『カネロ』サウル・アルバレスとは?|年齢・経歴・階級・戦績|10.1 カネロvsチャーロ戦特集

Daniel Yanofsky

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本時間10月1日、パウンド・フォー・パウンドの頂点を極めた『カネロ』ことサウル・アルバレスが、スーパーミドル級4団体統一王者として、スーパーウェルター級4団体統一王者ジャーメル・チャーロを相手に防衛戦に臨む。この試合は日本ではWOWOW/WOWOWオンデマンドで放送・配信され、ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われる。

本記事では、世紀のアンディスピューテッド王者対決を控えるカネロの年齢や、アマチュアからプロ転向後の経歴・戦績などのプロフィールや、驚愕のファイトマネーや現在の純資産を紹介する。

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PFPの頂点に立った中量級史上最強の男『カネロ』とは?

カネロ(赤毛)の愛称で知られるサウル・アルバレスは、何年にもわたり、エリートクラスのボクシングスキルによって何百万人もの人々を楽しませてきた。若くしてプロに転向して以来、主にメキシコで戦い、ボクサーとして決して大きくはない体格ながら、複数の階級をまたぐ長い道のりを歩んできた。今や4階級制覇王者となったボクシング界の頂点に位置づけられ、自身の実力を世界に示し続けている。 

そんなカネロは、現地時間9月30日(日本時間10月1日)、ラスベガスのT-モバイル・アリーナで、2階級下の4団体統一王者であるジャーメル・チャーロを相手に、スーパーミドル級4団体統一王者としてタイトル防衛戦を迎える。

パウンド・フォー・パウンド・キングにもなったカネロがどこで生まれ、どうやってプロボクシングキャリアを駆け上がってきたのか。以下に解説する。

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カネロの出身地・年齢・ニックネーム・アマチュア時代 

現在33歳のカネロ本人の証言によれば、1990年7月18日、メキシコの第2の都市であるグアダラハラ生まれとされる。家系的にはミチョアカン州ロス・レイエス出身で、その後ハリスコ州フアナカトランの農場に転居したという。

8人兄弟の末っ子で、のちにWBA世界スーパーウェルター級暫定王者となる兄リゴベルトのほかに、カネロより後年にプロになったリカルド、ラモンという兄たちがいる。

「サントス・サウル・アルバレス・バラガン」の本名より知られたニックネーム『カネロ』は、兄弟のなかで母アナ・マリアの赤毛を唯一引き継いだことから「シナモン=赤毛」を意味する。幼少の頃からそう呼ばれるようになり、それが原因でいじめを受けたこともあったという。

兄リゴベルトの影響を受けたカネロは、13歳でボクシングを始め、2004年、14歳でジュニア全国大会で準優勝、翌2005年は優勝を果たした。本人の談によるとアマチュアで20戦ほど戦ったとされるが、44勝2敗だったという複数情報もある。

2年程でアマチュア生活を終えたカネロは、2005年中にプロ転向。ボクシング界を駆け抜けることになる。

プロ転向後のスピード出世とメイウェザー戦での学び

成長途中の15歳のカネロは、2007年8月31日、自身初のタイトルとなるハリスコ州ウェルター級王座を戴冠すると、WBAフェデセントロ、WBC-NABF、WBOラテンと次々にタイトルを獲得し、2009年8月にはWBC世界ユース王座を腰に巻いた。同年の北米デビュー戦となったホセ・コット(プエルトリコ:ミゲール・コットの兄)試合では、KO負け寸前で逆転勝ちを収めた。

20歳になり身体も成長した2010年からはスーパーウェルター級に進出。同年7月のWBC世界シルバー王座戦を経て、2011年3月、マシュー・ハットン(英国)との決定戦を制し、初のメジャータイトルとなるWBC世界スーパーウェルター級王座を獲得。2013年4月には、WBA同級レギュラー王者のオースティン・トラウト(米国)に判定勝ちを挙げ、2団体統一。メキシコのニューヒーローとしての人気を完全に確立した。

この人気に乗って、WBA同級スーパー王者のフロイド・メイウェザー(米国)と同年9月14日に対戦したが、圧倒的なテクニックのメイウェザーに肉薄することもできずに0-2判定で完敗。23歳のカネロにとっては、スーパーウェルター級のすべてのベルトを失う最初の挫折を味わっただけでなく、真の学びの瞬間だった。

2年後の2015年11月、ミドル級に階級をあげると、実力者ミゲール・コット(プエルトリコ)を判定でくだして、WBC世界ミドル級王者となった。2階級制覇を果たしたカネロは、当時ミドル級を席巻するWBA・IBF統一王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との対戦がいよいよ取り沙汰されるようになった。

宿敵ゴロフキンとの闘争とスーパーミドル級4団体統一達成

紆余曲折を経て、2017年9月16日に実現した宿命対決だが、多くの識者やファンがゴロフキンが優勢と見たなか、カネロ優勢とする不可解なジャッジのスコアによって引き分けに終わった。ダイレクトリマッチは2018年5月5日に設定されたが、カネロの禁止薬物クレンブテロールの陽性反応発覚により、4か月延期された。

9月15日に行われた再戦では、カネロがWBAスーパー・WBC、IBO・The Ring誌認定世界ミドル級王座を獲得したが、またしても物議を醸す判定だったことから第3戦が期待された。

同年、スポーツ専門動画サービス『DAZN』がカネロ、そしてゴロフキンと相次いで大型契約を結び、トリロジー(第3戦)の道筋を敷き始めたが、カネロ自身はそれに反発するようにタイトル獲得に勤しんだ。

2018年10月17日にWBA世界スーパーミドル級王者ロッキー・フィールディング(英国)を撃破して3階級制覇。翌年5月4日には、ダニエル・ジェイコブス(米国)からIBF世界ミドル級王座を奪取したかと思えば、11月2日にWBO世界ライトヘビー級王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)までも打ち倒し、4階級制覇に成功した。

そしてカネロは、スーパーミドル級4団体統一に照準を定めた。2020年12月19日にカラム・スミス(英国)からWBC王座、2021年5月8日にビリー・ジョー・サンダース(英国)からWBO王座、最後に同年11月16日にIBF王者のカレブ・プラント(米国)を破り、わずか11か月で世界主要4団体(およびThe Ring誌認定)タイトルを統一、アンディスピューテッド王者となった。

スーパーミドル級制圧で区切りがついたカネロは、2022年2月に英大手プロモーターのエディー・ハーン氏のMatchroom BoxingとDAZNとの間で2試合契約を締結。WBA世界ライトヘビー級スーパー王者ディミトリー・ビボルとのタイトル戦とゴロフキンとの第3戦とセットで打診されたものという報道もあったが、契約2試合目の相手はカネロの気持ち次第といったところだった。

しかし、2022年5月7日、カネロはビボルに判定負け。敗戦後、ビボルとの再戦を優先するかと思われたが、結局ゴロフキンとの第3戦を選択する。同年9月17日、カネロは宿敵ゴロフキンに3−0で判定勝ちを収めた。

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低迷説払拭に向け、アンディスピューテッド王者対決へ

ゴロフキンとのライバル闘争に終止符を打ったカネロは、再びビボル戦を模索するも条件が合わず、2023年の5月の恒例の試合は、ジョン・ライダーを相手にスーパーミドル級4団体統一王座防衛戦となった。ただ、またも判定勝ちとなり、ここ数戦の低調な試合内容にキャリアピークアウト(衰え)を指摘されるようになった。

こうした背景から、カネロはスーパーウェルター級4団体統一王者であるジャーメル・チャーロとの世紀のメガマッチが実現することになった会見のなかで、「何が悪かったか自分でわかっている。今は違うタイプの相手に向けて集中している」と話した。

日本時間10月1日、男子初のアンディスピューテッド王者対決となるチャーロ戦で低迷説を払拭できるのか。名実ともにパウンド・フォー・パウンド・キングの座を取り戻すことができるのか、注目となる。

この試合は日本では、10月1日9:30から、WOWOWで生放送、およびWOWOWオンデマンドでライブ配信される。

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カネロ・アルバレスのプロフィールと戦績 

  • 本名:サントス・サウル・アルバレス・バラガン(Santos Saúl Álvarez Barragán)
  • ニックネーム:カネロ(Canelo、シナモン=赤毛の意)
  • 国籍:メキシコ
  • 生年月日:1990年7月18日(33歳)
  • 高さ:5-8 ft(173cm)
  • リーチ:70.5 in(179cm)
  • プロ経験階級:ウェルター級、スーパーウェルター級、ミドル級、スーパーミドル級、ライトヘビー級
  • プロ総試合数:63
  • プロ戦績:59勝(39KO)2敗2分
  • 獲得した主要世界タイトル:
    • WBC世界スーパーウェルター級王座
    • WBA世界スーパーウェルター級王座(スーパー王座)
    • The Ring誌認定スーパーウェルター級王座
    • WBC世界ミドル級王座
    • The Ring誌認定ミドル級王座
    • WBO世界スーパーウェルター級王座
    • WBC世界ミドル級王座(フランチャイズ、ダイヤモンド王座含む)
    • WBA世界スーパーミドル級王座(スーパー王座)
    • IBF世界ミドル級王座
    • WBO世界ライトヘビー級王座
    • WBA世界スーパーミドル級王座(スーパー王座)
    • WBC世界スーパーミドル級王座
    • The Ring誌認定スーパーミドル級王座
    • WBO世界スーパーミドル級王座(スーパー王座)
    • IBF世界スーパーミドル級王座

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カネロ・アルバレスと契約するスポンサー企業

米経済誌『Forbs』は、2021年度の長者番付で、カネロを48番目の高収入アスリートに選んだ。カネロはスポンサー収入だけで約200万ドル(約2億9680万円)を稼いだと推定された。

カネロは、スポーツ用品の『アンダーアーマー(Under Armour)』(2012年以降)や母国メキシコのビール会社『テカテ(Tecate)』などとスポンサー契約を結んできた。 「私は毎日、より良くなることに集中しています。『アンダーアーマー』は、私のトレーニングとパフォーマンスを改善するのに最適で完璧なパートナーです」と語っている。

さらに、仏酒造会社『ヘネシー(Hennessy)』やボクシング関連用品の『エバーラスト(Everlast)』とも契約しており、普段使用しているグローブも同社のものとなる。また、過去数年間、カネロはバスローブを含む『ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)』のオーダーメイド衣装を愛用していることが知られている。

カネロ・アルバレスの純資産

欧米著名人資産額データベース『Celebrity Net Worth』によると、カネロは2023年の現在、約2億ドルの純資産を持つとされるが、収入の柱となっているのは契約金とファイトマネーだ。

2018年に、DAZNおよびゴールデンボーイ・プロモーションズと3億6500万ドル(当時のレートで約521億8000万円)の超大型契約を結んだものの、最終的に両者に対して訴訟を起こした。最大2億8000万ドル(当時、約400億2860万円)の損害賠償を要求している。

数試合、別のプロモーターのもとで戦ったが、2022年2月、ディミトリー・ビボルとゴロフキンと戦うために約8500万ドル(約126億1311万円)近くの2試合限定の契約をDAZNおよびMatchroomと締結した。

ほかにも、2013年のフロイド・メイウェザー戦で1200万ドル(約17億8041万円)、2016年にアミール・カーン戦で約2500万ドル(約37億919万円)、スーパーミドル級4団体統一王者となったカレブ・プラント戦では、4000万ドル(約59億3562万円)を稼いだとされる。敗れたビボル戦では1500万ドル(約22億2551万円)の賞金を保証されていた。

カネロはゴロフキンとのトリロジーでとくに大金を稼いだ。カネロはゴロフキンとの最初の戦いで4000万ドル(約59億3562万円)、再戦で3000万ドル(約44億5219万円)を手にしたとされる。 最後の3戦目では約4500万ドル(約66億7791万円)を稼ぎ、PPVの売り上げは1億ドル(約148億3945万円)に達した。

カネロ vs. チャーロのファイトマネー

現時点では、カネロがこのチャーロ戦で稼ぐ正確な金額は不明である。

カネロは、米ボクシング番組/興行『Premier Boxing Chamipions』と1億ドル相当(約148億3945万円、※以降すべて1ドル148.39円レートで換算)の3試合契約を結び、チャーロ戦はその最初の試合となる。

デビッド・ベナビデスと戦うオプションがあれば、カネロのファイトマネーは3500万ドルから4000万ドル(約51億9419万〜59億3562万円)が予想される。

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※本記事は一部国際版記事(著者Daniel Yanofsky)を翻訳し、日本向け情報を追記・編集した記事となる。翻訳・編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁
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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。