9月22日、バスケットボール男女日本代表の新ヘッドコーチたちが就任記者会見を行なった。東京オリンピックで女子日本代表を率いて銀メダルを獲得し、今回、新たに男子代表の指揮を執ることとなったトム・ホーバスHCは「こういうチャレンジは本当に大好きです」と抱負を語っている。
アメリカ出身のホーバス新HCは、1967年生まれで現在54歳。現役時代は日本リーグのトヨタ自動車などでプレイし、同リーグで4年連続得点王に輝いたあと、NBAのアトランタ・ホークスでもプレイした経験を持つ。2010年に指導者に転身し、JX-ENEOSサンフラワーズ(現ENEOSサンフラワーズ)でコーチ、アソシエイトヘッドコーチ、ヘッドコーチを歴任。女子日本代表では2011年にアシスタントコーチを務め、2017年にはヘッドコーチに就任。東京オリンピックまで4年間、指揮を執った。
そして、五輪から約6週間後の21日、日本バスケットボール協会はホーバスHCが女子代表HCを退任し、新たに男子代表のHCに就任することを発表した。ホーバスHCが抜けた女子代表の指揮官には、アシスタントコーチとしてホーバスHCを支えてきた恩塚亨氏が昇格している。
ホーバス新HCは22日の会見で、男子代表HCのオファーを引き受けた理由として、オリンピックから少し時間を置いて考えた末に、男子代表という新たな道に面白さを感じたことを挙げた。
また、女子の指導から男子の指導へと状況が変わるものの、自らのコーチングスタイルは変わらないとする一方で、男子のほうがリーグ戦が長期にわたるため、代表として取れる練習時間が少なく、FIBAのウィンドウに合わせて試合をこなす必要があるとしている。ただ、男女で多少の違いはあるものの、「練習のアジャストメントとかいろいろやるが、そこも楽しみ」と、新たな挑戦を受け入れる構えを見せている。
ホーバス新HCは、友人でもあり尊敬しているという前任のフリオ・ラマスHCが築いた土台に自らのスタイルを付け加えることで、男子代表はさらにレベルアップできると確信しているようだ。
「Bリーグにはいいシューターも、いいポイントガードもいる。若いビッグマンもいる。面白いバスケができる。渡邊雄太と八村塁もこのスタイルがぴったりだと思う。ここから楽しみです。応援してください。100%がんばります」。
4年前に女子代表のHCに就任した際は、『目標は金メダル』と明言したことで知られるが、今回は具体的な目標を明示しなかった。それは、女子の選手たちとは当時、クラブや代表ですでに長年お互いに信頼関係を築いており、世界のレベルとの距離感も分かっていたことが根底にあった。今回は、男子選手と一から関係を構築していくことになるため、「簡単には目標を言わない」とした。
「これからリレーションシップ(関係性)を作るので、そこは大きいです。選手たちの気持ち、選手たちの努力のレベルとか、選手たちがどこまで信じているかの気持ち。そこをこれから勉強したい」。
「11月から中国との試合(※2023年FIBAワールドカップ・アジア地区1次予選)があるんですけど、ほかの国も勉強したい。そこからもっと細かい目標を作ります。選手たちとのリレーションシップが大きい。塁と雄太にアメリカでも会いたいし、話したい。(女子代表で)一番大きかったことは、選手たちが僕のことを信じて尊敬し、僕も選手たちを信じて尊敬したこと。そういうリレーションシップを(男子代表でも)作りたい」。
現在カリフォルニア州サンディエゴで家族と過ごしているというホーバス新HCだが、10月には日本へ戻り、Bリーグの試合の視察や代表候補選手たちとのコミュニケーションを開始するつもりだという。
2023年にフィリピン、日本、インドネシアの3か国共催となるFIBAワールドカップ、今年11月から始まるその予選(日本は開催国枠での本大会出場権を保持)、そして2024年のパリ・オリンピックまでに、男子日本代表をどれだけ前進させることができるのか? 女子代表での成功を男子にももたらすことができるのか?
東野智弥JBA技術委員長が『ストラテジーの天才』『言葉のマジシャン』とそのコーチ手腕を絶賛するホーバス新HCの新たな挑戦が始まった。
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