[宮地陽子コラム第113回]米国でプレイする日本人大学生バスケットボール選手たち(女子編)

宮地陽子 Yoko Miyaji

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ルイビル大の今野紀花

アメリカで活動する日本人大学生選手の後編では、女子選手たちを紹介する。今季、NCAAディビジョンⅠ(以下D1)の大学でプレイしている日本人選手は、把握できているだけで5人。1年生選手が多かった男子とは逆で、シニア(4年生)またはグラジュエイト(大学院生)の選手が5人中4人を占める。

※以下、スタッツはアメリカ時間12月1日時点。

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今野紀花が所属するケンタッキー州にあるルイビル大は全米ランキング(トップ25)入りする強豪。昨季はNCAAトーナメントでファイナル4に進出、その前のシーズンもエリート8まで進んでいる。今野は最初の3シーズンで合計66試合に出場。今季は学業に集中するためにチームを離れた期間があったものの、それでもここまで4試合、平均15.0分の出場で、3.5得点、2.8アシスト、2.0リバウンドとオールラウンドに貢献している。ルイビル大のジェフ・ウォルツ・ヘッドコーチは、最近の試合後に「リク(今野)は間違いなく、チームで一番のバスケットボールIQの持ち主で、チームメイトがどこにいるかを誰よりわかっている。ボールをキャッチする前に、次にどこにパスを出すべきかわかっている。周りの選手がより活躍できるような、特別な才能がある。この調子を維持することができたら、もっと試合に出しておく必要がある」と、今野に対する期待を語っている。

アラバマ州にあるノースアラバマ大に所属する鈴木妃乃は、日本の大学から転校という道を切り開いた選手。高校時代は大阪桐蔭高校で2017年ウインターカップ優勝を経験。その後、関西大学で2シーズンプレイした後に、自ら売りこんだノースアラバマ大から奨学金を獲得して、海を越えての転校でD1入りした。即戦力として編入1年目から出場し、昨季は29試合(うち20試合でスターター)、平均29.7分出場し、7.8得点、4.5アシストを記録。コロナ禍の特別ルールで出場資格を得た今季は、ここまで6試合中5試合でスターターとして出場し、平均28.6分、10.8得点、5.7アシストと、チームに欠かせない存在となっている。

ニューメキシコ州にあるニューメキシコステイト大4年の志田萌は北海道出身。アメリカのバスケットボールに憧れ、高校2年の夏にIMGアカデミーで行われたバスケットボール・キャンプに参加した。そのときにIMGアカデミーのコーチに認められたのが人生の転機となり、高校3年のシーズンが終わった1月に渡米し、シーズン半ばからIMGアカデミーに編入。IMGアカデミーで4か月過ごした後、コーチの推薦もあって、短大のサウスジョージアテック大に進んだ。思い切りのいいドライブインを武器として活躍し、その年には全米の短大選手の中でセカンドチームに選ばれている。短大2年目のシーズンが始まる前にNCAA D1のニューメキシコステイト大から奨学金のオファーを受け、2021年にニューメキシコステイト大に進学した。今季はここまで6試合に出場、平均12.6分で1.8得点をあげている。

カリフォルニア州の大学で活動するニモ富士華太原絵葉(アメリカでの登録名はトゥーン絵葉)の2人はどちらもアメリカ育ち。173cmのガード、ニモはフロリダ育ちで、大学最初の2年はフロリダ州にあるD1のフロリダインターナショナル大でプレイし、2021年にカリフォルニアステイト大フラトンに転校した。昨季は24試合中18試合をスターターとして出場。今季も全5試合をスターターとして出場し、平均32.4分の出場でチーム最多の17.0得点をあげる活躍を見せている。

太原はニューヨーク育ち。夏にフロリダ州にあるIMGアカデミーのバスケットボール・キャンプに参加したときにコーチから勧誘され、家族で引っ越し、IMGアカデミーで高校時代を過ごした。185.5cmのフォワード。コロナ禍で大会こそ出られなかったものの、IMGアカデミー時代には、当時女子代表HCだったトム・ホーバスに誘われて日本代表合宿に参加した経験もある。現在はロヨラメリーモント大2年。昨季は13試合、今季はここまで5試合に出場している。

また、選手ではないが、ネバダ州にあるネバダ大の森田麻文アシスタントコーチもNCAAにおける日本人パイオニアのひとり。昨季からネバダ大のアシスタントコーチに就いているが、その前にはペンシルバニア州にあるロバートモリス大で7年間アシスタントコーチを務めており、D1でのコーチ歴8年、今季で9年目のベテランだ。ヘッドコーチを支えての采配や選手育成はもちろんのこと、海外の選手リクルートでもその手腕を発揮している。bjリーグ時代に滋賀レイクスターズのスタッフとして、アシスタントコーチの仕事をしていたこともある。


NCAA D1でプレイする日本人選手たち

今野紀花 ルイビル大4年

試合スケジュールプロフィール&スタッツ

鈴木妃乃 ノースアラバマ大 大学院生

試合スケジュールプロフィール&スタッツ

志田萌 ニューメキシコステイト大4年

試合スケジュールプロフィール&スタッツ

ニモ富士華 カリフォルニアステイト大フラトン4年

試合スケジュールプロフィール&スタッツ

太原絵葉(トゥーン絵葉) ロヨラメリーモント大2年

試合スケジュールプロフィール&スタッツ

NCAA D1で活動する日本人コーチ

森田麻文 ネバダ大アシスタントコーチ

試合スケジュールプロフィール


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宮地陽子 Yoko Miyaji

宮地陽子 Yoko Miyaji Photo

東京都出身。ロサンゼルスを拠点とするスポーツライター。バスケットボールを専門とし、NBAやアメリカで活動する日本人選手、国際大会等を取材し、複数の媒体に寄稿。著書に「The Man ~ マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編」(日本文化出版)、「スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ」(集英社)、編書に田臥勇太著「Never Too Late 今からでも遅くない」(日本文化出版)