長年熱望されたエロール・スペンス・ジュニア vs. テレンス・クロフォードが、日本時間7月30日昼頃、ついに実現する。ボクシングファンが待ちに待った夢の対決はウェルター級4団体統一戦として行われる。さらにノニト・ドネアの井上尚弥戦以来の再起戦も注目となる同イベントは、日本ではWOWOWで独占生配信される。
開始時間や、見どころ、主要カードなどを本誌格闘技エキスパートのダニエル・ヤノフスキーが解説。WOWOWオンデマンドで無料視聴する方法も紹介する。
ボクシングファン待望のドリームマッチがいよいよ実現
何年にも渡って繰り返された遅延と2022年の中止を経て、エロール・スペンス・ジュニアとテレンス・クロフォードがついにリングで相まみえる。世界のボクシングファンにとっては、7月25日に行われた井上尚弥 vs. スティーブン・フルトン戦を超えるほどの期待値を誇る、待ちに待ったスーパーファイトだ。
WBC、IBF、そしてWBA(スーパー王座)のウェルター級世界王者であるスペンスがWBO同級王者のクロフォードと7月に対戦することを最初に報じたのは、老舗ボクシング専門誌『The Ring』(リングマガジン)だった。続いて、スポーツ専門局『ESPN』のボクシング担当レポーターであるマイク・コッピンジャー氏がその試合の日程が7月29日に決定したと報じた。会場はラスベガスで、米放送局『Showtime』のペイパービューで放映されることになった(訳者注:日本での中継はWOWOW)。
スペンス vs. クロフォードが実現した背景には、4月に行われたジャーボンテイ(ガーボンタ)・デイビス vs. ライアン・ガルシアの人気者同士のスーパーファイトが背景にあることは間違いないだろう。デイビス vs.ガルシアは120万人がPPV視聴し、2280万ドル(約31億8000万円)というネバダ州ボクシング史上5番目の大成功を収めた。
コッピンジャー氏によると、スペンス vs. クロフォードの契約条項にはそれぞれに再戦の権利が含まれており、試合後30日後から要求することができるという。
クロフォードはアマチュア時代にゴールデン・グローブ銀メダリストになり、2008年にプロデビューをはたした。2014年にはライト級世界王者になり、2017年にはスーパーライト級でWBO、WBC、WBA、そして IBFの世界4団体統一王者になった。防衛戦を行わずに2018年にウェルター級に転じると、ジェフ・ホーンを倒してWBO世界王座を獲得。以後、そのベルトを6回防衛している。
『Bud(バド)』ことクロフォードの直近の試合は昨年12月である。ダビッド・アバネシヤンをノックアウトで下した試合だ。プロモーション会社を『Top Rank』から『BLK Prime』に移ったあとの初戦でもあった。クロフォードはTop Rank社が「人種偏見に基づく」理由からスペンスとの試合成立を妨げたとして、約1000万ドル(約14億円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。こうしたゴタゴタがあったが、ようやく実現の運びとなった。
If you go to Terence Crawford's Instagram, this is what he posted overnight👀🦈 pic.twitter.com/MCbKO0VeWk
— Sporting News Fights (@sn_fights) May 24, 2023
「ファンも、私も、この試合を長年に渡って願ってきました。ついにそれが実現します。これは本当に時代を象徴する試合になります。ぜひT-モバイル・アリーナに足を運ぶか、Showtime(日本ではWOWOW)でご覧ください。7月29日(日本時間30日)、私は歴史に名を残し、2階級4団体統一王者になることを心待ちにしています」とクロフォードは話した。
一方のスペンスは、2017年にケリー・ブルックを倒してIBF世界ウェルター級王座を獲得し、続いて2019年にはショーン・ポーターに勝利してWBC同級王座も獲得した。さらに直近の試合である2022年4月にヨルデニス・ウガスからTKO勝利を収め、WBA同級王座も加えた。この試合は2020年にスペンスが網膜裂孔を理由に予定されていたマニー・パッキャオ戦を欠場してから初めてリングに上がったものだった。
関連記事:エロール・スペンスJr vs テレンス・クロフォード:ついに実現するウェルター級4団体統一戦の3つの重大な疑問
「私はこのボクシング界最大の試合に関われることをとても楽しみにしています。今世紀最高のウェルター級試合になるはずです。テレンス・クロフォードは偉大なファイターです。そして私たちのスタイルはとても噛み合うでしょう。私は最初のウェルター級タイトルを手にして以来、ずっとこの試合を待ち望んできたことを、これまでにもクロフォードと世界に向けて発信してきました」とスペンスは語っている。
「7月29日、私は最高のパフォーマンスを発揮して、ウェルター級4団体統一王者になります。歴史に残る、忘れられないー夜になるでしょう。すべての人に見届けてもらいたいと願っています」
元々、スペンス vs. クロフォードは2022年の11月か12月に予定されていた。ボクシング解説者のマックス・ケラーマン氏がマイク・コッピンジャー氏に語ったところでは、両陣営の間で契約内容についていくつかの部分で合意が得られなかったということだ。当時クロフォードは、匿名のヘッジファンド2社の代表者がどのようにして自身とスペンスに2500万ドル(約35億円)の保証金を提供するのかについて追及するなど、実現への障害があった。
しかし、すべての問題は解決し、運命のゴングを待つだけとなった。
この夢の対決のアンダーカードでは、『フィリピンの閃光』ノニト・ドネアの再起戦も行われる。井上尚弥がスーパーバンタム級転向のため、今年1月に返上した4つのベルトのうちのひとつであるWBC世界バンタム級王座を、その井上に敗れたドネアと、アレクサンドロ・サンティアゴが争う。
現時点での「スペンス vs. クロフォード」の開始時刻、メインカードなどの詳細情報は以下の通りだ。
スペンス vs. クロフォードの試合開始時刻
「スペンス vs. クロフォード」は日本時間では7月30日に行われる。
アンダーカードの進行状況によるが、「ドネア vs. サンティアゴ」は午前9時頃、メインイベントの「スペンス vs. クロフォード」は午後12時30分頃にリングインの見込みだ。
スペンス vs. クロフォードはどこで放送・配信される?
「スペンス vs. クロフォード」や「ノニト・ドネア vs. アレクサンドロ・サンティアゴ」は、日本国内では『WOWOW』(WOWOWライブ / WOWOWオンデマンド)が中継する。
- WOWOWライブ:7月30日(日)午前11時〜
- WOWOWオンデマンド:7月30日(日)午前9時〜
とくに『WOWOWオンデマンド』は、初回登録なら1か月無料トライアルにより完全無料で視聴できる(通信費除く)。また、ドネアの再起戦は「WOWOWオンデマンド」で午前9時から先行ライブ配信される(WOWOWライブの本放送・配信では録画ディレイ放送になる見込み)。
WOWOWオンデマンド無料視聴登録の方法
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スペンス vs. クロフォードの開催会場
この試合はラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われる。同会場はNHLゴールデン・ナイツの本拠地であり、これまでにもUFC、WWEなど格闘技の大型イベントがいくつか行われてきた。ボクシングではカネロ・アルバレス vs. ゲンナジー・ゴロフキンなど多数のビッグマッチ開催もあり、米国ボクシングの聖地のひとつになっている。最大収容人数は2万人。
スペンス vs. クロフォードの観戦チケット価格
ボクシング界で長らく待たれたドリームマッチだけにチケットは高騰した。米チケット再販会社『TicketSmarter』ではほとんどが販売済みとなったが、一時は最低価格667ドル(約9万3380円)から取引され、現在の最高価格は21686ドル(約304万円)となっていた。
スペンス vs. クロフォードのオッズ
スポーツベッティングでも人気となっている「スペンス vs. クロフォード」だが、7月29日付のブックメーカー『Caesars』では、クロフォードが-135で有利、スペンスが+115で不利。WBC世界バンタム級王座決定戦もドネア-135、サンティアゴ+115をつけている。これらのオッズは100ドルに対しての倍率となる。
エロール・スペンス・ジュニアの戦績と経歴
- 国籍:米国
- 生年月日:1990年3月3日(33歳)
- 身長:177cm
- リーチ:183cm
- キャリア試合数:28
- 戦績:28勝0敗、22KO勝ち
テレンス・クロフォードの戦績と経歴
- 国籍:米国
- 生年月日:1987年9月28日(35歳)
- 身長:173cm
- リーチ:188cm
- キャリア試合数:39
- 戦績:39勝0敗、30KO勝ち
スペンス vs. クロフォード:主要カード
- WBAスーパー・WBC・IBF・WBO及びThe Ring誌認定ウェルター級世界王座統一戦
- エロール・スペンス・ジュニア vs. テレンス・クロフォード
- ライト級マッチ
- アイザック・クルーズ vs. ジョバンニ・カブレラ
- WBC世界バンタム級王座決定戦
- ノニト・ドネア vs. アレクサンドロ・サンティアゴ
- スーパーウェルター級マッチ
- ヨエニス・テレス vs. セルヒオ・ガルシア
※上記の試合カードは、選手の体調などによって変更・中止される場合がある。
※WOWOWでは、上記の一部カードが配信・放送されない可能性がある(ダイジェストになる)。
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翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮