Bリーグ開幕を控える富樫勇樹「今まで以上に泥臭いバスケットを」 都内でトークショーを開催

及川卓磨 Takuma Oikawa

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9月16日に東京・新宿で行われたトークイベントに出席した富樫勇樹(写真提供:日本シグマックス)

「W杯に向けていいものが見えてきた」

9月16日、Bリーグ千葉ジェッツに所属するバスケットボール男子日本代表の富樫勇樹が東京都内でトークショーを行なった。

最前列の観覧者までおよそ2メートルほどという近距離のイベントは「すごく久しぶり」と話した富樫は、普段の試合のようなきっちり髪を上げて固めるスタイルではなく、センター分けのさらさらヘアに黒の上下、黒のコンバースという格好で会場に登場。いつもの「がっちり富樫」スタイルではなく「下ろし富樫」のヘアスタイルについて司会者から話を振られると、「手を抜いているわけではないです(笑)。もしかしたら今年はこれで試合をするかもしれませんし、しないかもしれません」と話した。

「試合ではああやって(髪を固めて)、オンとオフがあったほうがいいのかなと思っているんですけど…別にこれ(今日のヘアスタイル)がオフというわけではないですよ(笑)」と、会場を和ませた。

このオフシーズンについては「(日本)代表(の活動)がメインであるので、あまりオフシーズンという捉え方ではない」としつつ、「1年後に迫ったワールドカップに向けて、チームとしていいものが見えてきたという感覚がすごくあります」と語っている。昨季終了後、日本代表のキャプテンとしてFIBAアジアカップに出場するなど、充実した時間を過ごせたようだ。

「大野さんに甘えすぎていた」

現在プレシーズン戦を行なっているBリーグの2022-23シーズンは、今月29日に開幕する。富樫が所属する千葉は、10月1日に本拠地・船橋アリーナに大阪エヴェッサを迎え、新シーズンの幕を開ける。富樫にとってはプロ10年目という節目であり、20代(現在29歳)最後のシーズンでもある。

富樫は新シーズンに向けて「この夏、千葉ジェッツはチームが新しくなった。あそこまでコーチ陣が変われば、やるバスケットもスタイルもちょっと変わってくると思う。皆さんも楽しみにしている部分とちょっと不安に思う部分があると思う」と、現在の心境を語った。

千葉は今オフ、Bリーグ創設から6年間ヘッドコーチを務めた大野篤史HCを含むコーチ陣が総退陣し、ジョン・パトリック新HCとともに新たな船出を図ることになった。富樫にとってこの変化への対応はこれまでにない大きなチャレンジになるに違いない。

「何回かインタビューでも答えたことがあるんですけど、僕は大野さん(6月に千葉を退団。現三遠ネオフェニックスHC)に甘えすぎていたというか、心を許しすぎていた。どんなに調子が良くても悪くても試合に出してもらえると思っていた。それは『信頼』という意味では良かったと思うんですが、言い方を変えると甘えだったのかなと思う部分もある。でも、(今季は)1から出場時間を勝ち獲らなければいけないと思うし、そういう意味では心境も変わってきています」

図らずも居心地の良い環境を脱することになったわけだが、それでも富樫は与えられた環境をポジティブに捉えているようだ。

「今までは、プロになってからいい意味で余裕を持ってプレイできた。今年は新たなチームで、スタイルも変わってくるので、がむしゃらにというか、僕自身もチームも含めて今まで以上に泥臭いバスケットをできたらなと思う。そこを見てもらえたらと思います」

「船橋で開催されたプレシーズンカップ(9月2~3日開催)を見てくれた方もいると思うが、知り合いの選手からも『あのディフェンスを富樫もやるのか?』『あんなプレッシャーをかける富樫を見たことがない。お前もやるのか?』という連絡をいただいている(笑)。開幕を楽しみにしていただけたらと思います」

「試合でこのパッドなしでプレイするのが怖い」

同イベントは、富樫が契約している日本シグマックスのスポーツ用サポーターブランド『ザムスト』が主催した。会場のAlpen TOKYO(東京都新宿区)で一定額以上を購入した観覧希望者先着20名限定で近距離での観覧が可能だったほか、会場スペース外周で一般客数十名が立ち見できる状況だった。富樫はトークショーのほか、サイン入りTシャツが当たるじゃんけん大会、ツーショット撮影会、集合写真撮影などを行い、ファンと交流した。イベントの模様はザムストの公式インスタグラムでライブ配信された。

富樫勇樹 Yuki Togashi
日本シグマックス

同社と富樫の関係は、2014年に富樫が足関節を捻挫した際に遡るという。当時、同社が富樫に対して同社のサポーターの使用を提案したときは、実際に着用するには至らなかったものの、その後「過去に太ももの肉離れで長期休養を余儀なくされて以来、他社のサポーターを着用している」という話を聞き、同社は試作品の開発を開始。富樫のリクエストを取り入れながら数々の改良を重ね、2021年末に臀部から太ももまでを保護するサポーター『BRAVE-PAD SHORTS』を完成させた。以来、富樫は同製品を愛用し、「試合でこのパッドなしでプレイするのが怖いという感覚がある」というほどになっているという。

富樫がトークイベントで語ったところによると、こうしたサポーター製品を着用するようになって以来、一度も試合を欠場していないという。富樫はBリーグの2017-18シーズンに10試合を欠場して以降、現在までBリーグ公式戦全試合に出場し続けている。

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及川卓磨 Takuma Oikawa

及川卓磨 Takuma Oikawa Photo

スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。2000年日本大学卒。大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・マルチメディア運営等に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長就任。サイトやNBA日本公式ソーシャルメディアの新規開設に携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。