新生日本代表はアジア地区予選2連敗スタート
11月28日、FIBAバスケットボール ワールドカップ2023アジア地区予選ウィンドウ1の日本代表対中国代表の第2戦がゼビオアリーナ仙台(宮城県仙台市/来場者数1575人)で行われ、日本が73-106で敗れた。前日の27日に同会場で行われた第1戦でも日本は63-79で中国に敗れており、同予選2連敗スタートとなった。
日本は前日の第1戦からポイントガード陣3人を総入れ替えした。第1戦に出場した富樫勇樹、齋藤拓実、藤井祐眞の代わりにロスター入りしたのはベンドラメ礼生、岸本隆一、寺嶋良の3人。また、岡田侑大に代わって須田侑太郎を登録し、初戦から合計4選手を入れ替えた。
日本の先発はベンドラメ、比江島慎、アキ・チェンバース、張本天傑、ルーク・エヴァンスの5人。第1戦の先発から富樫をベンドラメに、シェーファーアヴィ幸樹をエヴァンスに代えて強豪との連戦に臨んだ。
試合は前日と同様に、第1クォーターの10分間で10-29と序盤から日本が大差を付けられる展開となった。続く第2Qも19-24と点差を広げられ、前半を29-53と24点差で折り返すと、第3Qも21-31とさらに傷口を拡大。第4Qを迎えた時点で50-84と中国に34点差をつけられた日本は、最後の10分間こそ23-22と相手を1点上回ったものの、試合全体としては33点差というスコアが示す通りの完敗となった。
日本は、A代表戦初出場となった寺嶋がベンチから約27分のプレイでチームトップの16得点をマークした(加えて3アシストも記録)。広島ドラゴンフライズに所属する24歳は、試合開始から2分半足らずで先発PGのベンドラメに代わって出場機会を得ると、自身がボール運びを担当した最初の攻撃ポゼッションでいきなりビッグプレイを見せる。スピードを生かしたドライブを駆使してディフェンスを振り切り、身長212cmのセンター、ワン・ジェーリン(王哲林)をかわしてリバースレイアップを決めた身長179cmのPGは、その後も思い切りの良いプレイで日本を牽引した。
そのほか、エヴァンスが3ポイントショット5本中2本成功などで15得点、10リバウンドのダブルダブル、寺嶋と同様にA代表デビュー戦となった岸本が試合終盤のディープスリーを含む10得点、前日の第1戦でチーム最多11得点をマークした22歳の西田優大が2戦連続二桁得点となる10得点を記録した。
「2回連続で出だしが悪かった」
トム・ホーバスHCが重視する3Pは、チーム全体で32本中8本成功の成功率25%だった。第1戦(35本中7本成功、成功率20%)と合わせた2試合合計では67本中15本成功(22.4%)と、理想とはほど遠い出来に終わった。
日本の指揮官は「2回連続で出だしが悪かった。昨日は第2~4Qは悪くなかった。今朝みんなと話して、いい練習をやって、みんな分かっていたかなと思ったんですけど、(今日も)出だしが良くなかった」と立ち上がりの悪さに頭を抱えた。一方で、後半については多少ポジティブな面もあったとしている。
「うちだけ(の問題)ではなく、中国は強いチームです。相手のプレッシャーに負けたのはあまり良くないと思った。第1Qは最初のほうは良くなかったですけど、少しうちの自信か、エネルギーが下がった。それは良くないです。第2Qは小さいラインナップとかいろいろアジャストした。古川(孝敏)が2回連続でスリーを決めたけど、そのあとあまりいいバスケットができなかった。後半は少し、うちのプライド、いいエネルギーが出せたかなと思います」。
一方中国は、第1戦で右足首を負傷するまで20分足らずの出場時間で24得点、12リバウンドをあげた212cmのセンター、ジョウ・チー(周琦)がこの日はプレイしなかったものの、ワンが代わりに先発して自慢の高さを誇示した。ただし、高さだけに頼るのではなく、激しいディフェンスと巧みなボールムーブメント、高い精度を誇る3Pも披露し、日本を翻弄した。ジョウとグォ・アイルン(郭艾倫)の個人技が目立った初戦と打って変わり、第2戦ではより洗練されたチームバスケットもできる深みを見せつけた。
Zhao Rui(趙睿)の27得点を筆頭に、Zhang Zhenlin(張鎮麟)が17得点、グォが約19分と控えめな出場時間で14得点、21歳の新星Xu Jie(徐杰)が13得点、Hu Jinqiu(胡金秋)が12得点と5人が二桁得点をマークした中国は、チーム全体で3P24本中14本成功(58.3%)、28アシスト(日本は18)を記録している。
「この経験、この気持ちを絶対に忘れない」
開催国のひとつとしてW杯本大会の出場権を保持している日本にとって、今回のアジア地区予選はいわばテストマッチであり、勝敗については一喜一憂するようなものではない。現在米国でプレイしている八村塁、渡邊雄太、馬場雄大ら東京オリンピックに出場した“海外組”も不在だった。
そのため、この2試合は勝敗を重視するというよりも、ホーバスHCが目指すスタイルのテストや、選手選考のトライアウトとしての意味合いのほうが強かったと言える。
とはいえ、現時点で招集可能なベストメンバーと考える布陣で臨んだホームでの中国との2試合合計で49点差の大敗を喫したことは、紛れもない事実でもある。
W杯の先にある2024年パリ・オリンピック自力出場を目指す新生日本代表にとって中国は五輪争いのライバルであり、そんな相手に2試合連続で惨敗したという現実は、しっかりと受け止めなければならない。
ホーバスHCは「試合が終わってから、『この経験、この(悔しい)気持ちを絶対に忘れない(ように)』と言いました」と語っている。
「(日本代表が目指している)このバスケットスタイルはBリーグのチームはやらないんですけど、代表選手はリーグのチームの練習が終わってからいろいろ、少し練習したほうがいいかなと思います。このバスケットスタイルの練習が必要。スタッフたちともいろいろ考えます。ビデオを作るとか、選手たちにコミュニケーションしようと思います」。
日本代表にとっての次戦となるウィンドウ2(アジア地区予選第3~4戦)は、約3か月後の来年2月に行われる。ここで、日本は台湾(チャイニーズ・タイペイ)、オーストラリアと対戦する予定だ。
FIBA W杯2023アジア地区予選 概要
FIBAバスケットボール ワールドカップ2023は、2023年9月にフィリピン、日本、インドネシアの3か国で共催されるバスケットボールの国別世界一決定戦(32チーム出場)。今週末開催されるアジア地区予選には、オーストラリア、バーレーン、中国、台湾(チャイニーズ・タイペイ)、インド、インドネシア、イラン、日本、ヨルダン、カザフスタン、韓国、レバノン、ニュージーランド、フィリピン、サウジアラビア、シリアの16チームが出場する。
2021年11月のウィンドウ1を皮切りに、2022年2~3月(ウィンドウ2)、6~7月(ウィンドウ3)の1次予選、2022年8月(ウィンドウ4)、11月(ウィンドウ5)、2023年2月(ウィンドウ6)の2次予選と6回の予選を経て2023年のワールドカップ出場枠を争う。
開催国枠としてワールドカップ出場権を保持しているフィリピンと日本に加えて、アジア地区からは6チームが出場権を得る(※インドネシアが2022年7月に予定されているアジアカップで準々決勝進出を果たせばワールドカップ出場権を開催国枠で獲得することになるため、その場合は残り5枠となる)。
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Photo courtesy by FIBA