バスケ男子 ホーバスHCが新生日本代表について語る「プレイスタイルは女子と一緒」

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FIBAワールドカップ2023 アジア地区予選が今週開幕

トム・ホーバス・ヘッドコーチ率いるバスケットボール男子日本代表が、今週末に予定されている中国代表との2試合でFIBAバスケットボール ワールドカップ2023 アジア地区予選のスタートを切る。

日本代表は、同予選のウィンドウ1としてゼビオアリーナ仙台(宮城県仙台市)に中国代表を迎え、11月27日(土)と28日(日)の2日間で合計2試合を行う。

女子日本代表HCとして東京オリンピックで銀メダルを獲得したホーバスHCは、2017年から東京五輪まで4年間にわたって男子日本代表を率いたフリオ・ラマス氏の退任後、9月に男子の指揮官に就任。その後、Bリーグの視察などを経てこのウィンドウ1に向けた選手選考を行なった。

日本バスケットボール協会は11月15日にウィンドウ1に向けた大会予備登録24選手及び直前合宿参加25選手を発表。ホーバスHCは同日に始まった合宿の4日目となる19日に開催されたメディアデー(オンライン会見)で、合宿の様子や選手選考、中国戦への意気込みなどについて語った。

以下、ホーバスHCの質疑応答全文。


サイズアップより、速いペースを作りたい

――合宿の感想と内容。

ホーバスHC:選手たちはすごく良いエネルギーで(合宿が)始まりました。ここまで4回練習しましたが、エネルギーは全然落ちてないです。全員が一生懸命がんばっている。良い合宿の出だしかなと思います。コンペ(競争)が結構激しいです。

――中国戦に向けてチームの目標、チームの作り方。

ホーバスHC:目標は「勝ちたい」。当たり前です。今24人いるから、バスケットのシステムとかスタイル、誰がシュートするとか…とりあえずいろいろプレイを(頭に)入れたんです。急に、たくさん。誰がうちのプレイとかルールを覚えるかとか、覚えている最中にパフォーマンスできるかどうかとか、そこをすごくチェックしています。

――どんなチームにしようとしている?

ホーバスHC:この短い間に良いチームを作りたい。プレイスタイルは女子と一緒。あのバスケットは男子にしても女子にしても日本にぴったりだと思う。1~3番の選手が速いし、シュート力もあるし、頭もよく使っている。その力を上手に使いたい。

――富樫勇樹選手と今村佳太選手が入っている理由と彼らに期待すること。

ホーバスHC:富樫選手は長い間見ていて、このスタイルにすごくぴったりだと思う。長いスリーも打てる、ドライブもできる、フィニッシュもできる、パスも上手。いいペースを作れる選手だと思います。

今村選手は、彼のあのポジション(SG~SF)であのサイズがあるのも好きだし、シュート力もある、ドライブもできる、ディフェンスも良い。2~3番の選手は人数が多くてレベルも高いです。あの選手たちの中で誰がステップアップできるかなと思っています。彼(今村)は本当に今までいい仕事をしています。

――これまでアンダー世代も含めてサイズアップを重点に置いていたと思う。今回それにとらわれずに選出されているように感じるが、方針転換なのか?

ホーバスHC:私はサイズアップより、速いペースを作りたいと思っています。たぶん、オリンピック前のサイズアップはポイントガードだったと思うが、(田中)大貴が1番になってサイズアップしていました。今の2~3番の選手はそんなに小さくないと思います。このバスケットは2~3番のポジションはあまり関係ありません。そこは悪くないと思っています。4~5番は、ビッグマンがたくさんいないのでサイズアップできません。

(ポイントガードのサイズアップは)もちろんプラスもマイナスもあるんですけど、今いる富樫選手、齋藤(拓実)選手、寺嶋(良)選手、藤井(祐眞)選手、ベンドラメ(礼生)選手は、サイズアップよりも、技術とか、速さとか、プレイメイク、ゲームメイクの力の面で、マイナスよりプラスが絶対にあると思います。

――群馬クレインサンダーズの野本建吾選手とアキ・チェンバース選手の選出理由。

ホーバスHC:アキ・チェンバースは、もともと彼のバスケットが好きだったし、大きさも力もある、リバウンドもできる、ディフェンスも良い。今シーズンの3ポイントシュート成功率は40数%あります。絶対、彼の力を使いたい。あと、野本選手はサイズがある。3ポイントシュートはあまりないんですけど、ビッグマンが少ないので、彼のサイズは貴重。エネルギーとか力もあるからトライしてほしいし、トライしたほうがいいかなと思いました。この合宿で彼は本当にがんばっています。自信を持っていると思う。

――田中大貴選手について。Bリーグの試合の視察に行ったときに「オリンピックに出た選手は見る」、「コミュニケーションは取っている」という話が出たが。

ホーバスHC:(アルバルク)東京と千葉(ジェッツ)の試合が終わって、彼(田中)といろいろ話しました。私は「気持ちがあればぜひ来てください」「あなたのバスケットも好きだ」と伝えましたが、彼はオリンピックが終わって今は気持ちが足りないと言っていた。それは私も分かっていたから、2月の試合(ウィンドウ2)でやりたいなら待ってますよ、いつでも来てください、と言いました。でも、このシステムでは2番だと言いました。

彼だけでなくオリンピックに出た選手たちはメンタルに疲れがあります。それは当たり前。しょうがないんです。オリンピックに出た12人には、もしウィンドウ2でやりたいんだったら、それで良いと伝えています。

今のチームにはオリンピック選手が5人入っていますが、みんなモチベーションが高いし、エネルギーも本当に良いです。

――女子のオリンピックでは選手個々に役割を与えていた。男子も同じか。スペシャリストは重視する?

ホーバスHC:一緒です。本当は金丸(晃輔)選手が3ポイントのスペシャリストで、彼とも話しましたが、オリンピックが終わってから気持ちが足りない(感じだった)。そういう選手は結構いました。このシステムではシューターが必要なので、シューターを探しています。

今の2~3番はオールラウンド。岡田(侑大)とか、今村とか、西田(優大)とか。シュートだけでなく、ドライブもいろいろできる。そこを今、私の頭の中でいろいろアジャストしています。システムの中でどう使うのがいいかとか、いろいろ考えています。2~3番は全員シュートできます。(3P成功率が)40%近くあるからそこは大きい。今のメンバーでは(純粋な)シューターは古川(孝敏)だけだと思う。

――ディフェンスのスペシャリストを選ぶ予定は?

ホーバスHC:今(男子の選手たちを)勉強中。女子は長いこと見ていたので、細かいところ、強いところ、弱いところがわかっていました。今は(男子の)そういうところをよく見ています。何が足りないかとか、何が良いとか。

思ったより原(修太)選手のディフェンスが良いです。力もある。面白いかなと思いました。たとえば原選手も、3Pはキャリアで40%くらいですけど、この合宿ではそんなに入ってないから、(純粋な意味での)シューターではないかな、という感じです。まあ、彼はドライブも強いから。

そういうところをよく見ています。このシステムに合っているかどうかとか、そこはよく見ています。次の試合(中国戦)は12人じゃなくて、15~17人を考え中です。本当にトライアウトです。この1週間では時間が足りません。試合も見たい。そこはスタッフといろいろ話しています。

――パリ五輪(2024年)に出るにはアジアで上位に入る必要がある。中国には(6月の)アジアカップ予選でも2連敗した。どうやったら勝てるか。

ホーバスHC:相手のフィジカルバスケットに簡単に負けたら良くない。そこは負けたくない。でも、うちの速さとかスペーシングとか、ペース。速い試合のペースを作れるようならすごく大きいかなと思います。ハーフコートゲームになったら中国のアドバンテージ。フルコートゲームの速いゲームにできれば、うちの力が見せられるんじゃないかと思います。

――中国戦で目標にしている数字。3Pとか失点数とか。

ホーバスHC:速いペースにするなら80点台くらいは行きたい。速いペースになれば相手もポゼッションが増えるので70失点でも悪くない。うちが90点台なら相手が80点台でも悪くないと思う。とりあえず速いバスケットのペースを作りたい。

――帰化選手をどう選んだか。

ホーバスHC:ギャビン(エドワーズ)、(ニック)ファジーカス、(ライアン)ロシターと話したが、ギャビンはオリンピック終わって今は気持ちが足りない。ロシターはオリンピックに出られなかったから今はモチベーションが足りない感じ。ニックももう36歳で足もちょっと痛いから今回は休みたいようです。

帰化選手は今は少ないですが、ルーク・エヴァンスがすごいがんばっています。思ったより悪くないです。身長(203cm)は(ビッグマンとしては)少し小さいんですけど、3ポイントもあるし、本当に真面目な選手。一生懸命がんばっている。練習が終わってからもシューティングするとか、チームメイトともコミュニケーションを取っているから、使えるんじゃないかなと思っています。


FIBAバスケットボール ワールドカップ2023 アジア地区予選ウィンドウ1 日本対中国 開催概要・日程

▼第1戦
中国代表 対 日本代表
11月27日(土)12:05試合開始予定
中継(放送・配信):BS日テレ/DAZN

▼第2戦
日本代表 対 中国代表
11月28日(日)18:35試合開始予定
中継(放送・配信):BS朝日/DAZN

会場:ゼビオアリーナ仙台(宮城県仙台市)


FIBAバスケットボール ワールドカップ2023 アジア地区予選 概要

FIBAバスケットボール ワールドカップ2023は、2023年9月にフィリピン、日本、インドネシアの3か国で共催されるバスケットボールの国別世界一決定戦(32チーム出場)。今週末開催されるアジア地区予選には、オーストラリア、バーレーン、中国、台湾(チャイニーズ・タイペイ)、インド、インドネシア、イラン、日本、ヨルダン、カザフスタン、韓国、レバノン、ニュージーランド、フィリピン、サウジアラビア、シリアの16チームが出場する。

2021年11月のウィンドウ1を皮切りに、2022年2~3月(ウィンドウ2)、6~7月(ウィンドウ3)の1次予選、2022年8月(ウィンドウ4)、11月(ウィンドウ5)、2023年2月(ウィンドウ6)の2次予選と6回の予選を経て2023年のワールドカップ出場枠を争う。

開催国枠としてワールドカップ出場権を保持しているフィリピンと日本に加えて、アジア地区からは6チームが出場権を得る(※インドネシアが2022年7月に予定されているアジアカップで準々決勝進出を果たせばワールドカップ出場権を開催国枠で獲得することになるため、その場合は残り5枠となる)。

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日本を拠点に国内外の様々なスポーツの最新ニュースや役に立つ情報を発信しているスポーティングニュース日本版のスタッフアカウント。本家であるスポーティングニュース米国版の姉妹版のひとつとして2017年8月に創刊された日本版の編集部員が取材・執筆しています。