アジアカップ5連覇、女子バスケ日本代表キャプテンの林咲希「一人ひとりががんばった結果」

及川卓磨 Takuma Oikawa

アジアカップ5連覇、女子バスケ日本代表キャプテンの林咲希「一人ひとりががんばった結果」 image

10月3日の中国代表との決勝戦に勝利を収め、FIBA女子アジアカップ5連覇を達成したバスケットボール女子日本代表が、翌4日に現地ヨルダンからオンラインで記者会見に応じた。

今大会でチーム最多の3ポイントショット(14本)を成功させて優勝に大きく貢献したシューティングガードの林咲希は、「正直ホッとしている部分はあります」と5連覇のプレッシャーから解放されたことを明かした。

東京オリンピックでの銀メダル獲得に貢献した林は、その五輪メンバーから今大会に出場した5人のうちの一人。今大会ではチーム最年長(26歳)選手で、キャプテンも務めた。「キャプテンとしてどうやってみんなを引っ張っていくか」を考え、「最終的にこのチームで勝ちたい」という気持ちで戦い抜いた。日本が誇る3ポイントシューターは、勝ち切る力をつけられたことが今大会の収穫、と説明している。

決勝の中国戦の最終局面、3点リードした状態での最後のディフェンスの際には、中国の黄思静(#11 HUANG, Sijing)の3ポイントショットに腕を伸ばして食らいついた。その結果、相手のミスショットを促し、日本の勝利を決定的なものにした。

このディフェンスについて林は「11番がポップしたところが結構、外気味だったので、一瞬焦った」と振り返っている。それでも、「コンテストしたときに、ショートになるなっていう感じのコンテストができていたので、外れるかなと思いながら、あまり焦ることなく、あの場面は乗り切れた」と言う。

もし決められていたら同点に追いつかれるという大事な場面において、いかに冷静に状況を判断できていたかがこの言葉に凝縮されていると言えるのではないだろうか。

以下、大会終了翌日に開かれた記者会見での林キャプテンの一問一答。

――金メダル獲得の感想。

この新しいチームで金メダルを取れたことを本当に嬉しく思います。オリンピックが終わってからの大会だったので正直ホッとしている部分はあります。

――大会総括。

自分自身は今大会、キャプテンとしてどうやってみんなを引っ張っていくかっていうのを考えながらやっていたんですけど、最終的にこのチームで勝ちたいという気持ちが本当に強くて、インド戦以外はどの試合もすごいしんどい時間帯が多い試合だったんですけど、勝つっていうことだけを考えて、何がなんでも点を決めてやるとか、走ってどうにか自分たちの流れに持っていこうってずっと思ってやっていたので、その勝ち切る力をつけられたのが今大会の収穫だと自分的には思っていて。3ポイントを打たせてもらえなかったんですけど、それでも自分の中では落ち着いてプレイできていたので、チーム全員が焦ることなく、優勝する瞬間まで気を引き締めて戦えたのがすごくよかったのかなって思います。なんで、選手の一人ひとりに感謝したいですし、みんなによくがんばったねって伝えたいと思います。

――スター選手がいないなかで金メダル。オリンピックから5人しか選ばれていないチームでの結果をどう考えているか。

オリンピックのことは特に考えていなくて。新体制で臨んだ大会だったので。プレッシャーもチーム的にはそこまでなくて、このチームでどれだけ進んでいけるか、どんな結果が残せるかすごくワクワクした大会だった。オリンピックメンバーとかそういうのは関係なく、選手一人ひとりがこのチームで勝ちたいという思いが強かったので、その結果が優勝に繋がったんじゃないかと思います。

――中国戦で終盤走りきれた。苦しいところでがんばれた要因。

さっきも言った通り、ベンチにいる人たちもずっと声をかけてくれていた。試合に出られない子たちも必死にベンチから声をかけてくれましたし、自分がベンチに帰ったときもポジティブな言葉かけとか、まだ行けるよ、というような言葉をすごくかけてくれたので、勝ちたいっていう気持ちが自分にも伝わってきましたし、コートに立っている一人ひとりが感じていた大会だったと思うので。中国戦以外もどの試合もしんどかったんですけど、このチームで勝ち切れたのは一人ひとりががんばった結果だと思います。

――5連覇のプレッシャーにどう対応したか。

実際、決勝に行くまでが一番プレッシャーというか、少しは感じていましたね。でも、このチームは新しいチームですし、もうどこまでやれるかというワクワク感のほうが自分的には強かったので、優勝しなきゃいけない、という気持ちはそこまでなくて、今までやってきたことを一人ひとりががんばって出せば、結果はついてくると思っていたので、焦ることなく1試合1試合戦えたのがすごいよかったのかなと思います。

――W杯予選、本戦へ向けててどのような点を高めていきたいか。

個人的には、もうちょっとボールに絡む部分と絡まない部分と、もうちょっと駆け引きをうまくなりたいなと思っていて。ボールをもらえないところでどれだけカッティングとかでいいリズムを持ってこれるか、を試合を振り返りながら考えていきたいと思っています。

チーム的には、今回すごい踏ん張れた大会だったんですけど、もうちょっと離せる部分とか、自分たちの流れが来たときにそのまま引き離せるリズムをどうやって作るかというのが、これからの課題になってくると思う。チャンスが来たときに全員で得点であったり、そういう部分で引き離して、チームの一人ひとりが試合に出られるような環境をもうちょっと作ってあげたいなという気持ちがあったので。あと、リバウンドが今大会も最後まで取り切れなかった部分があったので、もうちょっとそこも徹底してやっていきたいなと思っています。

――決勝、中国戦、最後のディフェンスの場面。相手の3ポイントショットに林選手がコンテストした。決められたら同点に追いつかれるショットだったが、あの瞬間どんな思いでプレイしていたか。

3ポイントを止めなきゃいけないと思っていて、その11番がポップしたところが結構、外気味だったので、一瞬焦ったんですけど、でもコンテストしたときに、ショートになるなっていう感じのコンテストができていたので、外れるかなと思いながら、あまり焦ることなく、あの場面は乗り切れたんじゃないかなって思います。

――ファンの皆さんへメッセージ。

5連覇することができました。本当にたくさんのメッセージや応援ありがとうございました。新チームで今大会優勝できたんですけど、個人的にもチーム的にも課題の残る大会だったので、これからもっと練習してレベルアップしていけたらと思っています。本当にありがとうございました。


▶FIBAアジアカップ観るならDAZNで。1か月間無料トライアルを今すぐ始めよう

及川卓磨 Takuma Oikawa

及川卓磨 Takuma Oikawa Photo

スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。2000年日本大学卒。大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・マルチメディア運営等に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長就任。サイトやNBA日本公式ソーシャルメディアの新規開設に携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。