バスケ解説者・佐々木クリスに聞くFIBAワールドカップ2023:日本代表の注目選手は? 渡邊雄太、ホーキンソン、富樫勇樹、馬場雄大の特徴

及川卓磨 Takuma Oikawa

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FIBAバスケットボールワールドカップ2023が8月25日に開幕。日本、フィリピン、インドネシアによる3か国共催となる今大会について、バスケットボール・アナリスト(解説者)として活躍する佐々木クリス氏に深掘り解説してもらった。

グループフェーズでドイツ、フィンランド、オーストラリアと対戦する日本代表チームの注目選手は誰なのか? 佐々木氏は4人の名前を挙げ、それぞれ特徴について詳しく解説してくれた。

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日本代表の注目選手①渡邊雄太の特徴と魅力

日本代表の注目選手といえば、何と言っても、NBAフェニックス・サンズ所属の渡邊雄太選手だと思います。前回2019年には孤軍奮闘の末、34得点をたたき出したゲームなどもありました。そういった中で、渡邊選手は日本のハート&ソウル、魂でもあると思います。

富樫勇樹選手と共に、リーダーとしてこのチームを引っ張っていく選手でもあります。そして、彼のオールラウンド性です。206cmの身長がありながら、3ポイントショットも高確率で沈めることができますし、どのポジションの相手も守ることができます。そして、カッティング、パス、ドリブル全てを高いレベルでこなせるというのは、まさにトム・ホーバス・ヘッドコーチが求めている一番重要なピースになってくると思います。

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日本代表の注目選手②ジョシュ・ホーキンソンの特徴と魅力

2人目に挙げたいのは、日本国籍を取得しているジョシュ・ホーキンス選手です。208cmの長身でありながら、渡邊選手と同様に3ポイントも放つことができるセンターであることが最大の強みです。さらにホーバスHCが掲げるアップテンポなバスケットボールスタイルにぴったりとはまるような、非常に走力のあるセンターということが大きな魅力です。

ホ―バスHCは代表活動の中でこのホーキンス選手を(NBAで2度MVPに輝いたデンバー・ナゲッツのセンター、ニコラ・ヨキッチになぞらえて)『ジャパニーズ・ヨキッチ』と表現したこともあるぐらい、非常にバスケットIQも高いです。

先日の強化試合(チャイニーズ・タイペイ戦)でも、ボールが手の中にある時間が本当に短かったんですが、ホーバスHCは各選手に0.5秒以内に次のプレイの判断を下すように、ということを課しているんですけども、センターでありながらポイントガード並の判断力と先の展開を読んでしっかりと状況判断をできる彼のような選手がいるのは、日本にとって非常に大きな強みになってきます。

(アジア予選で同じ帰化選手の)ルーク・エヴァンス選手もすごく貢献してくれました。彼の予選での活躍や貢献というのは、日本のファンみんなが感謝すべきことだと思うんです。彼が身を粉にして戦ってくれなかったら、日本はこのステージに立てていなかったはずだと思うので、そのタスキをつないでくれたわけです。ホーキンス選手はこれまでそれを繋いでくれた歴代の帰化選手の想いも十分背負える選手だと思います。

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日本代表の注目選手③富樫勇樹の特徴と魅力

3人目は富樫勇樹選手です。日本代表のポイントガードの顔として、代表活動も長らく行なってきましたし、Bリーグでも7年連続でベストファイブに選ばれている選手です。低身長(167cm)のポイントガードながら30歳という本当に今一番、円熟味を増している年齢だと思います。彼と渡邊雄太選手(28歳)がバスケットボール選手としてのピーク年齢を迎えているというのが、このワールドカップではすごく重要な要素になってくると思います。

世界のバスケットボールではスイッチディフェンスもたくさんやってくるなかで、それを攻略するために、時に個の打開力というものが必要になってくると思います。そこで、富樫選手が、冷静に自分でそこを打開していくのか、はたまた味方を生かしていくのか、そういったものを選択しながらやっていくことになると思います。国内においては彼か比江島慎選手。スイッチディフェンス・アタックにおいては、この2人を置いて右に出る者はいないというぐらいの円熟味があると思います。なので、やはり世界レベルの攻防になったときも、富樫選手が突破口になる場面というのは少なからず出てくると思いますし、これまでのワールドカップや東京五輪以上にこのペース&スペースが重要というなかで、彼がやらなければいけないことは増えてくると思います。

あとは、例えば馬場雄大選手や渡邊選手、それから富永啓生選手といった主に海外でプレイしている選手と国内組の橋渡し役として、精神的な支柱としての役割も少なくないんじゃないかなと思っています。

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日本代表の注目選手④馬場雄大の特徴と魅力

最後は、馬場雄大選手です。コロナ禍で難しい時期にはなりましたけども、3シーズンを海外リーグで過ごした経験があります。強化合宿ではホーバスHCとみっちり1on1のトレーニングセッションなども行なって、富樫選手と馬場選手は一番多くホーバスHCとコミュニケーションを取る時間を持つことができたんじゃないかと思います。コーチのコメントからも伺えるように、馬場選手には相当の期待と信頼を寄せているのは間違いないと思います。

また、3ポイントショットの能力や、これまで武器にしていたスティールや、速攻でのダイナミックさ、ドライブはもちろんなんですけれども、よりゲームを俯瞰して見られるだけの冷静さが出てきました。アシストパスの力も伸びているというところも非常に評価できると思います。

3ポイントとかペイントアタックといったホーバスHCが重視する日本代表のキーポイントの全てを裏で繋ぎとめる一番大事な接着剤の部分というのは、選手たちのパスの能力だと僕は思っています。だからこそ、渡邊選手、ホーキンソン選手、富樫選手の評価が高くなるんですが、馬場選手もそのレベルに近づいてきています。そう考えると、彼の『突破口』としての威力に加えて、冷静沈着さ、そしてパスの能力も伸びているということは、世界で歴史的な勝利を挙げるために、非常に重要なファクターなんじゃないかなと思います。

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佐々木クリス プロフィール

ニューヨーク生まれ、東京育ち。青山学院大学在籍時に大学日本一を経験。千葉ジェッツ、東京サンレーヴスでプロ選手として活動したのち、2013年よりNBAアナリストとしてNBAの中継解説をスタートさせる。2017年より国内Bリーグの公認アナリストとしてNHK、民放各局などでもBリーグ中継解説を務める傍ら子供達を指導する『えいごdeバスケ』を主宰。日本バスケットボール協会C級コーチライセンスを保有。著書に「NBAバスケ超分析~語りたくなる50の新常識~」がある。

取材:及川卓磨(スポーティングニュース日本版)
撮影:早坂卓真
協力:有限会社ボイスワークス

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及川卓磨 Takuma Oikawa

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スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。2000年日本大学卒。大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・マルチメディア運営等に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長就任。サイトやNBA日本公式ソーシャルメディアの新規開設に携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。