ワイルダー対フューリーの試合前記者会見がヒートアップ 恒例の計量後フェイスオフが中止に

John Skilbeck

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デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)とタイソン・フューリー(イギリス)の2人が激突するヘビー級王座をかけた大一番が2月22日(日本時間23日)にラスベガスで行われるが、伝統とも言える計量後の"フェイスオフ(顔合わせ)"が行われないことになった。

両陣営のプロモーターはこの中止決定に理解を示している。対戦者同士が顔を突き合わせる"フェイスオフ"は、ボクシングや総合格闘技ではお馴染みの儀式的イベントだが、今回に限っては混乱が限度を越える恐れがあるからだ。

2月19日(同20日)に行われた記者会見は、ワイルダーとフューリーが引き離されるまで互いの胸を押し合う小競り合いにまで発展した。

ラスベガスでの格闘技系イベントを統括するネバダ州アスレチック・コミッション(NSAC)はこの小競り合いを明確な"兆候"であるとみなし、ワイルダーとフューリーの2人がリングに上がる前にこれ以上の争いが起こる危険を冒すべきではないとの判断を下した。

同コミッションのボブ・ベネット重役は「コミッションがこの決定を下した理由は、記者会見で起きたことを見れば明白でしょう」とスポーツ専門局『ESPN』に語った。

「2人のファイターがリングの外で互いを"押し合う"光景は私たちが目指しているメジャースポーツのイメージに相応しいとは言えません。従って、このままフェイスオフを行うことはファイターの健康と安全のためにならず、またファンやイベントのためにもなりません」

「さら率直に申し上げるなら、2人のプロボクサーがあのように"押し合う"ことで周囲に怪我人が出る可能性さえありました。こうしたことはメジャースポーツのイメージを損ないますし、私たちはまさしくそのメジャースポーツなのですから」

ベネット氏は両陣営のプロモーターであるトム・ブラウン氏とボブ・アラム氏にこの決定を口頭で伝えたところ、どちらからも反対を受けなかったとも語っている。

アラム氏は「もしこの試合がフェイスオフをしなければ売上を出せないのだとしたら、それは私たちが仕事をしていないということです」とESPNに答えた。

その一方で、フューリーをアラム氏とともに共同でプロモートするフランク・ウォーレン氏は「馬鹿げた決定だ。フェイスオフは伝統なのだよ」とメトロ紙電子版に語っている。

ネバダ州ラスベガスのMGMグランドで行われるこの試合は、2018年12月にドローで終わった因縁の再戦である。ワイルダーが持つWBCヘビー級王座のベルトをかけて行われる。

 

原文:JOHN SKILBECK
翻訳:角谷剛

John Skilbeck