ジャーメルとジャーモール、双子の世界王者チャーロ兄弟はどちらが優れたボクサーか識者が解説

Andreas Hale

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日本時間10月1日にスーパーウェルター級4団体統一王者ジャーメル・チャーロは、スーパーミドル級4団体統一王者カネロ・アルバレスに挑む。ジャーメルにはジャーモールという双子の兄がおり、その兄もプロボクサーであり、現ミドル級世界王者でもある。

双子の世界王者チャーロ兄弟のどちらが優れているのか、『The Ring』や『Boxing Scene』などでの執筆経験や識者として業界への造詣が深いアンドレアス・ヘイルが分析する。

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カネロにはミドル級王者の兄ではなく、2階級下の弟が挑戦

カネロ・アルバレスが、9月30日(日本時間10月1日)にラスベガスでスーパーウェルター級4団体統一王者ジャーメル・チャーロと対戦すると発表したとき、多くの人々が驚いた。カネロの相手には階級が近い、WBC世界ミドル級王者のジャーモール・チャーロの方が可能性が高いと思われていたからだ。

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スーパーウェルター級のジャーメルは、カネロが持つスーパーミドル級4団体統一王座に挑戦するために2階級を上げることなる。そして、世界主要4団体時代になってからは(男子初の)テレンス・クロフォードと(男女通して初の)クラレッサ・シールズに続く3人目となる、2階級での4団体統一王者を目指す。

元々は兄のWBC世界ミドル級王者のジャーモール・チャーロがカネロと対戦することになると報道されていた。しかし、ジャーモールの私生活上の問題から、双子の弟であるジャーメルの名前が代わりに浮上した。ジャーメルの実力を疑問視し、カネロの対戦相手にはジャーモールの方が相応しいとする意見もある。

その見方は正しいだろうか。以下に検証していこう。

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チャーロ兄弟はどちらが優れている? 戦績・対戦相手・試合間隔・KO率・階級から分析

ジャーモール・チャーロの戦績は32勝0敗、22KOと完璧である。一方のジャーメルは35勝1敗1分け、19KOである。

数字を見る限りは、兄のジャーモールの方が優れているように思えるかもしれない。ジャーモールは無敗であるし、弟より体格も大きく、KO率(68.8%)も高い。しかし、この双子を子細に比較していくと、現在ではジャーメルの方が業績に優れ、カネロと対戦するチャンスにより相応しいことが分かってくる。

ジャーモールは無敗ではあるが、ジャーメルの方が強敵との対戦に勝利してきている。その名を挙げると、トニー・ハリソン、ブライアン・カスターニョ、ジェイソン・ロサリオ、エリクソン・ルービン、バネス・マーティロスヤン、そしてオースティン・トラウトらである。その過程で、ジャーメルはスーパーウェルター級4団体統一王者になった。

一方のジャーモールは、目立った対戦相手と言えば、セルゲイ・デレフヤンチェンコとそれまで無敗だったジュリアン・ウィリアムズくらいのものだ。ジャーモールはたしかに弟より前にオースティン・トラウトにも勝利している。しかし、全体的にミドル級における対戦相手はあまりぱっとせず、最近はとくにその色合いが強い。

ジャーモールがしばらくリングから遠ざかっていることが、2人に差をつける最大の要因である。ジャーメルも2022年5月以来のブランクがあるが、兄の方はさらに長く、2021年6月にファン・マシアス・モンティエルからやや疑問が残る3-0判定勝ちを収めて以来、試合をしていないのだ。直近6年の試合数はわずかに7試合であり、一方のジャーメルは2017年以来9試合を戦っている。

ジャーメルの直近4試合の対戦相手(WBO王者カスターニョとの2連戦、WBA&IBF王者ロサリオ、WBC王者ハリソン)は、ジャーモールの対戦相手(モンティエル、デレフヤンチェンコ、デニス・ホーガン、ブランドン・アダムス、いずれも4団体の世界王者歴なし)より格上である。この世界では過去より最近の業績が重視される。ジャーメルが兄より高い評価を受けるのはそのためだ。

ジャーモールの方が高いKO率を持つことについても留意するべき点がある。ジャーメルはここ8年ほどでこの分野でも急成長していることだ。2015年以来、ジャーメルが挙げた9勝のうち8つはKOによるものである。ジャーメルのキャリアで2つの汚点は、2018年のハリソンに喫した判定負けと2021年にカスターニョと引き分けた試合だけだが、ジャーメルはそのどちらにも再戦でKO勝ちを収めている。一方のジャーモールは直近9勝のうち、KO勝ちはわずかに4つだ。

要するに、ジャーメルは今まさに年齢に相応しい全盛期を迎えているのだ。

ジャーモールはこれまでに32試合、合計171ラウンドを戦った。ジャーメルは37試合で合計256ラウンドだ。つまり経験ではジャーメルが優り、加えて4団体統一王者のステータスからしても、双子の兄にはっきりとした差をつけている。

最大の懸念は体重だ。ジャーモールは2017年からずっとミドル級(160ポンド=約72.6kg)で戦ってきた。ジャーメルはデビュー以来ずっとスーパーウェルター級(154ポンド=約69.9kg)で戦ってきた。1階級上げることはさほどの難事ではないが、14ポンド(訳者注:カネロ戦のスーパーミドル級は168ポンド=76.2kg)となると話は違う。

しかし、身長180cmのジャーメルはスーパーウェルター級としては大き過ぎる体格なのだ。これまでにも過酷な減量を行ってきたことが伝えられている。もし兄がミドル級にいなければ、ジャーメルはとっくに階級を上げていただろう。

カネロの身長は173cmしかなく、チャーロ兄弟のどちらと比べてもかなり低い。この試合に関しては、ジャーメルがスーパーミドル級に上げることは、減量の負担がないことから、あながち不利であるとも言えないのだ。

何よりも、ここ数年に限れば、ジャーメルの方がジャーモールよりはるかに技術を向上させるための経験を数多く積んできた。残念ながら、ジャーモールは私生活上の問題(強盗容疑、甥への暴行容疑や自身のメンタルヘルス問題)によってファイターとして成長する機会を失っている。それらの問題が解決し、ジャーモールがキャリアを続けられることを願うばかりだ。

以上のことを踏まえ、現時点においては、ジャーメルの方が優れたボクサーであると結論づける。

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原文:Who is the better boxer between twin brothers Jermall and Jermell Charlo?
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁


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Andreas Hale

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Andreas Hale is the senior editor for combat sports at The Sporting News. Formerly at DAZN, Hale has written for various combat sports outlets, including The Ring, Sherdog, Boxing Scene, FIGHT, Champions and others. He has been ringside for many of combat sports’ biggest events, which include Mayweather-Pacquiao, Mayweather-McGregor, Canelo-GGG, De La Hoya-Pacquiao, UFC 229, UFC 202 and UFC 196, among others. He also has spent nearly two decades in entertainment journalism as an editor for BET and HipHopDX while contributing to MTV, Billboard, The Grio, The Root, Revolt, The Source, The Grammys and a host of others. He also produced documentaries on Kendrick Lamar, Gennadiy Golovkin and Paul George for Jay-Z’s website Life+Times.