7月25日(火)、井上尚弥が東京・有明アリーナでスティーブン・フルトンを8回TKOで下し、WBC・WBO世界スーパーバンタム級王座を獲得、4階級制覇を成し遂げた。試合後、WBA・IBF同級王者マーロン・タパレスと年内の4団体統一戦実現へ向けて握手をかわした。
本記事ではハイライトのほか、リアルタイムライブ速報で当日の試合経過をお届けした。
井上尚弥が8回TKOで4階級制覇、タパレスとの年内4団体統一戦へ
『ザ・モンスター』井上尚弥がまたしても偉業を成し遂げた。バンタム級で世界主要4団体時代になってから日本人初・アジア人初のアンディスピューテッド王者になってからわずか半年で、ひとつ上のスーパーバンタム級での新たな挑戦に漕ぎ出した。しかも転級初戦からWBCとWBOの2団体王者スティーブン・フルトンへの挑戦だった。
当初は5月7日に予定されていたタイトルマッチだったが、練習中に井上が拳を負傷したことで、7月25日に延期になった。どちらの拳かについては公表されていなかったが、古傷の右の拳であることは、タイトル戦直前映像からも見て取れた。
試合2日前には、フルトン陣営が井上のバンデージの巻き方について難癖をつけた。日本で行われる試合は世界戦であっても日本ローカルルールで実施されるのが慣例だが、『スタッキング』(必要以上に包帯とテープを重ねて拳を堅くする行為)を暗に指摘された井上陣営は、あえてフルトン陣営に合わせ、国際ルールの巻き方を採った。
そうした「場外戦」を経てリングで対峙した井上と王者フルトンだが、体格差はほとんど感じさせなかった。
最序盤は、これまでポイントで有利を取られたラウンドがないというフルトンだけに、井上のパンチをクリーンヒットさせない巧みなスキルを確かに見せていた。
元々フェザー級寄りのフルトンに対し、ライトフライ級が10年かけて身体を大きくしてきた井上だが、そのボクシングはパワーを増すのはもちろんとして、スピードも失うことはなかった。ハンドスピードだけでなく、インとアウトの脚の動きも速い井上に対し、フルトンはジャブを当てることにも苦労した。
そしてこのスピードはとどまることを知らず、3回が終わる頃にはフルトンは鼻血が滲み、ラウンドを重ねる毎に逃げ切れなくなってくる。井上はつねにフルトンを誘うように意図的にガードを上げ下げし、スウェイで誘うが、フルトンはカウンターを恐れてなかなか手を出さない。
5回、6回にはフルトンも井上のパンチに慣れてきた印象もあったが、ポイントで絶対的に優位になれるほどの流れは作れなかった。8回が40秒を過ぎたところで、井上の右ストレートでフルトンがグラつくや、左の追撃で最初のダウン。再開後もここが決め時と睨んだ井上の猛ラッシュに晒されたフルトンは立っているのがやっと。コーナーに追い込まれたところでレフェリーがストップしたが、井上は正しく獰猛なモンスターのようだった。
MÁQUINA DE DESTRUCCIÓN 👹🇯🇵@NaoyaInoue_410 x #FultonInoue pic.twitter.com/cELFBjKAPD
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8回TKOでの快勝で4階級目の制覇を達成した井上は、試合後、リングに上がったWBA・IBF王者のマーロン・タパレスに触れ、年内の4団体統一戦を提案。タパレスも快諾すると、このドル箱カードをプロモートするであろうTop Rank社総帥のボブ・アラム氏は満面の笑みを浮かべて2人の王者との3ショットの記念撮影に収まった。
6月の時点で、WBAはこの日の試合の勝者とタパレスの4団体統一戦について承認しており、ほかの3団体も追随するだろう。あとは日程と場所となるが、タパレスが欧米でネームバリューのないフィリピン選手であることを考えると日本での開催になる可能性が高い。
2階級目のアンディスピューテッド王者は、4団体時代においてまだ男子ボクサーでは達成者が居ない(4日後の7月29日に元スーパーライト級アンディスピューテッド王者のテレンス・クロフォードがエロール・スペンス・ジュニアに勝てば先行される可能性がある)。
2023年末、井上尚弥がまたひとつ前人未到の偉業を打ち立てることになるのか注目となる。
ライブ速報:井上が4階級制覇達成!
21:57 コーナーでは弟のWBA世界バンタム級王者・拓真、父の真吾氏とのスリーショットで記念撮影。井上は2本のベルトを肩にかけリングサイドのファンをふれあいながら退場。
21:56 勝利者インタビューでの井上は、ファンに勝利を報告。そして「自分がスーパーバンタム級最強と思うフルトンが倒せたので、最強になれたと思うが、まだ2本なので」と話すと、来場したWBA・IBF王者タパレスに触れ、「次戦、4団体統一戦がしたい」とラブコール。タパレスも「自分の力を証明したい」として4団体統一戦を受諾。井上は年内実現を提案。タパレスも笑顔で握手を返し、トップランク社総帥のボブ・アラム氏を中央に記念撮影。両者が2本ずつベルトを掲げた写真も撮影した。
21:46 フルトンは大きなダメージはなかったようだが、悔しい表情。
21:43 井上がWBC&WBO世界スーパーバンタム級王座を獲得!4階級制覇を達成。
21:40 第8R、残り2分20秒、井上の右ストレートが炸裂。さらなる追撃左強打でダウンを奪うと、再開後も右と左フック猛打を浴びせ、コーナーに追い込んでもマシンガンラッシュについにレフェリーがストップ。8R、1分14秒、TKOで決着!
21:38 第7R、井上の誘いに乗ってこないフルトンだが、逃げるさなかに左ボディを被弾。致命傷ではないものの、王者にとってはイメージが悪い。井上のラウンドか。
21:34 第6R、井上は距離をとり、身体を大きく上下させてフルトンを誘う。オーバーハンドの右を読んだ井上はしっかり左を入れるなど、フルトンはガードを抜かれる場面も。井上のラウンドか。
21:30 フルトンがパンチを当て始めたが、井上もしっかり当てておりドローのラウンドか。第6Rへ。
21:29 第5R、フルトンも井上のパンチに慣れてきたのか、左ジャブの距離が合い出し、右ストレートをヒットさせる。しかしそれ以上に井上が強打を打ち込む。
21:25 第4R、井上がジャブからの右ストレートを連発。ハンドスピードの速いパンチにフルトンは上に意識が行くと、井上はボディストレートを刺す。井上のラウンド。客席にはWBA・IBF王者マーロン・タパレスの姿。
21:22 井上は左ジャブと右のボディストレートをしっかりクリーンヒットさせる。フルトンはあからさまにいやがり手がでなくなる。フルトンの左の鼻の穴から鼻血が。井上のラウンドで第3R終了。
21:20 第3R、フルトンの手が出始めるが、井上があえてガードを下げて誘っているようにも見える。
21:18 プレスをかける井上は、コーナーを背にしたフルトンに強打を打ち込む一方、スウェイカウンターを狙う素振りもあったが、フルトンが手を出さない。井上は当ててこいとばかりに左ほほを叩く場面も。井上が手数、ヒットともに優位か。
21:16 第2R、井上の右フックが浅めに入るとフルトンは体制を崩したが、追撃は許さず距離を離す。
21:14 第1R、まずは距離を見ながら、井上は左ボディストレート。身体の大きさには大きな違いは見えず、井上は身体を上下させながら圧をかけてフルトンを誘うが、フルトンは大きくは踏み込まない。井上のラウンドか。
21:10 レノン・ジュニア氏の前口上が終わり、大歓声。いよいよ第1Rゴング!
21:06 君が代斉唱。井上は旋律に乗せてうなずく。コミッショナーによりWBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ認定宣言。
21:02 王者側のアメリカ国家斉唱。フルトンは手を胸に当てるでもなく身体を揺らしている。
20:59 王者『クールボーイ・ステフ』フルトン入場。黒地にショッキングピンクのカラーが入ったジャケット、黒のトランクス姿。
Llegó El ‘Monstruo’ 👹@NaoyaInoue_410 | #FultonInoue pic.twitter.com/OowXRZ34Uk
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20:58 エントランスのバックスクリーンに映る日本国旗を背に井上が入場。研ぎ澄まされた表情。リングインとともに大歓声。
20:56 いよいよ開始を告げるゴングとともにレノン・ジュニア氏が「モンスター井上」をコール。
20:52 WBC、WBOの会長らが立会人たちが紹介され、最後の煽り映像。
En solo minutos… ⏲@NaoyaInoue_410 x #FultonInouepic.twitter.com/Y7MN4IG4uw
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20:49 井上の控室映像。清水のとき同様、大橋ジムスタッフ、選手らが円陣を組んで送り出す。
20:30 試合開始は20:45以降か。
20:10 メインイベント、WBC・WBO世界スーパーバンタム級王座戦、スティーブン・フルトン vs. 井上尚弥のセグメントへ。井上のスーパーバンタム級挑戦の事前紹介映像(19日配信の直前特番の完全版)。
De esto se trata 🙏🏽 @RobeisyRamirez se ganó el respeto del público en Japón. #FultonInoue x #RamirezShimizu pic.twitter.com/QVfbgrjUAn
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20:04 『電車男』ラミレスは清水の健闘を称えてリングを降りた。
¡‘El Tren’ es peligroso! 🚂💨🇨🇺@RobeisyRamirez | #RamirezShimizu #FultonInoue x @ESPNPlus pic.twitter.com/3EbbPnImMt
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20:00 第5R、ラミレスが右アッパーを皮切りにラッシュ。左アッパーで1度目のダウン。試合は再開するも、ラミレスはさらなるラッシュでまとめにかかり、レフェリーがストップ!2R、1分8秒、TKOでラミレスが初防衛成功!
19:55 第4R、ラミレスのスピードが落ちた印象。インファイトでも清水がしっかり当てる場面が増える。逆にラミレスは距離を取りつつ、残り50秒で強引なラッシュを仕掛けたが、清水が耐える。
19:52 第3R、拳、額を突き合わせての近距離ではラミレスの左アッパーが清水の顎をとらえたが、距離を取った場面では清水の左ストレートが度々クリーンヒットしており、悪くないラウンドに。
19:48 清水の左目は少し腫れ始めており、ラミレスのパワーパンチの威力がうかがえる。清水はリーチを活かしたいが、距離が合わないのかカウンターを取れない。第3Rへ。
19:45 第2R、ガードはまだ堅い清水だが、ラミレスのパンチと圧に押し込まれる。
19:43 フィジカルでは清水の方が優るがリングの中央を先に取ったのはラミレス。ガードを上げる清水にラミレスは左に回りながら様子を伺うようにジャブ、ときにはアッパーを差し込んでいく。手数ではラミレスという印象。第2Rへ。
19:40 清水への大きな声援が起きるなか第1Rのゴング!
Time to defend the crown 👑 pic.twitter.com/Jt9pAkru7M
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19:37 王者ラミレス入場後、選手権認定宣言。ラミレスのトランクスの「電車」の文字は『El Tren』(列車)というニックネームから。
19:33 清水から入場。テーマ曲はエアロスミス「I don't want to miss a thing」。
19:25 清水の控室映像。大橋ジム総出で送り出す形に。Lemino配信では清水とともにロンドン五輪を戦った元WBA世界ミドル級王者、村田諒太氏がゲスト解説についた。コールを担当するリングアナはジミー・レノン・ジュニア氏。
19:06 セミファイナル、WBO世界フェザー級タイトルマッチ12回戦、ロベイシ・ラミレス(王者、キューバ)vs. 清水聡(大橋)の前に休憩。Lemino配信では第1〜3試合のハイライト映像紹介中。
19:02 フルトンの控室映像。フルトンはまだ試合着にはなっておらず、バンテージも巻いていないが、淡々とした印象。
The wrap you all wanted to see 👀@NaoyaInoue_410 x #FultonInoue pic.twitter.com/jG4IIunUB7
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18:52 フルトン陣営のスタッフが確認するなか、名カットマンの佐久間史郎氏が井上のバンデージ(ハンドラッピング)作業を開始。手に最初に包帯(ガーゼ)を巻く国際ルールに沿った方法。フルトン陣営スタッフはスマートフォンで録画している。
関連記事:フルトン陣営が難癖をつけた井上尚弥のバンデージ問題の核心「スタッキング」とは?
18:50 控室で集中した姿の井上尚弥。まだバンデージは巻いていない。
18:48 勝利者インタビューを受けた堀川は「もっと強くならないといけない」と話し、日本ユース王者としてさらなる成長を誓った。
18:43 第8最終R、被弾覚悟でインファイトで手数を出していく堀川。しかし、坂間はそれを押し返すようにワンツーストレート、横に軸をずらしながらもよく見て右アッパー、右のクロスストレート。堀川は一旦ダウンしたが、スリップ判断。しかし残り30秒、左フックを浴びてよろついた堀川を見たレフェリーがストップ。8R、2分40秒、坂間がTKO勝ち!
18:39 第7R、頭から突っ込んでくる堀川はパンチを振り回し仕掛けていく。坂間はしっかり当ててはいるが、印象的に堀川のアグレッシブさが光ったラウンド。
18:35 第6R、堀川はオーバーハンドの強打を振っていくが、その際の掛け声に注意が入る。お互いにクリーンヒットもありドローラウンドの印象。
18:31 第5R、堀川のローブローに注意。坂間は軸をずらしながら上下を打ち分ける。アッパーも繰り出し、堀川のガードを崩していく。堀川もクリンチを多様しながらも、一瞬のすきをついて打ち込むが、不利の印象。第6Rへ。
18:27 第4R、坂間はフェイントからの左ボディをきれいに当てるなどよく見ている。足が止まり始めた堀川。第5Rへ。
18:23 坂間の左ボディを浴びた堀川は右脇腹のガードを意識するが、坂間は顔面に入れる巧さを見せる。第4Rへ。
18:21 第3R、堀川の強打がクリーンヒットする場面も。堀川のマウスピースが落ちたため、一旦中断。
18:17 第2R、インファイトのチャンスを伺う堀川だが、坂間はカウンターで寄せ付けない。堀川は身体は反応しているが坂間のリーチが長い。堀川の右アッパーは見事。
18:14 上背のある坂間がセンターを取ってプレスをかける。堀川は下がりつつも、左ジャブを細かく刻み距離を詰めていく。第2Rへ。
18:11 第7試合・第1Rゴング!
Junior Flyweight scrap on deck 💥 pic.twitter.com/IEBN0CBYxN
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18:07 堀川からにこやかに入場。坂間はリラックスした表情で入場曲を口ずさみながらリングへ。
18:03 第7試合、日本ユース・ライトフライ級王座決定戦(8回戦)、坂間叶夢(ワールドスポーツ)vs. 堀川龍(三迫)のセグメントへ。
18:00 勝利者インタビューでは「今回はバチッと倒せたんですが、もっとパンチを貰わないように強くなりたい」。バンタムに行くかスーパーバンタムにとどまるかについては「次はどっちになるかわからないですが、バンタム級も狙っていきたい」。また、先輩の井上尚弥や清水聡がベルトを取ってくれるとエールを送った。
17:54 第3R、やはり武居がバルドナドをコーナーに押し込んで距離を詰め、左ボディストレートをクリーンヒット。一瞬、何もないように見えたバルドナドだが、数秒後に崩れ落ちてダウン。3R、1分08秒、TKOで武居が勝利!武居はこれで7戦7KOを記録。
17:52 第2R開始まもなくバルドナドの右が炸裂。武居は1R同様距離を詰めるが、サウスポー慣れしたバルドナドに上手くいなされる。武居はフェイントから左ボディを刺す。2R終了、3Rへ。
17:48 武居がセンターを取り、そのままバルドナドはロープを背にする形でお互いジャブの牽制。武居はガードの上から強打を浴びせる。1R終了、2Rへ。
17:45 第1Rゴング。
And we're off in Tokyo!@Tankiti000 is up first, live on @ESPNPlus. pic.twitter.com/LRZbcxhbDR
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17:42 バルドナルド入場。Lemino番組上、大会上は「バルドナド」名義。顎に厚みがあるフィリピン・バンタム級王者。
17:39 武居から入場。煽り映像では尊敬する井上尚弥が返上したバンタム級世界王座への興味も示した。エントランステーマはQueen「Born to Love You」。
17:33 第6試合、ロニー・バルドナルド(フィリピン)vs. 武居由樹(大橋)のセグメントへ。
17:24 岩下千紘(駿河男児)が高原裕之(千里馬神戸)にKO勝ち!
16:58 第4試合8ラウンド終了、今永が2−1で判定勝ち!
試合当日:第1試合は14:40開始見込み。『Lemino』配信は16:00、第4試合のヘビ・マラブ(インドネシア)vs. 今永虎雅(大橋)から。
バンデージ問題:フルトン陣営が疑義を呈したバンデージ問題は、前日計量後のルール会議で、日本ルール(指の付け根の関節部分以外にテーピングした上でバンデージを巻く方法)ではなく、国際ルール(手に直接テーピングせずにバンデージを巻く方法)で決着した。
※速報対応は第6試合からとなります。
※以下、試合前の情報。
フルトン vs. 井上尚弥の試合開始時間は?
「フルトン vs. 井上尚弥」のイベント(全9試合)第1試合は7月25日14:40開始予定だが、『Lemino』配信は同16:00開始となり、第4試合のヘビ・マラブ vs. 今永虎雅からが対象となる。
各試合の進行次第となるが、メインイベントのフルトンと井上は20:45以降にリングに上がる見込みだ。
王者フルトンは神経戦作戦、井上尚弥は怒りを力に?
スティーブン・フルトン(21勝8KO)は7月25日(火)夜、東京・有明アリーナで井上尚弥(24勝21KO)を相手にWBC・WBO世界スーパーバンタム級のベルトを防衛する。 無敗同士の対決は、NTTドコモが展開する動画配信サービス『Lemino』(レミノ)で独占無料生配信される。
2013年のナショナル・ゴールデングローブ優勝者であるフルトンは、2014年のプロデビュー後、2021年に自身初のメジャータイトルであるWBO世界スーパー・バンタム級王座を獲得した。同年、ブランドン・フィゲロアを下してWBCタイトルも手にし、2団体統一王者になった。直近の試合では2022年6月に元2団体王者ダニエル・ローマンに判定勝ちした。
それに対して、井上はすでにライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級の3階級を制覇してきた。直近の試合となる昨年末にはポール・バトラーを下してバンタム級アンディスピューテッド王者となった。そして今、30歳のモンスターは、これまでのキャリアで最もタフな戦いになるかもしれない、新たな階級を征服する進軍の準備ができている。
関連記事:井上尚弥を攻略するためにスティーブン・フルトンはどう戦うべきか|7.25 有明アリーナ
フルトンは王者ながらブックメーカー各社のオッズでは概ね不利がついているが、来日前には「心配することは何もない。適切なタイミングで、適切な調整をするだけ。オレは自分の能力を信じているし、とにかく賢いからな」と豪語していた。
2週間前から来日して調整してきたフルトンだが、決戦2日前の会見では、かつてノニト・ドネアがクレームをつけた井上のバンデージの巻き方について「お互いに安全な巻き方を」と疑義を唱えた。井上は「日本での試合は日本のローカルルールが適用される、そのローカルルールに従った巻き方」と声明を出し、一蹴した。
24日昼の前日計量では、リミットの122ポンド(55.338kg)に対して井上が「55.2kg」、フルトンが「55.3kg」でともに一発通過。フェイスオフでは火花を散らしたが、井上はバンデージ問題で神経戦を仕掛けられたこともあり、スタッフに制止を求められても引かず、フルトンに食いつくような素振りに怒りが滲んでいた。一方でフルトンは『クールボーイ・ステフ』のニックネーム通り、表情を崩さず、上から見下すように冷ややかな視線を送った。
タイトル戦前の神経戦は王者が手玉に取った感があるが、井上は敢えて乗った形にも見える。昨年末の4団体統一戦では試合中に消極的なバトラーへの怒りを顕にしたものの、最後にはきっちりKOで仕留めた。怒りをモチベーションにできる井上なら、この流れは臨むところだろう。
計量パス!!!
— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) July 24, 2023
バッチリ仕上がった💯
明日は会場またはレミノで応援よろしくお願いします!!
スーパーバンタム級の井上尚弥をお楽しみください!! pic.twitter.com/NnNmggdGbC
アンダーカードでは、井上のジムの先輩である清水聡(11勝1敗)が、WBO世界フェザー級ロベイシ・ラミレス(12勝1敗)に挑む。2012年のロンドン五輪銅メダリストである清水は2016年にプロに転向。2019年にジョー・ノイネイにTKO負けを喫したが、その後3連勝。37歳での世界王座挑戦となる。
第6試合には元K-1およびKrush王者の武居由樹(6勝0敗)がスーパーバンタム級でロニー・バルドナド(16勝4敗1分)相手に7戦目に臨む。ここまですべてKO決着となっており、7KOとなるか注目だが、同じく元キックボクサーで比較される那須川天心との対戦も期待されており、しっかり勝ちを重ねたいところだ。
関連記事:圧倒的有利予想の井上尚弥、スティーブン・フルトンをどう攻略するのか|7.25 有明アリーナ
フルトン vs. 井上尚弥 WBC・WBOスーパーバンタム級王座戦:予定対戦カード
『Lemino』での生配信は第4試合から対象となる。
- メイン:WBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ級12回戦
- スティーブン・フルトン(王者、アメリカ)vs. 井上尚弥(大橋)
- セミ:WBO世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
- ロベイシ・ラミレス(王者、キューバ)vs. 清水聡(大橋)
- 第7試合:日本ユースライトフライ級王座決定戦8回戦
- 坂間叶夢(ワールドスポーツ)vs. 堀川龍(三迫)
- 第6試合:54.0Kg契約8回戦
- ロニー・バルドナルド(フィリピン)vs. 武居由樹(大橋)
- 第5試合:フェザー級8回戦
- 岩下千紘(駿河男児)vs. 高原裕之(千里馬神戸)
- 第4試合:62.0Kg契約8回戦
- ヘビ・マラブ(インドネシア)vs. 今永虎雅(大橋)
- 第3試合:フライ級6回戦
- 梶谷有樹(八王子中屋)vs. 篠田将人(野口)
- 第2試合:東日本新人王予選フェザー級4回戦
- 中村亮介(ワタナベ)vs. 山川健太(大橋)
- 第1試合:東日本新人王予選ミニマム級4回戦
- 川上拳汰(石川ジム立川)vs. 北野武郎(大橋)
※上記対戦カードは、選手の体調やケガなどにより変更・中止される場合がある。
フルトン vs. 井上尚弥:テレビ、ネット配信、見逃し配信
- 配信プラットフォーム:Lemino(独占無料生配信)
- 配信番組名:WBC・WBO 世界スーパーバンタム級タイトルマッチ スティーブン・フルトン VS 井上尚弥
- 配信日程:2023年7月25日(火)
- 配信時間:16:00(15:45配信枠オープン)〜
- 見逃し配信:7月25日23:00〜8月7日23:55まで(無料)
「フルトン vs. 井上尚弥」は、動画配信サービス『Lemino』(レミノ)で独占無料生配信される。
Leminoは「当日はアクセスが集中することにより一時的に(配信枠へのアクセス)制限がかかる場合がある」としており、制限回避のためには早めの視聴開始を促している。
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