フューリー vs. ジョシュアが12月3日に実現へ、長らく待たれた英国人頂上対決の日程・開催地が決定

Daniel Yanofsky

フューリー vs. ジョシュアが12月3日に実現へ、長らく待たれた英国人頂上対決の日程・開催地が決定 image

タイソン・フューリーとアンソニー・ジョシュアによるボクシングヘビー級における英国人頂上対決が、12月3日、急遽実現することになった。長年お互いにSNS上でバトルを繰り広げ、一度は決まりかけた頂上決戦のあらましについてダニエル・ヤノフスキー(Daniel Yanofsky)記者が解説する。

お蔵入りになっていた英国人頂上対決が急遽実現へ

ボクシングファンが何年も待ち望んでいた「バトル・オブ・ザ・ブリット(英国人頂上対決)」が、ついに実を結ぶことになりそうだ。 

WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が2022年内に新たな試合をしないことを決めたため、4団体統一王座戦での復帰プランが潰えたWBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(英国)は、急転直下、そのウシクとの再戦に敗れたアンソニー・ジョシュア(英国)にタイトルマッチをオファーした。

昨年一度お蔵入りになっていた英国最大のボクシングスター同士の頂上対決。それに相応しい開催日、会場、報酬を決めるため、「ジプシー・キング」フューリーがしなければならなかったのは、ジョシュアを待つことだけだった。フューリーはジョシュアに24時間の締め切りを与えたが、いい返事がなければ、別の選択肢に進むだろうとみられていた。

ジョシュアのマネジメント事務所『258MGT』によれば条件についての交渉が続いているとしていた。ジョシュア自身はすでに12月決戦への準備はできているとし、これまでのようにフューリーとSNS上でやり合う気はないとし、事務所に交渉を任せていた。

タイソン・フューリー vs. アンソニー・ジョシュア、いつどこで戦う?

  • 開催日:現地時間2022年12月3日(日本との時差は9時間)
  • 開催地:プリンシパリティ・スタジアム(英国ウェールズ・カーディフ)

9月13日、『258MGT』は、ジョシュアが12月3日決戦について、フューリーから提示された条件をすべて受諾したことを公表した。試合はウェールズのカーディフにある「プリンシパリティ・スタジアム(ミレニアム・スタジアム)」で行われることになる。報酬の割合はフューリー60/ジョシュア40で、再戦時は50/50になる可能性を含む条項があるという。

『258MGT』は公式ツイッターで、先週のエリザベス女王崩御後、喪に服すため、お互いに対戦交渉を一旦停止しているが、現状としてはフューリー陣営の回答を待つだけの段階と述べた。

「258と@MatchroomBoxing(プロモーターのマッチルーム社)は、@anthonyjoshua(ジョシュア)に代わって、先週の金曜日、12月3日の試合に関して、我々がフューリー陣営から提示されたすべての条件を受け入れたことをお伝えします。また、女王が亡くなったため、すべてのやりとりを一時停止することに同意しています。あとは相手の回答を待つだけの状況です」

フューリーの共同プロモーターであるフランク・ウォーレン氏は、これに応じるように「契約はまもなく締結されるでしょう」とツイートした。

タイソン・フューリー vs. アンソニー・ジョシュア、実現までの歩み

2021年3月中旬、当時WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー統一王者だったジョシュアとWBC王者のフューリーは、実現すればヘビー級初となる4団体統一戦に向けて基本的合意に至ったという報道が伝えられ、5月中旬にフューリーが自身のSNS上で正式発表を行った。しかし、その数日後、前WBC王者デオンテイ・ワイルダーがフューリーとの第3戦契約が有効であるという仲裁訴訟に勝利したことで、英国人頂上対決は頓挫した。

2020年12月にクブラト・プレフを退けていたジョシュアだが、ワイルダーの勝訴を受けて、元クルーザー級4団体統一王者のオレクサンドル・ウシクが次の挑戦者候補となった。そして、2021年9月、ジョシュアはウシクに全会一致の判定負けを喫し、WBAスーパー・IBF・WBOおよびIBO・The Ring誌認定タイトルを失った。同10月、フューリーは名勝負となったワイルダーとの第3戦に勝利しWBCタイトルを防衛した。

それ以来、フューリーは忙しい身の上となった。2022年4月、ウェンブリー・スタジアムでディリアン・ホワイト(英国)にKO勝利すると、「これが最後の試合だ」と喧伝。試合直後には、UFCヘビー級王者フランシス・ガヌー(カメルーン)をリングに呼び込むパフォーマンスを行った。エンターテイメントとしてのボクシング対MMA企画だったが、このプランは遅々として進まず、数か月の(仮の)引退生活後、アイザック・ロウを新トレーナーに任命し、デレック・チゾラ(英国)に3度目の対戦を打診するもあえなく拒否された。

チゾラ戦を含め、実戦復帰のタイミングを見計らっていたフューリーは、8月20日のジョシュア vs. ウシクの再戦終了後、勝者ウシクに4団体統一戦を持ちかけ、それが不発になるとジョシュアに打診している。フューリー自身による動画オファーが公開されたのは9月5日のことだった。その過程でフューリーは(プロレスの)WWE英国大会中継のゲスト出演をこなしていた。

サウジアラビアでの再戦でウシクにスプリット判定で敗れたジョシュアは、直近の過去5戦で2勝3敗という芳しくない戦績になった。そろそろ王座挑戦が難しくなる成績とあって、ワイルダーがロバート・ヘレニウス(フィンランド)を倒せば、ジョシュア vs. ワイルダー戦もあるのではないかと噂されていたが、結局、フューリー戦という何年もファンが待っていた「本命カード」に落ち着いた。

オレクサンドル・ウシクの次戦はいつになる?

当初、ウシクがジョシュアに2度目の勝利を収めたとき、すぐにフューリーとの4団体統一戦へのアクションが始まると信じられていた。ウシクとフューリーの決戦は12月に設定されるだろうと噂されていたが、ウシクは最近になって2022年中に再びボクシングをする準備ができていないと語り、戦線から離脱した。

一方のフューリーは、年末までに試合をやりたいという意向を示していたため、お蔵入りになっていたジョシュア戦が急遽実現することになった。ただ、専門Webメディア『Boxing Scene』によると、プロモーターであるウォーレン氏としては、フューリーとウシクの試合を2023年の2月か3月に行うことを考えているという。

原文:When is Tyson Fury fighting Anthony Joshua? Dates, location reportedly set for heavyweight boxing title fight
翻訳・編集:スポーティングニュース日本版編集部
※本記事は英語記事を翻訳・編集し、追加情報などを加えた日本向けの記事となる。

 

Daniel Yanofsky