各階級にエリートファイターが存在するボクシング界にあって、パウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングへの関心は高まっている。特に5月はビッグマッチが相次いだこともあり、名門誌『The Ring』や『ESPN』など各メディアのPFPランキングの変動に大きな注目が集まった。
ここでは、タイソン・フューリーvsオレクサンドル・ウシクのヘビー級4団体統一タイトルマッチを終えた段階で、本誌スポーティングニュース(TSN)のグローバルボクシングパネルが選出するPFPトップファイター12人を紹介する。【2024年5月19日付版】
⬛ヘビー級4団体統一チャンプのウシクが井上尚弥からトップの座を奪取
世界主要4団体時代において、史上初のヘビー級アンディスピューテッド・チャンピオンに輝いたオレクサンドル・ウシク (ウクライナ)がPFP最強だと断言するのは、この時期のリヤドの気候がとても暑いと言うのと同じくらい簡単なことだろう。
タイソン・フューリーとのヘビー級4団体統一タイトルマッチに挑んだウシク (22勝0敗、14KO)は、序盤こそ苦戦を強いられたものの、第9ラウンドにフューリーからダウンを奪うと、12回を戦い抜き、スプリットデシジョンの末に勝利を手にした。接戦の末の激しいファイトでセンセーショナルな勝利を手にしたウシクは、ついにボクシング界の頂点へと上り詰めた。
この結果、5月初めにルイス・ネリ(メキシコ)の挑戦を退け、ランキングトップに立っていた井上尚弥は順位をひとつ落とすこととなった。また同様に、8月3日(土)ロサンゼルスでWBA世界スーパーウェルター級王者イスラエル・マドリモフ(ウズベキスタン)と戦うことが決まったテレンス・クロフォード(アメリカ)も順位をひとつ下げた。
ここでは、スポーティングニュース(The Sporting News=TSN)が選出する現在のPFPランキングのトップ12を紹介する。本誌ボクシンググローバルパネル(編集者・ライター)による評価・選定となる。
⬛TSN選出パウンド・フォー・パウンド ランキング
順位 | 選手名 | 戦績 | 前回からの変動 (2024年5月8日付) |
1. | オレクサンドル・ウシク | 22-0 (14 KOs) | +2 |
2. | 井上尚弥 | 27-0 (24 KOs) | -1 |
3 | テレンス・クロフォード | 40-0 (31 KOs) | -1 |
4 | カネロ・アルバレス | 61-2-2 (39 KOs) | - |
5 | ディミトリー・ビボル | 22-0 (11 KOs) | - |
6 | アルトゥール・ベテルビエフ | 20-0 (20 KOs) | - |
7 | テオフィモ・ロペス | 20-1 (13 KOs) | - |
8 | エロール・スペンスJr. | 28-1 (22 KOs) | - |
9 | シャクール・スティーブンソン | 21-0 (10 KOs) | - |
10 | ジャーボンテイ・デービス | 29-0 (27 KOs) | - |
11 | ジェシー・ロドリゲス | 19-0 (12 KOs) | - |
12 | 中谷潤人 | 27-0 (20 KOs) | - |
⬛最新PFPトップ・ファイター:オレクサンドル・ウシク
今回の勝利でウシクはそのボクシングキャリアを完成させたと言えるだろう。
2012年のロンドン五輪で(ヘビー級)金メダルに輝いた俊敏かつ頭脳明晰なサウスポーは、プロの世界でも成功を積み重ね、PFPのスーパースターとして理想型を築き上げてきた。
現在37歳、クルーザー級時代に初のアンディスピューテッド・チャンピオンとなったウシクは、今回ヘビー級で史上初となる4団体統一の偉業を成し遂げた。フューリーを相手に身長で約15cm、リーチで約18cmという大きなハンディキャップを抱えながらも、ウシクは自らがヘビー級の真の王者であることを証明してみせた。
ウシクのキャリアを象徴する勝利としては、今回のフューリー戦のほか、マイリス・ブリエディス(ラトビア)、ムラト・ガシエフ(ロシア)、アンソニー・ジョシュア(イギリス)といった対戦相手が挙げられる。
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳・編集: 石山修二(スポーティングニュース日本版)