【独自取材】フューリーvsウシク勝敗予想:関係者、専門家、元・現役ボクサーの見解は?

Tom Gray

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

【独自取材】フューリーvsウシク勝敗予想:関係者、専門家、元・現役ボクサーの見解は? image

タイソン・フューリーオレクサンドル・ウシクが日本時間5月19日早朝、サウジアラビア・リヤドのキングダムアリーナで激突する。この試合は日本ではDAZN PPVで独占ライブ配信される。

ここ数十年で最も熱望されているヘビー級統一戦の勝敗予想について、ボクシング関係者たちにインタビューを行った。名門リング誌出身の本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが総括する。

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🥊待望のヘビー級4団体統一戦が5月19日朝ついに実現

フューリー(34勝0敗1分、24KO)は、ほぼ10年にわたって世界チャンピオンのレベルに君臨してきた。2015年、『ジプシー・キング』はヘビー級のレジェンド、ウラジミール・クリチコ(ウクライナ)を退け、3団体統一王者に輝いた。心身を崩した末の2年半の休養後、華々しく競技に復帰し、都合2度退けたデオンテイ・ワイルダーとのトリロジーファイトでWBCとリング誌のタイトルを獲得。現代ヘビー級最強のアイコンとして、リング内外で騒動を巻き起こしてきた。

関連記事:5.19 オレクサンドル・ウシク対タイソン・フューリー|オッズ・見どころ(外部配信)

ウシク(21勝0敗、14KO)は、ロンドン五輪での金メダル獲得後、まずクルーザー級で世界的な注目を集めた。2年足らずですべてのタイトルを総なめにしてアンディスピューテッド・チャンピオンに到達。その後、ウクライナのサウスポーはヘビー級に転向し、英国の金メダリストファイター、アンソニー・ジョシュアを下してWBA/IBF/WBOのタイトルを手にした。ダイレクトリマッチでもウシクは勝利し、リング誌王座をコレクションに加えた。

フューリーは大きすぎるのか? ウシクは素早くてつかみどころがないのか? フューリーは体重調整に問題があるのか? ウシクは現代のヘビー級最強のボディショットに耐えられるのか?

これらは、今回の「世紀の一戦」を前にして浮かび上がる疑問のほんの一部に過ぎない。

スポーティングニュースは、ボクシング関係者、専門家、そして現役・元スター選手たちにインタビューを行い、ここ数十年で最も待ち望まれてきた、ヘビー級アンディスピューテッド・タイトルマッチについての彼らの考えを集めた。

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🖊フューリーvsウシクの勝者は? ボクシング関係者・専門家の予想

▼デイブ・コールドウェル(元プロボクサー/トレーナー/SkySports解説員)

遅かれ早かれ、ヘビー級選手には追いつめられる時が来る。フューリーがワイルダーやフランシス・ガヌーらから受けたハードパンチの数々、35歳という年齢、体重の増減による体の消耗を考えると、フューリーは以前のような(タフネス)ファイターではないと思う。フューリーを軽視しているわけではなく、彼は素晴らしいキャリアを持っていることは理解しているよ。

ただ、とくに気になるのが、体重の激減による影響。彼は1年やそこらで時間をかけて体重を落とすわけではなく、文字通り数週間キャンプに入るだけで、見た目がまったく変わってしまうからね(それだけ身体的な蓄積ダメージが激しいのではないかという見立て)。

対して、ヘビー級のウシクはクルーザー級の頃とは別人だと思う。動きもスピードもバリエーションも違うし、体重が増えた分、体つきもがっしりしている。といっても、ウシクの動画をいくつか見たが、実は少し軽くするのではないかと思っている。現状、(ヘビー級として)十分な体重があるのだから、4、5ポンド増量してももうメリットはないと思う。逆に体重が軽い方が機動力が出るし、パンチも鋭くなるからね。

多くのシナリオがあるので、どちらが勝つかわからない。両者のサイズ差と、(それを埋めるために)ウシクがどれだけハードワークしなければならないかを理解しているので、私はフューリーが有利だと言わざるを得ない。それでも、ボクサーとしてもファイターとしても(つまりどの距離でも)ウシクの方が上だと思う。勝ち筋があるとすれば、ウシクが通常のヘビー級の選手より少し軽ければ、彼の勝ちだと思う(※)。

※前日計量の結果、フューリーは262ポンド(118.8kg)、ウシクは233 1/2ポンド(105.7kg)。ウシクはキャリア最重量となった。

予想:断定せず(フューリーの体調不安と、ウシクが軽めの体重設定ならウシクに勝機ありと示唆)

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▼デューイ・クーパー(元K-1キックボクサー/元プロボクサー/トレーナー ※ガヌーらを育成)

大柄な男は小柄な偉人よりも優れているだろうか? それが問題だ。

もし誰かが私の頭に銃を突きつけたとしたら、スプリット判定でフューリーが勝つと言わざるを得ないだろう。ウシクは素早い動きで彼を苦しめるだろうが、そうした展開が続けばタイソンはどうするか?

タイソンはギアを入れ替え、「グラップリングモード」に入る。それが勝利への鍵だね。ウシクは大型ヘビー級選手にはない速いペースを武器にしている。さらに、サウスポーのパンチの切れ味抜群だ。だが、大柄なフューリーはウシクを押さえ込み、クリンチし、ラフプレーを仕掛けるだろう。

さてレフェリーはそれを許すだろうか? 誰もがタイソン・フューリーとアンソニー・ジョシュアの一騎打ちを見たいことを考えれば…私は手持ちの資金をフューリーの勝利に賭けるよ。

予想:フューリーの判定勝ち

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▼ノニト・ドネア(元世界4階級制覇王者)

私にとっては難しい一戦だ。2人とも大好きだし、友人でもある。

フューリーは体格で優っているから、ベストの状態の彼にウシクが勝つのは非常に難しいだろう。ウシクはいつも通りの戦い方をするだろうね。さまざまな角度からコンビネーションを打ち込むことになるんじゃないかな。

私としては、最強の男が勝つことを祈るだけだ。

予想:断定せず(暗にフューリー有利を示唆)

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▼カール・フランプトン(元世界2階級制覇王者)

もしフューリーがガヌーと戦う前に(ウシク戦予想を)僕に尋ねたなら、フューリーを強く推していただろう。僕は今でもフューリーを選び、彼の勝利を期待しているが、あの(ガヌー戦での)パフォーマンスには少し疑問符がつく。

僕の頭の中では、フューリーはおそらくガヌー戦のためにトレーニングをしていなかったと思うし、僕にはそう見えた。(あの試合が実際に行われるまで)フューリー当人でなくとも、よく事情を知らない婆様が「簡単な試合だぁよ!」と言ったとして、自分もそれを信じてしまったかもしれない(それだけ多くの人が、フューリーが圧勝するものだと思いこんでいた)。

ただ、僕はフューリーにはもっと多くの引き出しがあると思うし、彼は他のヘビー級ファイターたちよりずっといい選手だと思う。ウシクに勝つためには、もっと良くなる必要がある。ウシクはその(素早くクレバーな)動きで彼を苦しめるだろうが、フューリーはボディを多用して対抗するんじゃないか。ウシクはボディに弱いという話もあるから、タイソンはアグレッシブに戦うと思う。加えてタイソンはクリチコ戦のように、ウシクに体を預けて自由を奪うだろうね。

僕が予想するに、タイソンが後半にウシクを叩き潰して試合を終える気がするよ。

予想:フューリーのTKO勝ち(後半戦で)

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▼ジョー・ギャラガー(トレーナー ※門下生にポール・バトラー)

フューリーが勝つ。私と同じ地域、同じ出身地、その他もろもろが同じだから肩入れしているわけではないんだ。ただ、タイソン・フューリーは、窮地に追い込まれたときこそ力を発揮すると感じている。クリチコとのドイツでの試合でも、ワイルダーとのアメリカの試合でもそうだった。

勝てるはずの試合ではアクセルを緩めることもあるが、タイソンは五分五分の勝負になると、いつも結果を出す。それが今回のウシクだ。タイソンはウシクが成し遂げてきたことを見てきたはずだ。

ホールド(クリンチ等)の多い退屈な試合になるかもしれないし、(イベンダー)ホリフィールドと(リディック)ボウのような試合になるかもしれない。ウシクはホリフィールドのように多くのパンチを放つだろうが、『優れた大男は優れた小男に勝つ』という古い格言が現実になるんじゃないかな。

フューリーがワイルダー戦のように突っ込んでいけば、(体格で劣るウシクに)勝つのは難しいだろう。

予想:フューリーの勝利

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▼ジム・ランプレー(スポーツキャスター ※元HBOボクシング中継の名物実況アナ)

タイソン・フューリーの関心はどこにあるのか? そのモチベーションはどこに向かっているのか?

フューリーがリアリティ番組という安易な誘惑に負けたのを見た瞬間(フューリーは家族とともに2つのリアリティ番組シリーズに出演している)ひとつの疑念が生まれました......リアリティ番組ほど現実離れしたものはありません。(一般的に脚本が存在するリアリティ番組は)非現実的な拝金主義のコンテンツです。もはやフューリーが自身のキャリアとヘビー級での地位を以前ほど真剣に考えていないことを示唆しているのではないでしょうか(Netflixの『アットホーム・ウィズ・ザ・フューリーズ』は識者から酷評された)。

では、フューリーがかつてのようにボクシングに集中し、準備することにどれほどの意欲、動機があるのでしょうか?

もし本当のタイソン・フューリーが、腰を据えてキャリア最高の結果を目指して前進することに集中しているのであれば、彼は今でも倒すのが非常に難しいファイターでしょう。彼はユニークなスタイル、ユニークな肉体的存在感を持ち、さまざまな方法で相手を苦しめる。しかし、もし彼がいまもリアリティ番組(の続編)に気を取られているのなら、賭けは全て外れて、何が起きてもおかしくありません。

今回、フューリーがどのような準備をしてくるかは見てみないとわかりませんが、私はここ1、2年のフューリーとは対照的なキャリアを歩んできた、ウシクを支持します。

予想:ウシクの勝利

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▼ジェシカ・マッキャスキル(現WBA/リング誌認定女子世界ウェルター級王者)

まず言わせて貰うけど、私はウシクの大ファンよ。彼はゲームプランに忠実な選手よね。

対してフューリーは独自のスタイルを持っていて、ダンスをしながらパンチを当てて翻弄して、相手をノックダウンするパワーパンチも持ってる。

本当に難しいけれど、私ならウシクを支持するわ。

予想:ウシクの勝利

専門家の予想結果:フューリー3/ウシク2/断定せず2


※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳・編集: 神宮泰暁(スポーティングニュース日本版)


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Tom Gray joined The Sporting News in 2022 after over a decade at Ring Magazine where he served as managing editor. Tom retains his position on The Ring ratings panel and is a full member of the Boxing Writers Association of America.

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。