好む、好まざるにかかわらず、フロイド・メイウェザー・ジュニアはスポーティング・ニュースの2010年代最高男子ボクサーで、他にその座を脅かす存在すらいない。
ボクシング界の伝説となったメイウェザーのこの10年間の戦績は10勝0敗であり、もはや達人レベルに達した感がある打たれずに打つ完璧なテクニックをどの試合でも存分に見せつけた。
メイウェザーの絶対王者としての10年間は2010年5月にシェーン・“シュガー”・モズリーを3-0の判定で下したことに始まり、総合格闘家のコナー・マグレガーを10ラウンドTKOで破ったことで幕を閉じた。その間にはミゲール・コット、サウル・“カネロ”・アルバレス、マルコス・マイダナ(2回)、そしてマニー・パッキャオといった錚々たるボクサーたちが「マネー」の異名をもつメイウェザーの軍門に下った。また、メイウェザーが2回の引退と復帰を繰り返し、その度にこの王者が荒稼ぎをしたことも忘れてはいけない。
2015年9月に最初の引退後の復帰戦でアンドレ・ベルトを下した後、「もはや俺にはボクシングというスポーツにおいてやり残したことはない」とメイウェザーが語ったと、スポーツ専門局『ESPN』で報じられた。「俺は大きな投資をしたし、経済的にも安定しているし、すべてに満足している。素晴らしいキャリアを送れたし、それは俺の戦績を見ればわかるだろう」。
メイウェザーのこの10年間で積み上げた10勝のおかげで、キャリア通算では50勝0敗の完璧な戦績に到達した。それはロッキー・マルシアノの49勝0敗を凌ぐ、前人未踏の記録である。
数字で見るフロイド・メイウェザー・ジュニア
― 2010年代の10勝0敗という戦績はメイウェザーが33歳のときに始まっており、マグレガーを倒したときは40歳になっていた。信じられないほどの偉業だ。
― マクレガーを倒す前、メイウェザーがパンチを当てる確率は約46%で、対戦相手がメイウェザーにパンチを当てる確率は僅か22%だった。メイウェザーのヒット率と被弾率の差異は24ポイント強にもなり、経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』とボクシング解析ツール『CompuBox』によれば、この数字に近いボクサーは世界のどこにもいない。
― メイウェザーはキャリア通算で10億米ドル(約1,100億円)以上を稼いだと言われている。そのうちの200百万米ドル(約220億円)はマクレガー戦によるものだ。
他からの評価
マニー・パッキャオのトレーナーを長年務めたフレディー・ローチですら、メイウェザーがこの世代の最強ファイターであると認める発言をせざるを得なかった。
次の10年を担うのはテレンス・クロフォードか?
メイウェザーがウェルター級からジュニア・ミドル級までの5階級を制覇したしたことを考えると、次の2020年代でベストと称されるボクサーはテレンス・クロフォードになるかもしれない。現在32歳のクロフォードはWBOのウェルター級タイトルを所持し、すでに3階級制覇。パウンド・フォー・パウンド最強のボクサーと見られている。クロフォードはさらに階級を上げることを匂わせており、WBOのジュニア・ミドル級王者のパトリック・テシェイラが次の対戦候補になるかもしれない。もし、クロフォードがエロール・スペンス・ジュニア,マニー・パッキャオ、キース・サーマンらとも対戦して勝つことがあれば、この”Bud”と呼ばれるボクサーが2020年以降のボクシング界に君臨する存在になるだろう。メイウェザーが、コット、カネロ、パッキャオらに勝ったことで、その座についたように。
(翻訳:角谷剛)