたが、まだ実現していません。彼と統一戦ができることを願っています」

――ゴンサレスはまだ今後について明らかにしていないが、引退か、現役続行か、どうすべきと思うか。

「ゴンサレスがどうするつもりなのかはわかりません。ただ、私は彼ならまだ多くの好ファイトを戦えると思っていますし、(問われたなら)戦い続けることを勧めます」

――スーパーフライ級を統一できたとしたら、ゴンサレスとのトリロジーに勝ち越せたことと、どちらが価値が大きいと思うか。

「2つの異なった偉業だと思います。もちろん統一王者になりたいですし、そうすれば間違いなく名誉の殿堂に入れるでしょう。(ゴンサレスとの3戦も)この10年間で最も重要なトリロジーのはずなので、ボクシングの歴史に刻まれるはずです」

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杉浦大介 Daisuke Sugiura

杉浦大介 Daisuke Sugiura Photo

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。