ジョシュア対ウシク、9/25決戦目前で静かなマインドゲームを展開

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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現地時間9月25日(日本時間26日)、トッテナム・ホットスパースタジアムで行われるWBAスーパー・WBO・IBF世界ヘビー級統一王者アンソニー・ジョシュア(英国)と指名挑戦者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)の心理戦が静かに佳境を迎えつつある。『Express』『ESPN』など欧米複数メディアが両者の模様を伝えた。

21日、メディア向けの公開練習が行われ、王者ジョシュア、指名挑戦者ウシクがそれぞれ個別に登場し、軽い素振りや写真撮影やインタビュー撮影に応じた。

挑戦者ウシクは数日後に迫ったトッテナム・ホットスパースタジアムでの大一番に向けて、「自信しかない」と静かに豪語した。「緊張する要素がない。ただ落ち着いていて、自信にみなぎっている。本を読み、映画を観たり、愛する人と話したり、息子に電話したりしている。ナーバスになることは何ひとつないね」

ジョシュアにとってウシク戦は望んでいた試合ではない。WBC同級王者タイソン・フューリー(英国)との対戦が決まった直後に、フューリーに対して前WBC王者デオンテイ・ワイルダーとの3度目の試合が仲裁裁判によって命じられ、ジョシュアにはWBOが指名したウシクとのタイトルマッチが避けられなくなり、計画変更を余儀なくされた。

ウシクは、むしろ地元ファンの期待の重みがジョシュアを不利にすると述べた。「(ジョシュア)彼は3つのタイトルを持っていて、母国の舞台で、大きな戦いになる」「ジョシュアは3つのタイトルを守らなければならない。フューリーならひとつ(WBC)だけだ」。

対してウシクは、クルーザー級で無敗の4団体統一王者となったが、アマチュアでは2012年ロンドン五輪ヘビー級金メダリストの肩書を持つものの、プロキャリアの中でヘビー級の試合はまだ、チャズ・ウィザースプーン(米国)とデレク・チゾラ(英国)との2戦のみだ。負けて失うものがないとも言える。

ジョシュアはその点について、"急いては事を仕損じる"と分析する。

「(ウシク)彼はヘビー級でうまくやっているってことだろうね。例えばイベンダー・ホリフィールド(米国)がヘビー級に転向したとき、彼はチャンピオンベルトに挑む前にヘビー級で6試合を経験したはずだからね」

ボクシング界のレジェンドである元世界3団体統一王者ホリフィールドですら、6戦を経てヘビー級のタイトルマッチに挑んだのに、ウシクは3戦目で3つのタイトルを持つ自分に挑もうとしていると。

「アマチュア時代にワールドシリーズ・オブ・ボクシングでヘビー級で戦った経験があるにしても、彼は随分早い段階で(ヘビー級の)最深部に飛び込んだワケだ」

「流れに巻き込まれて溺れる可能性があるだろうね。深い所に飛び込んで生き残ろうとする方が良いかもしれないな」

ウシクは経験不足で自滅するとでも言いたげだ。とはいえジョシュアにとってウシクが厄介な相手であるのは事実だ。自身のチャンピオンロードの中でもサウスポーとの対戦経験がほとんどない。この3ヶ月間、複数のサウスポースパーリングパートナーを相手にウシク対策を積んできた。

また、従来の試合よりも体重を絞ったことについて多くを語らないジョシュアだが、「フィジカル的な利点があるとしても、世界で最も背の高い男が世界のヘビー級チャンピオンになるわけではない」と話し、よりテクニカルで攻撃的なボクシングにシフトしていることを強調したと米スポーツ専門メディア『EPSN』は伝えた。

9月25日のトッテナム・ホットスパースタジアムでは、「"本当のアンソニー・ジョシュア"を見ることになる」と宣言。その自信の現れか、自身のInstagram上には、過去のKOシーン動画を投稿している。

 

アンソニー・ジョシュアvsオレクサンドル・ウシク戦放送予定

※すべてDAZNで配信、日時は日本時間

  • ジョシュアvsウシク:記者会見
    9月23日23:00~
  • ジョシュアvsウシク:前日軽量
    9月24日23:00~
  • ジョシュアvsウシク:WBA・IBF・WBO世界ヘビー級王座統一戦
    9月26日2:00~

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。