フライ級転向の寺地拳四朗が目指す4団体統一に立ちはだかる4人のライバルたち|10.13 WBC世界フライ級王座決定戦

Tom Gray

石山修二 Shuji Ishiyama

フライ級転向の寺地拳四朗が目指す4団体統一に立ちはだかる4人のライバルたち|10.13 WBC世界フライ級王座決定戦 image

Naoki Fukuda

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寺地拳四朗(BMB)には長い間、ライトフライ級4団体統一王者の期待がかけられていた。しかし、その機会を得られないまま時は過ぎ、108ポンド(48.97kg)階級にとどまることが難しくなった寺地はフライ級への転向を決意。10月13日(日)に東京・有明アリーナで開催される『Prime Video Boxing 10』 DAY1のセミファイナルにて、フライ級転向第1戦としてクリストファー・ロサレス(ニカラグア)とのWBC世界フライ級王座決定戦に挑む。 

この試合を含む『Prime Video Boxing 10』 DAY1ならびにDAY2の世界戦7試合、そして那須川天心の地域タイトル初挑戦の試合は、Amazonプライムビデオで独占ライブ配信される。

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寺地(23勝1敗、14KOs)は元WBA、WBC、『リングマガジン』誌のライトフライ級王者に君臨し続け、アンディスピューテッドチャンピオンの座まであとベルト2本のところにこぎつけていた。

しかし、減量苦が報じられる中、ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ、当時WBO王者)、シベナティ・ノンシンガ(南アフリカ、現IBF王者)との統一戦はなかなか実現しないまま時が過ぎ、『アメージングボーイ』寺地にとってはライトフライ級にとどまることがリング上のファイト以上に難しいチャレンジとなってしまった。

寺地は現在32歳。だが新たな挑戦へ舵を切る時間はまだ充分に残されている。13日(日)のロサレス戦はその第一歩であり、フライ級での4団体統一に向けた初戦となる。もしプラン通りに事が進めば、寺地は新たな階級でも即座にNo.1レベルの存在となるだろう。だが、その寺地の実力をもってしてもフライ級の4団体統一は相当に難しい挑戦となる。 

ここでは、寺地が新たな階級で4団体統一を実現するために倒さなくてはならない4人のライバルを、名門『The Ring』誌(リングマガジン)の元編集人で、現本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが紹介する。

クリストファー・ロサレス(ニカラグア)

  • タイトル:10月13日、WBC世界フライ級王者決定戦で寺地と対戦
  • 戦績:37勝6敗(22KOs) 

ロサレスは現在空位となっているWBC世界フライ級の元チャンピオンであり、今回の寺地の王者決定戦の対戦相手としては充分な実力の持ち主だ。

30歳のニカラグア出身、スタイル的には前に出てくるタイプのファイターで、高いガードの後ろから数多くのパンチを繰り出してくる。打ち合いにも応じてくる選手なので、その点では寺地も苦労はしないだろう。

また現在5連勝中と好調を維持、これまでにも比嘉大吾(日本)、パディ・バーンズ(アイルランド)、ホセリート・ベラスケス(メキシコ)から勝利を収めるなど、数々の実力者と対戦し、寺地に次ぐランキング2位につけている。

もし寺地が今回のロサレス戦に勝利した場合、選択肢は複数あるが、三顧の礼で転級初戦での王座決定戦を用意したWBCへの義理立てを踏まえると、11月30日(土)にWBC世界フライ級の暫定王者決定戦を行うサニー・エドワーズ(イングランド)vs ガラル・ヤファイ(イングランド)の勝者と戦うことになると思われる。

アンヘル・アヤラ(メキシコ)

  • タイトル:現IBF世界フライ級チャンピオン
  • 戦績:18勝0敗(8KOs) 

弱冠24歳のアヤラは、ボクシング界でもっと若いチャンピオンのひとりであり、この先も大きな可能性を秘めている。ただ、裏を返せば、メキシコの新鋭は王者としてはまだ盤石とは言いがたい。

昨年10月、元王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)とのIBF世界フライ級挑戦者決定戦での判定勝利は幸運だったと考えられている。アヤラは初回にダウンを喫すると、試合を通じて苦しめられたものの、母国開催による好意的なジャッジの末に王者決定戦への出場権を手に入れた。

だが続く試合では、デーブ・アポリナリオ(フィリピン)を相手に素晴らしい試合を見せ、空位だったIBF世界フライ級チャンピオンの座を手に入れた。序盤の劣勢を耐え忍んだアヤラは徐々に反撃、6ラウンドに2度のダウンを奪うKO勝利を収めた。

もし対戦するとなれば、寺地優勢のオッズがつくだろうが、実際の予想は難しいところだ。

アンソニー・オラスクアガ(米国)

  • タイトル: 現WBO世界フライ級チャンピオン
  • 戦績:7勝1敗(5KOs)

オラスクアガにはかつて寺地に敗れた過去がある。両者がライトフライ級で戦っていた2023年4月、寺地は9ラウンドTKOでオラスクアガから勝利を収めている。 

しかし、わずか1戦を挟んだだけで、オラスクアガはWBO世界フライ級王者決定戦のチャンスを掴み、加納陸(大成)を相手に3ラウンドノックアウトで勝利して現在のベルトを手に入れた。

オラスクアガが本当に世界クラスの実力を持っているのか、正直未知数の部分もある。現在、『リングマガジン』のフライ級ランキングでは9位、弱冠25歳のオラスクアガにはまだまだ成長の余地がある。

オラスクアガは初日出場の寺地に続き、『Prime Video Boxing 10』のDAY2の第2試合(配信では1試合目)に出場する。同じルディ・エルナンデス門下生であり、少年時代からの盟友でもある中谷潤人のメインイベントの露払いとして、ジョナサン・ゴンサレスを相手に初防衛戦を戦う。

トラブルメイカーのイメージのあるゴンサレスだが、ボクシングIQは高く、オラスクアガにとっては決して楽な試合とはならないだろう。もし、この大会で寺地とオラスクアガがともに勝利を収めれば、両者の再戦は現実味を増してくると考えられる。オラスクアガ本人もリベンジを意識している。

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ユーリ阿久井政悟(日本)

  • タイトル:現WBA世界フライ級チャンピオン
  • 戦績:20勝2敗1分(11KOs)

今年1月、無敗を誇っていた王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)を下し、タイトルを手にしたユーリ阿久井政悟(倉敷守安)だが、一方的なスコアほどの差はなく、むしろユーリ阿久井が判定勝ちを手にできたのは幸運だったと考える向きも少なくなかったはずだ。

それでもユーリ阿久井はすでに今年5月、桑原拓(大橋)を相手に初防衛を成功し、現在もベルトを保持している。ユーリ阿久井もオラスクアガ同様、『Prime Video Boxing』のDAY1に出場し、タナンチャイ・チャルンパック(タイ)を相手に防衛戦を行う。

戦前の予想はユーリ阿久井の優勢。ここで勝利すれば、オラスクアガ同様、寺地との統一戦の対戦候補にも名前が挙がってくるだろう。阿久井本人は機が熟したタイミングでの統一戦を口にしている。

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全ての関係者にとって幸いなのは、いずれのマッチメイクも決して難しいものではないということ。そのことがフライ級4団体統一戦を期待するファンにとっても1番の朗報だろう。


※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳・編集: 石山修二(スポーティングニュース日本版)

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Tom Gray joined The Sporting News in 2022 after over a decade at Ring Magazine where he served as managing editor. Tom retains his position on The Ring ratings panel and is a full member of the Boxing Writers Association of America.

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