馬場雄大がバスケ男子日本代表に感じた手応えと今後の課題

大西玲央 Reo Onishi

馬場雄大がバスケ男子日本代表に感じた手応えと今後の課題 image

8月30日、沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市)で行われたFIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区2次予選ウィンドウ4(第4節)の日本代表対カザフスタン代表の一戦は、日本が73-48で快勝し、日本は第4節を1勝1敗で終えた。

イラン代表との国際強化試合を含めると、トム・ホーバス・ヘッドコーチ体制になった日本代表で4試合をプレイした馬場雄大は、今回の代表活動の手応えは「凄く良いです」と語った。

「正直、バスケットボールってこんなに簡単なものなのかなって思うほどでした。スリー(3ポイントショット)をファーストオプションとして考えると、ディフェンスがそこに反応し、そのあとのドライブのスペースというのが自然と増えてくれる。そこで味方へのパスだったりも展開できて、コートを広く使えるようになりました。このメンタリティーを極めたいなと思っています」

カザフスタン戦こそ3Pショットは放った3本を全て外していた馬場だが、日本時間26日に行われたイラン戦では3Pを6本中5本成功させ27得点と大活躍。その前に行われたイランとの国際強化試合の2試合でも、それぞれ19得点(フィールドゴール 8/14、3P 2/5)、21得点(FG 8/11、3P 2/5)と大活躍を見せてきた。

実際のプレイもこれまでの得意だったドライブに加えて、3Pを躊躇することなく撃ち抜く姿が印象的だった。本人が話す通り、相手ディフェンスも馬場の3Pを警戒し始めたことで、ドライブがしやすくなっているのは見ている側からしても明らかだった。

強弱のつけ方が今後の課題

今回のカザフスタン戦はこれまでのホーバス・ジャパンと明確に違うポイントがあった。ニック・ファジーカスの存在だ。これまで5人の選手を外に配置するファイブアウトを続けてきた日本に、インサイド能力の高い207cmのファジーカスがどのようにハマるのかは注目ポイントとなった。

前半はファジーカス本人だけでなく、周りの選手も彼をどのようにオフェンスに組み込むのかを迷いながらプレイしている様子だった。後半に入ってからは、彼のインサイドプレイを増やすことで、ようやく全体が上手く回ることとなった。

ファジーカスはカザフスタン戦の直前にチームに合流したこともあり、ほとんど一緒に練習ができていなかったことも影響しただろう。馬場もその点は今後の日本代表の課題になることを話している。

「ニックと練習、このバスケットボール(スタイルでは)全然できていないので、トランジションのところもやり辛かった部分もありますし、普段ファイブアウトでやっていて、ニックがひとりいるだけで(中に)ディフェンスがいることで、少しやり辛さはありました。後半ちょっとメンタルを変えて、もう少しニックを中心にいこうということでやれたのは、収穫かなと思います」

しかし、ホーバスHCが就任してきてから築き上げてきたバスケットボールスタイルを、ファジーカスだけのために変えてしまうわけにはいかない。彼の能力を最大限発揮するために、チームとしてどうプレイするのかが重要となりそうだ。馬場はそこに関して「ニックがいるときといないときの強弱として、良いリズム作りになるのかなと思います」と話す。

「彼の強みは失くしたくはないと思うので、出ている時は彼の得意なバスケットボールをやりながら、いない時はプレッシャーかけていくっていうリズム作りはひとつ武器なのかなと思いました」

現在NBAのワシントン・ウィザーズで活躍する八村塁も、ミドルやインサイドでのプレイを得意としている。ホーバスHC以前の日本は、八村やファジーカスのいない時間帯をどう耐えるかという状況に陥ることが多かった。

しかし今の日本ならばファイブアウトを主体とした戦術に、さらに八村やファジーカスといった世界相手にインサイドでも活躍できる選手を組み込むことで、より多角的な攻め方を見せられるようになる。そんな進化の可能性を感じられる一線となった。

▶バスケ観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。