ジャーメル・チャーロ vs. テレンス・クロフォードは実現するのか|カネロ戦後に期待される未来のメガファイト

Daniel Yanofsky

角谷剛 Go Kakutani

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スーパーウェルター級4団体統一王者ジャーメル・チャーロは、日本時間10月1日にスーパーミドル級4団体統一王者カネロ・アルバレスを撃破し、お互いが長年ライバル視するテレンス・クロフォードとの対決実現を狙っている。

この未来のメガマッチの背景や、実現を阻む障壁はどんなものなのか、本誌格闘技部門エキスパートのダニエル・ヤノフスキーが解説する。

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カネロ戦後の宿敵対決を見据えるジャーメル・チャーロ

ジャーメル・チャーロはスーパーウェルター級の4団体統一王者でありながら、パウンド・フォー・パウンド上位にはランクされていない。もし9月30日(日本時間10月1日)のカネロ・アルバレス戦でスーパーミドル級4団体統一王者の座を奪えば、もちろん状況は一変するだろう。

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その後は?『Iron Man』(鉄人)の異名を持つチャーロには、大きな未来が広がるはずだ。ボクシング界最強の座を狙うこともできるようになる。それも複数の階級にまたがってである。

33歳のチャーロは、ラスベガスのT-モバイル・アリーナで4階級制覇王者のカネロと戦うために2階級上の試合に挑む。チャーロがこの会場でメインを張るのは初めてのことだ。カネロにとっては馴染みのある会場である。+288で不利とされている(9月21日付『Sports Interaction』でのオッズ)チャーロだが、スーパーウェルター級を制圧した実績通り、このメキシコの戦士を倒すための技術は身につけている。

もしカネロを下せば、チャーロはもうひとりの4団体統一王者に目を向けるかもしれない。ウェルター級の帝王であるテレンス・クロフォードとリング上で雌雄を決し、未対決のまま熟成されてきたライバル関係を終わらせることだ。

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老舗スポーツ専門誌『Sports Illustrated』によると、『Showtime Sports』に出演したチャーロは次のように語っている。

「俺はあわてる必要はないかもしれない。クロフォードとはミドル級で戦うかもしれない。別の階級かもしれない。クロフォードはメガファイトを望んでいるし、俺はそれに相応しい相手だからだ。テレンス・クロフォードの名前だけではメガファイトは作れない。俺なら可能だ」

「カネロを倒して、その王座を奪えば、そのときは俺がスーパーミドル級の4団体統一王者だ。その次にジャーメル・チャーロが何をするか、皆が知りたいはずだ。確かにクロフォードはスーパーライト級とウェルター級で4団体統一王者になったけど、少し時間をかけ過ぎた。だから俺と戦いたいはずだ。カネロ戦を見たら、気が変わるかもしれないけどね」

クロフォードはスーパーウェルター級より1階級下、スーパーミドル級より3階級下にいる。だが、エロール・スペンス・ジュニアを倒してウェルター級の4団体統一王者になったあと、クロフォードはリングサイドで試合のオブザーバーを務めていたチャーロに対戦を呼び掛けた。

私たちは「チャーロ vs. クロフォード」をこの眼で見ることはできるだろうか。

チャーロ vs. クロフォード実現を阻むいくつかの障壁

どうやら2人は互いに激しい敵愾心を抱いているらしい。試合を実現させるためには完璧な条件だ。

『DAZN』によると、『The Porter Way Podcast』に出演したクロフォードは、「私はジャーメルが好きではない。私の目には、いかさま野郎に見える」と嫌悪感を露わにしていた。

「ジャーメルは注目を引くために大口を叩くタイプのように思う。ジャーメルと兄のジャーモールとは以前はよい関係だった。私が階級を上げるまではね。彼らはエロールと同じコーチの下で練習する仲間だった。それ以来、(ジャーメル)チャーロは私を口汚く罵るようになった。私がノックアウトされるだろう、とかね。私はそういうのは好きではない」

チャーロ自身は、クロフォード戦についてソーシャルメディアで触れたことがある。まずスーパーミドル級で「世界を驚かせ」、その後スーパーウェルター級に戻る。そしてクロフォード戦によって、「人々が見たがっているものを見せる」ことを願っていると続けた。

一方、『Joe Rogan Experience』のエピソードで、クロフォードはカネロ vs. チャーロの勝者と戦いたいと語った。お互いの嫌悪感とは別に対戦意欲は高いのだ。

ただ、このスーパーファイトを実現するためには乗り越えねばならないハードルがいくつかある。7月末にクロフォードが9回TKOで下したスペンスとの再戦もそのひとつだ。階級、会場、そして契約金額など、ほかにもいくつかの要因が絡むだろう。

カネロも要因のひとつかもしれない。もしチャーロが勝てば、カネロはおそらく再戦要求権利を行使するだろう。カネロの地位からすると、それは認められるはずだ。とはいえ、この2人のファイターは多忙なため、再戦はすぐには実現しない可能性がある。

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チャーロがスーパーウェルター級に戻ることも問題を引き起こすかもしれない。9月27日の最終記者会見の場でもクロフォードに向け、154ポンド、スーパーウェルター級での対決を呼びかけた。だが、今回の試合後、チャーロはWBOからスーパーウェルター級タイトルを剥奪され、ティム・チューとブライアン・メンドーサが同タイトル決定戦を行う。チューの代わりにカネロ戦を選んだチャーロは、ふたたびベルトを統一するために、WBO新王者との対戦を義務づけられるかもしれない。

チャーロはクロフォードにとって楽しみな相手であり、逆もまた然りだ。いくつかの障壁がこの試合の実現を阻んでいる。しかし、互いへのライバル心をむき出しにしている姿からは、最近のボクシング界ではどんなことでも起こり得ると感じさせてくれる(ヘビー級を除いては)。

まずは9月30日(日本時間10月1日)のカネロ vs. チャーロに注目したい。チャーロがすべてのカードを手に入れるのか、あるいは野望が無残にも打ち砕かれるのだろうか。

原文:Will Jermell Charlo fight Terence Crawford? Possible super fight in boxers future following Canelo Alvarez clash
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁

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Daniel Yanofsky

角谷剛 Go Kakutani

角谷剛 Go Kakutani Photo

米国・カリフォルニア州在住。慶應義塾大学卒。主に米国でIT関連の会社員生活を経て、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つ。コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得。現在は州内の2つの高校で陸上長距離走部の監督と野球部コーチを務める。スポーツ、旅行、文化に関する多くのウェブサイトで執筆中。