寺地拳四朗と中谷潤人、2階級差の日本人王者対決が実現するのかを元リング誌記者が大胆考察

Tom Gray

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9月18日(月・祝)に開催される『Prime Video Presents Live Boxing 5』でタイトル防衛戦に挑む2人の日本人チャンピオン、寺地拳四朗と中谷潤人。ライトフライ級とスーパーフライ級で戦う両者のウェイト差はわずかに7パウンド(3.18kg)ということもあり、この2人が拳を合わせたら…と妄想するボクシングファンも少なくないだろう。

今回は、名門『The Ring』誌(リングマガジン)出身で本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが2人のチャンプによる対決の可能性を考察する。

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世界が期待する新たな日本人対決

9月18日、寺地拳四朗中谷潤人はそれぞれ、東京・有明アリーナで世界タイトル防衛戦に臨む。この2戦は、Amazonプライムビデオでの独占ライブ配信がされる。

WBAスーパー・WBCおよび『The Ring』誌の世界ライトフライ級王者である寺地は、WBAで過去2階級を制覇してきた35歳の元王者ヘッキー・ブドラー(南アフリカ)と対戦する。この一戦、挑戦者の実力は間違いないが、多くの予想は圧倒的に寺地優位とみられ、寺地がベテランのブドラーを破り、さらなる飛躍を遂げると考えられる。

一方、中谷はWBO世界スーパーフライ級王座の初防衛戦を、メキシコのアルヒ・コルテスと戦う。中谷は、5月のアンドリュー・モロニー戦での鮮烈なKO劇が『The Ring』誌のノックアウト・オブ・ザ・イヤー候補にも挙げられている25歳の新鋭王者だ。そんなハードパンチャーにコルテスが太刀打ちできるとは、その戦績を見る限り考えにくい。

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現在の日本ボクシング界における最大のスターは、PFP(パウンド・フォー・パウンド)でも屈指のファイター井上尚弥であることは疑いないが、寺地と中谷、そして4階級制覇王者の井岡一翔の3人もまた、井上に匹敵する存在だ。

そこで、寺地と中谷が今回の防衛戦にそれぞれ成功したあとの「もしものケース」として、日本人王者が直接対決に挑む可能性はあるのか、考えてみたい。

寺地 vs. 中谷が実現するための条件は?

両者の対戦を「今のタイミング」で実現する前提でいくと、まず問題となるのがウェイト差だ。寺地(108ポンド=48.9kg)と中谷(115ポンド=51.2kg)のウェイト差は2階級、7ポンド(3.18kg)の差ということを考えれば、中間の112ポンド(50.8kg=フライ級)でのキャッチウェイトが唯一の実現可能なオプションと言えそうだ。

寺地は現在31歳、キャリアを通じてライトフライ級で戦っており、その肉体は成熟したステージにある。筋肉をつけるのには問題はないだろうし、(減量が普段より楽になる)112ポンドまであげることはパフォーマンス的にプラスに働く可能性もある。

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対する中谷のウェイトは115ポンド、昨年4月まではフライ級のチャンピオンでもあった。現在25歳と若い中谷であれば無理なく112ポンドまでウェイトを落せるだろうが、そのためのタイムリミットは刻一刻と迫っている。

サイズ的にみると、身長では中谷(172cm)の方が寺地(165cm)よりも約7cm高く、リーチでも8cm近いアドバンテージがある(中谷170cmと寺地162cm)。これらは無視できない数字ではあるが、これまでのボクシング史のキャッチウェイトファイトを振り返れば、もっと大きな差が出た試合はあった。

だが、この試合の実現に向けた最大の障壁は、それぞれの階級に魅力的な対戦相手が控えていることだろう。

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『アメージング・ボーイ』の異名をとる寺地は、あと2本のベルトを手に入れれば、ライトフライ級史上初の4団体統一王者となる。過去にはIBF王者のシベナティ・ノンティンガ、WBO王者のジョナサン・ゴンサレスとの対戦についても言及しており、寺地がこの偉業達成を狙っていることは間違いない。

寺地に比べると、中谷の4団体統一王座への道のりはまだ遠いが、スーパーフライ級には前述の井岡(WBA王者)やフアン・フランシスコ・エストラーダ(WBCおよび『The Ring』誌王者)、フェルナンド・マルティネス(IBF王者)、チョコラティートことローマン・ゴンサレスなど、ボクシング界で注目を集める選手が揃っている。

寺地 vs. 中谷戦が魅力的なことは違いないが、実現に至るにはいくつものハードルがあるのも確かだ。しかし、階級の違う王者対決は実現し得るものである。9月30日、スーパーミドル級4団体統一王者カネロ・アルバレス vs. スーパーウェルター級4団体統一王者ジャーメル・チャーロという、2階級差王者同士のメガマッチが実現する(試合はスーパーミドル級4団体統一戦)。

だから、今はただ期待して待っていよう。この世のなかは、しばしば不思議なことが起こるものだ。

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※本記事は国際版記事(著者Tom Gray)を翻訳し、日本向け情報を追記・編集した記事となる。翻訳・編集:石山修二、編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁
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Tom Gray joined The Sporting News in 2022 after over a decade at Ring Magazine where he served as managing editor. Tom retains his position on The Ring ratings panel and is a full member of the Boxing Writers Association of America.