アジア大会中に不祥事を起こした男子バスケットボール日本代表選手 緊急謝罪会見の全容

Reo Onishi

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試合後の深夜に外出し、買春行為

8月20日、インドネシアの首都ジャカルタで開催中の第18回アジア競技大会(アジア大会/Asian Games 2018) に参加している男子5人制バスケットボール日本代表の4選手が、現地で買春していたことが発覚し、JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)から大会の選手資格剥奪及び強制帰国処分を受けたことに関する緊急記者会見が都内で開催された。

会見にはJBA(日本バスケットボール協会)の三屋裕子会長、東野智弥技術委員長、そして処分対象選手である永吉佑也(京都ハンナリーズ)、橋本拓哉(大阪エヴェッサ)、佐藤卓磨(滋賀レイクスターズ)、今村佳太(新潟アルビレックスBB)、JBA法務委員長の岸郁子弁護士が登壇した。

まずは処分に至った経緯を確認しておく。

グループCで戦う日本がカタールに82-71と勝利した16日の試合後、21時から選手村でチームディナーが開催された。チームディナー終了後の22時ごろ、同4選手は服務義務に則って日本代表公式ウェアを着用した状態で選手村からタクシーで30分ほど離れた繁華街の日本食レストランで食事と飲酒を行なった。

17日の0時頃、食事を終えて店の外を歩いていたところ、現地の女性4~5名に声をかけられる。そこで日系企業の人物2名に遭遇し、彼らの通訳の下、女性たちの話を理解し、共にホテルへ同行。1時30分から2時30分頃にホテルを出た4選手が集合し、タクシーで帰村した。そして19日に事態を把握したJOCが4選手の除名処分を決定、20日に日本代表選手団の山下泰裕団長が現地で記者会見を開き、処分に至った経緯などを説明した。

20日の会見では、この事実関係をまとめた資料がメディアに配られた上で、まず三屋会長の謝罪から始まった。以下、会見の全容(一部抜粋)。


三屋会長「今回のことは言い訳のできない出来事」

三屋会長: このたび、第18回アジア競技大会において、日本代表として参加している選手のうち4名が、大変軽率で思慮に欠けた不適切な行動により、多くの皆様、バスケットを応援し、支えてくださっている皆様方に多大なご迷惑をおかけしたこと、心からお詫び申し上げます。

(東野技術委員長とともに約16秒、深く頭を下げる)

今回のことは私も昨晩知らされました。そこから事実を把握し、先ほど選手からの事情聴取をいたしました。日の丸を胸に戦いに臨んだ選手のする行動ではないと私は思っています。今回のことは特に現在のアジア競技大会で一生懸命戦っている選手、関係者の皆様のことを思えば、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

日の丸を胸に戦うこと、そして彼らの姿を見てバスケットを一生懸命続けていてくれる子供たちに対してなんとお詫びをしなければならないか、昨日からずっと、ずっと考えてきました。

まずは事実を正確に皆様方にお伝えをすること。包み隠さず、お伝えをすること。それを最優先させたいと思います。また今回、特にJOCの山下(泰裕)団長とも先ほどお話をさせていただき、団長からもお叱りをいただきました。

我々もJBAとして責任者をしっかりと派遣できなかったこと、そして選手を教育しきれなかったこと、特にJOCの掲げています「人間力無くして競技力向上なし」、これを徹底できなかったことを大変申し訳なく思っています。今後はしっかりとこのJOCの掲げている「人間力無くして競技力向上なし」ということを我々も明確に選手に伝えていかなければいけないと思っています。

今回のことは言い訳のできない出来事です。だからこそ選手を登壇させます。そして、選手の口から、皆様方に事実をお伝えすること。選手たちもここから長い社会的制裁を受けることになるだろうと思います。それは我々JBAとしてもサポートしていくつもりです。一緒になって、より良いバスケット、そしてもっともっと皆様から応援していただけるバスケットボール界を作るためにも、ここで明確に選手の口から、何があったのか、そしてこれからどうしていくのか、ということを伝えさせないといけないと、私は思いました。

このような時間(※異例の20時すぎからの会見)になってしまったこと、大変申し訳ございません。選手が到着し、我々の事情聴取、そして事実を把握するのに少々時間をいただきました。

これから選手をこの場にあげ、選手の口から説明をさせます。そして、我々としても今後どうしていくべきなのかを、一緒になって考えていきたいと思っています。(会場スタッフに)では、選手を入れてください。

(4選手が登壇)

まず4人のうち最年長である永吉から、最初に選手を代表してお詫びをさせたいと思います。

永吉: 永吉です。このたびは私たちの軽率な行動により、日本オリンピック委員会、日本バスケットボール協会、そして(所属する)京都ハンナリーズ関係者の皆様、そしてバスケットボールとスポーツを愛する皆さま、アジア大会に参加されている選手団の皆様、そしてチームメイト、スタッフに対し、多大なるご迷惑をおかけし、深く反省しております。このたびは本当に申し訳ございませんでした。

(約18秒、登壇者全員で深く頭を下げる。その後、岸弁護士が登壇し、質疑応答開始)

Japan Basketball conference

左から永吉佑也、橋本拓哉、三屋裕子会長、東野智弥技術委員長、佐藤卓磨、今村佳太

食事を終えて店を出たところで女性に声をかけられた

ーー会見が始まる前に、現地で戦っている選手の邪魔をしないようにライブ配信を遠慮お願いしたいという発言がありました。これは各社が判断されることだと思いますけれでも、ライブ配信することがどうして選手の邪魔をすることになるのか教えてください。

JBA広報担当: それについては私からお答えいたします。現在この時間、まさに現地では選手の皆さま、他競技の選手の皆さまが力を尽くして日本代表として戦っていただいております。今回の件につきましては、当然私共の不祥事というところでございます。そこについてのライブ配信、これはもちろん協力ベース、ご理解いただければというお願いベースではございますけれども、今まさにテレビを映せばそういった方々の映像が見られるような状態で、日本を代表して戦ってくださっております。その選手たちの頑張りを私たちの不祥事で、この言葉が適切なものかわかりませんが、ケチをつけるような、失礼にあたるようなことになってはいけないという判断です。当然、こちらは報道関係の皆さまのご判断で、あくまでもお願いベースという形でお願いさせていただいた次第です。

ーー当日の経緯について細かく伺います。当日午後10時頃に食事に行ったということですが、なぜジャージーのままで行ったのか、これは規則で決まっていたのでしょうか?

永吉: 選手村内においては基本的にJOCに支給された服を着ることになっています。また練習会場、試合会場への移動においてもそれを着ることになっていました。ただ外、例えば今回のように外食をする際に関しては、自分たちはしっかりと理解をしていませんでした。

ーージャージーで行かれたことに関しては、ご飯に行くだけだから、という認識だったのでしょうか?

永吉: ご飯に行くだけだったという認識でございます。

ーーその後4人で午前0時頃、店を出て歩いていたところを声をかけられたのでしょうか? それとも自分たちで声をかけたのでしょうか?

永吉: 店を出て歩いていたところを声をかけられました。

ーーそれは女性何人から声をかけられたのでしょうか?

永吉: 4、5名だったと思います。

ーーそのときの会話については覚えていますか?

永吉: 現地の言葉と少しの日本語だったと記憶しています。

ーーそこからホテルに行くまでの流れをご説明していただけますか?

永吉: 食事を終えた後、私たちは2軒目を探そうと思い、歩いていました。そこで現地の女性の方々から声をかけられて、私たちも少し話をする形で、現地の言葉、挨拶を私は覚えていたので、少し喋ってみたいというコミュニケーションがあり、その後何を話しているのか80%くらい理解できなかったので、ジェスチャーをふまえて何かやっているなという状況でした。

そこで話していると、現地の日本人の方が現れて、その方が現地の言葉を喋れたので、何を喋っているのかを聞いてもらったところ、お金の話をしているとのことだったので、「あ、そういうことなのだ」と認識し、少しの交渉があったと思います。その後ホテルへ行ったという流れでございます。

ーー金銭のやり取りがあったということでしょうか?

永吉: はい、そうです。

ーーそのとき、買春行為だという認識はありましたか?

永吉: 自分たちの認識の甘さが出てしまったと反省しております。

FIBAにも一報を入れている

ーー2年後の東京オリンピックに向けてまだ開催国枠が決まっていない男子にとっては、このアジア大会の結果というものもアピールの場として捉えていたのかと思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか?

三屋会長: もちろん男女共、オリンピックの参加は正式に国際バスケット連盟(FIBA)からお認めいただいておりません。全てがアピールです。ですので、ずっと、Bリーグ期間中も、男子は(代表の)強化合宿をやるぐらい、とにかく強い日本のチームをということでやってまいりました。今回も万全の体制でアジア大会、そして9月のワールドカップのWindow4に向かっていこうと、プランをしていたのですが、しかしいろいろな強化の方針もあり、少し若手の強化も加えていかなければならないという形でアジア大会に挑みました。

そういったこともあって、今回は非常に残念な、そして個人的には情けない出来事だと思っています。もちろん、FIBAにも一報を入れています。今後これがどういう形で尾を引くのか、どういう形で、逆にここから何か逆転の発想みたいなものが出てくるのかはわかりません。ただ今はひたすら、事実に対して目を向けて、そこから我々として何ができるのかということを真摯に考えていきたい、それだけです。非常に、私からするとアピールの場を一つ失ったと思いますし、彼らもそれぐらいチームメイトに対して申し訳ないと思っていると思います。本当に反省してもらわないといけないということで、異例だとは思いますが、本人たちをここに乗せ(登壇させ)ました。アジア大会に参加している選手の皆さん、関係者の皆さん、そして何よりもJOCの方々に、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ーー残り8名の選手はまだアジア大会でこれから戦っていくと思うのですが、その選手たちに向けてどのような想いを持っているのか、お聞かせください。

永吉: まずはじめに大変申し訳ないという気持ちでいっぱいです。彼らに対して自分たちが何ができるか、本当に今何も思いつかないという状況なのですが、これからは彼らに対しても、自分たちができることをひとつひとつ、精一杯やっていくことが大事だと思っています。

橋本: 8人しかいないということで、チームの皆さんにはすごく迷惑をおかけしていること、そしてチームの士気を下げてしまったことについて、大変申し訳なく思っております。チームメイトにどうやって謝ればいいか、自分たちも考えたのですが、なかなか言葉が思い浮かばず、それでもチームメイトには頑張ってもらえるよう、ひたすら反省の意を込めて謝罪しました。本当にチームスタッフ、コーチに申し訳ないことをしたなと深く反省しております。

佐藤: 自分たちの甘い行動によって、残りの8名の選手やチームスタッフのみならず、今までのバスケットボールの歴史に傷をつけるようなことをしてしまって、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。今から僕たちができることを考えたときに、頭が真っ白で、まず何からすればいいかわからないのですが、とにかく本当に申し訳ない気持ちで、その言葉しか出てこないです。

今村: 私たちの行なってしまったその軽率な行動に、残ってしまったバスケットボールのチームに限らず、日本選手団全ての皆さまに、私たちは多大なるご迷惑をおかけしてしまったので、僕たちが何か選手団のためにできることがあるのだとすれば、自分たちの行なってしまった行動に対して、責任を持って謝罪することしかできないと思っています。

ーー現時点では選手団の団員としての資格を取り消されたということで4人が帰国されました。今後JBAでの処分、あるいは技術委員会での裁定、どういった方向で進行していくのか教えてください。

三屋会長: 今回の案件はコートの外ですので、裁定委員会の決定事項になると思います。これからの流れですが、第三者で作りました弁護士の先生方3人による裁定委員会を立ち上げます。そちらで選手は事情聴取を受けます。それによって答申があがり、理事会で決議をして、正式に選手への処分となります。感情的に決めるべきことではないと思いますので、我々は処分に対して入らず、第三者の、公的な方々で作られている裁定委員会の処分答申を待つという形で現在はいます。

なるべく早い段階で処分を出していただくようにお願いはしてありますが、裁定委員会の先生方も弁護士の先生たちなので、なかなかお忙しいというのと、そして裁定委員会の先生方の目と耳を通して、彼らの事情聴取を行なっていただき、それがどのように我々の規律違反に抵触するかをご判断いただく流れです。

ーー技術委員長がオリンピックに出場するためのプランを発表したときに、現場での規律を徹底していきたいということをお話しされていました。今回は規律とは正反対な状態なわけで、現場での選手に対する規律の徹底、あるいは協力といったものについてどうされてきたか、何が足りなかったか、責任者としてお聞かせください。

東野技術委員長: 規律が大事だということはずっと申してきました。そのなかで、自己責任というのも、同時に我々は選手たちに伝えてきたことでございます。しかしこれは監督不行き届き、それに尽きると思います。

JBAでは代表選手を集めて倫理研修をやってこなかった

ーーBリーグが2シーズン前に開幕したばかりで、さらに2年後には東京オリンピックが控えています。バスケットボール界にとっては非常に大事な時期だと思うのですが、このタイミングで不祥事を起こしてしまったことに関して選手たちはどうのようにお考えでしょうか?

永吉: やはり自分の認識の甘さ、これに尽きるのではないかと思っています。

どうしてこうなってしまったのかを、これからはまず反省し、これからは自分を改心し、自分の人生を建て直していきたいと思っています。ただ、やってしまったことに関しては、自分は一生背負っていくつもりであります。

橋本: 時期とかうんぬんより、自分がしてしまったこと、本当に反省の言葉しか見つからないと思います。この日の丸を背負って、あの場でああいう軽率な行為をしてしまったこと、そこが自分たちの認識の甘さが出てしまったことだと思います。

佐藤: Bリーグが始まって2年で、そして日本の国旗を背負ってアジア大会に出る資格など僕にはなかったのだと深く反省しています。これからの人生で、もしかしたら建て直せないかもしれませんが、まずこのようなことになってしまったことに関して、本当に、本当に深く反省しています。

今村: Bリーグに限らず、私たちが日の丸を背負ってバスケットボールをさせていただいているということに対して、本当に責任感のない行動をしてしまいました。自分たちの軽率な行動に対して、どれだけ責任を持って謝罪をできるか、と思っています。これからの日本男子バスケットボールの発展を邪魔してしまった行動だと思っています。それに対して私たちのできることは、誠心誠意、責任を持って謝罪することだと思っています。

ーーこれからの選手教育などを含めて、再発防止に取り組んでいくことになると思いますが、現時点でどのようなこと考えているのか教えてください。

三屋会長: Bリーグでは倫理研修をやっていて、それはわかっていたのですが、JBAでは代表選手を集めて倫理研修をやってこなかったという経緯が先ほど発覚しました。ただそれ相応の選手を招集しているのが代表ですので、そこまでやらないといけないのかというところは多少あったのですが、今回のことを受けて、代表を招集したらきちんと倫理研修はやっていこうと思っています。

ーー選手村から外出した経緯はどのようなものだったのか教えてください。

永吉: しばらく日本食というものを食べていなかったので、まずそれを食べたいねという話を外食をする以前から話していました。ちょうどその日、試合が終わった後、時間があるのではないかということで、誰が誘ったかというよりは4人で話し合いをした結果、外出をすることになり、公式ウェアを着てタクシーに乗り、食事をするところに行きました。

ーーホテルに向かう前に交渉されたということですが、誰かがちょっと止めるようなことを言うとか、思いとどまるようなことは頭の中にはなかったのでしょうか?

永吉: 全くなかったわけではなく、その場の雰囲気を考えても、少し「やばい」というか少し、「良くないことをしているのではないか」という気持ちはありました。

シェフ、栄養士等の帯同はなかった

ーー日本食を食べたいと思ったということなのですが、今回そういったシェフや栄養士を用意したりするというプロセスは全くなかったのでしょうか?

三屋会長: ありません。今回は、先ほども申しましたように責任者を一緒に帯同させられなかったというのは、大会組織委員会からADパス、要するに選手村に入れたり、公式試合について行ったり、練習会場に入ったりするADパスの発行が4枚しかありませんでした。選手以外で監督、アシスタントコーチ2人、通訳でパス4枚が埋まってしまいました。それ以外の人間を帯同させることが難しかったのです。

村外にトレーナーさんたちにはいてもらっているのですが、選手村に入れる人は限られており、チームコンディションを作ることは難しかったと思います。選手村は蚊が多かったり、水圧の状況が良くないという報告は受けていたのですが、食事は非常に美味しいという報告を受けていたので、食べることには困らないのではないだろうかというのはありました。なので、(外食のために)外に出るという想定を我々もしていなかったというのが正直なところです。

ーー簡単に一線を超えているように見えるのですが、これまでこうした行為というのは日本代表で、もしくは遠征中にあったということはなかったのでしょうか?

永吉: 今回が初めてです。

ーー残りの8人の代表選手ついてもこの件についても確認されたのでしょうか?

三屋会長: 残りの8人は、この4人が外出したときには外出していないというところは確認しています。たまたま今回、次の試合まで6日空いていたというのも彼らの気の緩みだったと思います。

ーー12人のうち4人がこういうことをして、ほかの選手は関係ないということだと思いますが、引き続き試合をする意義は何かあるのでしょうか?

三屋会長: 今回我々もいろいろ議論をしました。チーム全体を帰したほうがいいのか、それとも8人で戦わせたほうが良いのか、JOCとも議論させていただきました。若い選手が今回たくさん行っていますので、できればたくさん経験を積ませたい。特に海外経験を積ませることは本当に大事なことだと思っています。私も選手経験があるだけに、サイズアップした海外の選手とやることは選手としてとても大きいと思っています。少しでも海外遠征、海外試合の経験をさせたいという思いで協議し、JOCのご厚意で残していただいたということもあります。

我々も考えました。違法性があるのかどうなのかというところも含め、まだその辺りは議論の余地があるところなので、試合は続きますし、大会も開催されておりますので、今時点で彼らは引き続き試合をするという決断に至りました。

JOCから何が行動規範に抵触したかに関して明確な説明は受けていない

ーー今後、現地の法律と照らして彼らの行為が違法だと判断された場合は、チームを引き上げるということでしょうか?

三屋会長: はい。

ーー現時点で、現地の法律の事情を踏まえて、今回のケースがどうなりえる可能性があるのか、わかっていることがあれば教えてください。

岸弁護士: まだちょっと時間が足りなかったので現地の法律は調べきれておりません。合法であるという確認はできておりませんので、おそらく日本と同様違法である可能性が高い行為ではないかと思います。ただそれに対して処罰が及ぶのかどうかという点につきしましては、捜査機関の問題や、本人たちがこちらにいるという関係で、どうなるのかというのは私のほうではなんとも言えない状況です。

ーー現時点で現地警察の捜査介入はあるのかということと、代表選手団の行動規範というものにおいて、今回の件の何がアウトだったのか、明確なラインというのはどこにあったのか教えてください。

三屋会長: 現地警察の介入は、今の時点ではありません。そこは今後とも法務委員長と、弁護士のほかの先生方とも打ち合わせをしながら進めていきたいと思っています。

JOCの行動規範に違反するというところはJOCのご判断ですので、JOCの行動規範に反するということで資格剥奪という処分を受けております。そこは我々のほうでも、明確には持っておりませんが、今後はJBAの処分に入っていくと思いますので、JOCの処分に関しては我々は一切コメントできないと思っています。

ーーそれは現時点では、何がダメだったのかが明確になっていないということでしょうか?

三屋会長: これは伝聞なので私が直接言われたことではないので、自分がコメントするのは差し控えたいところなのですが、山下団長と話したところ、私が言われたのはJBAとしての管理監督の不備については、厳しく言われました。選手に対しては、山下団長と田嶋(幸三)副団長からも、なんとか選手を守る方向で動いてくれと言われています。我々としては、何が抵触し、どこがアウトだったかという明確な説明を直接受けておりませんので、そこはコメントを差し控えさせてください。

ーー今回のような行為を、日本の法律に照らし合わせると何かに抵触するものなのかを教えてください。

岸弁護士: 売春防止法という法律で、してはならない行為とされています。ただ罰則規定がないということで、刑罰対象にはならないというものです。

ーー歓楽街はカラオケ店があったり、買春を誘う人がいるという事前の知識はお持ちだったのでしょうか?

永吉:歓楽街という認識がまず自分にはありませんでした。スマートフォンを使い、焼き鳥の店を調べ、自分のフィーリングでここがいいなということを後輩たちに言って店は決まりました。ただ現地に着いたら、綺麗にされている女性の方々が多くいて、そういう街なんだなということはすぐ感じることができました。

ーー金銭のやりとりがあったというお話がありましたが、金額を教えていただけますでしょうか。

永吉: 120万ルピア(約9000円)です。

ラマスHCも非常に残念がっている

ーーフリオ・ラマスHCが外れたなかでの大会となりましたが、ラマスHCとは今回の件についてどう話をしていますか? そして本当のトップである監督がいないことが、こういう事態を引き起こした一因になっていないかという、その辺りの見解を教えてください。

東野技術委員長: ラマスも非常に残念がっております、責任を感じております。この編成は我々がオリンピックに向かうためのふたつの方法論として選択をいたしました。ひとつはワールドカップ2次予選に海外組を合流させて戦うという方法論が必要だったこと。そしてもうひとつは、アジア競技大会をできる限りのベストでいく。このふたつの方法論を取ることをするがゆえに、ラマスHCを帰したということです。そこでの監督不行届きというのは、管理責任としてあるという風に思っています。

ーーFIBAのほうから、今回の出来事が東京オリンピックに向けて考慮される範囲に含まれるかどうかの反応はあったのでしょうか?

三屋会長: 今の時点で正式なコメントはいただいておりません。

ーー今後、開催国枠獲得に向けて非常に厳しい状況が続いているなかでこうしたダメージがありました。JBAとしての今の段階で考えている挽回策を教えてください。

三屋会長: 今の段階ですぐできることとして、これからすぐ東野をジャカルタのほうに飛ばします。現地のチームがどういう状況になっているのか、完全に把握できていない状況です。男子だけなく女子チームも頑張っておりますし、3x3の男女とも現地に行っております。とにかく選手たちの動揺を一刻も早く収めなければいけないということで、本日東野、明日専務理事と強化担当のシニアマネージャーをすぐ派遣いたします。JOCのほうにお詫びと、選手たちをバスケットだけに専念させるために、広報担当も派遣いたします。

今すぐできることは現地のスタッフと選手のコンディションを作って、なるべくその中で良い成績を残すことが、我々JBAとしては一番やらないといけないことだと思っています。そのなかで、残留組のコンディション、トレーニング、その辺りについてラマスが指導をしています。9月の14、17日が2次予選で、ここがものすごく大事であり、東京オリンピックに一番キー(重要)になるところだと思っています。

ジャカルタで頑張ってくれている選手、日本に残ってトレーニングしている選手のコンディションが最優先です。次に9月の2次予選のスタートをしっかりとダッシュできるような形を、我々がサポートできることをしていきたい。

そのスタートがこの会見だということで、しっかりとここで我々の事実関係をきちんとさらけ出して、包み隠さずお話をさせていただいて、この4人と一緒に何をやっていけばいいのか、バスケットのブランドがあるとしたらどれだけ傷ついたのか検証しないといけません。オリンピックに向けた『Go to Tokyo』のプランは引き続き続いておりますので、そこは粛々と頑張っていきたいと思います。今回の彼らのこととは別として、切り分けて考えていきます。

彼らの再生プランも一緒に考えなければいけない

ーー選手のこの後のナショナルチーム、及び所属チームでの活動はどうなるのか教えてください。

三屋会長: 基本的に処分が出るまでは、JBAとしては動きようがありません。このあと選手たちはクラブに引き渡すことになっておりますので、クラブでどういう対応を取るのかはクラブ側の判断にお任せしたいと思っております。

ただ一点、この人たちは本当に、本当に情けない、恥ずかしいことをしてしまったと思っています。自覚のなさ、特に日の丸をつける自覚のなさ、隣で聞いていて涙が出るくらい、「こんなに自覚がなかったのか」と我々も反省しなければならないことです。そこまで教育を徹底しなければいけない、という反省もあります。

ただここでこの人たちを潰していいのかというのは別の問題です。私はこの人たちがまだちょっとは、どこかで将来なんとか頑張ったら、もう一回、敗者復活のようなものがあるとしたら、それは作ってあげたいと思っています。

今回もこの選手たちを潰すためにこの会見に呼んだわけではありません。この人たちになんとか、自分の力で立ち直るきっかけを早く与えてあげたいという気持ちでこの記者会見を設定させていただきました。

もしここで彼らが登壇しなかったら、彼らはずっと探し回られ、追われ、バスケットに専念できないことになります。そういう時間が長くなれば長いほど、彼らは復帰できません。それは私の本意ではありません。確かに愚かなことはやりました。本当に恥ずかしいことだと思っています。だからとして、この人たちのバスケット人生を潰そうとは考えておりません。もちろん処分も下されるとは思いますが、私は彼らの再生プランも一緒に考えなければいけないと思っています。

ーー裁定委員会の答申と理事会の処分という話でしたが、だいたいいつ頃までにという目処はありますか?

三屋会長: 何しろ私たちも昨日の夜聞きました。今朝からずっといろいろな対策や対応をやっていますので、先生方のスケジュール調整はこれから行ないます。リクエストとしては9月頭くらいまでには答申をいただけるようお願いしています。案件によっては半年くらいかかるものもあるのですが、今回はこれだけ世間を巻き込み、日の丸を背負った人間がやったことですので、なるべく早い段階でJBAとしての処分をしたいと考えております。

ーー現地の弁護士に確認したところ、相手が未成年または既婚者だった場合、違法なのではないかという話でした。そういったことは女性に確認したのでしょうか?

永吉: 確認をしました。事前に確認をしてからという形です。

ーー法律の知識がないなかだとは思いますが、もしかしたら行為が違法になるという考えはありましたか?

永吉: はい、ありました。

ーー違法になるかもしれないという考えがある中での行為だったということですか?

永吉: 大変軽率な行動だったと認識しています。

ーー飲酒されていたとのことですが、どれくらいの量だったのでしょうか?

永吉: ビールをコップ3杯ずつくらいの量だったと認識しております。

今後については何も考えることができない状態

ーーここにいらっしゃる皆さんは本来ならもっとがむしゃらにバスケに向き合わなければならない選手たちだったと思います。そのチャンスを自ら潰してしまったことについて、どういうお考えなのかお聞かせください。

永吉: 悔しい気持ちと情けない気持ちでいっぱいです。なんでこうなってしまったのか、自分でも今まだ頭の整理がつかず、少しパニックな状態です。今後しっかりと頭を整理して、自分の人生を建て直していきたいと思っています。

橋本: ずっと夢に掲げてきた代表に入るということだったので、それを潰してしまった自分の愚かさ、情けなさというのをすごく身に沁みております。今後どうなるかわからないですけども、今はただ自分と見つめ合って反省していくのみだと思っております。

佐藤: 今現在は自分のキャリアとかではなく、JOCの方々や、JBA、自分のチームメイト、そして今まで僕を支えてくれた家族だったり、友人だったり、そういった関係者の皆さまへの申し訳なさ、その言葉に尽きます。自分のキャリアが傷ついたとか、そういう問題ではないと思っています。

今村: おっしゃっていただいた通りだと思っております。自分のチャンスを潰しただけでなく、全ての日本選手団の皆様にご迷惑をおかけしてしまったので、僕たちができるのは本当に謝罪しかないと思っています。全ての皆さまに本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ーー三屋会長からも再生させたいという言葉がありました。皆さんは大変な才能を持った方々だと思いますが、今後バスケットボールプレイヤーとしてどう取り返していきたいと考えていますか?

永吉: 正直、先ほども申しましたとおり、自分は少々パニックな状況であり、まだ頭の整理がついておりません。今後自分がバスケットをやっている姿ですら想像がつかない状態であります。ただやはり、今できること、ひとつひとつを精一杯、誠意を持ってやっていくことが自分にとって大事だと思っています。選手村を離れる前の日に、少しだけ山下団長とお話をさせていただく機会がありました。人生は七転び八起きだと言われました。自分は今、正直人生のどん底にいると思っています。ただ、山下団長からいただいた言葉を信じて、これから頑張っていきたいと思っております。

橋本: 自分も正直、今後どのようにしてやっていけばいいのか言葉は見当たりません。自分がやったこと、誰にどのように迷惑をかけたかというのを再認識して、今はまだ今後のことが思い浮かばないです。

佐藤: これからのバスケットボール人生については、今の時点では何も考えることができません。自分たちを再生してくださると先ほどおっしゃっていただきましたが、それに値する人間なのか、自分がそういう人間ではないのではないかと、今すごく思っています。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。これしか言えず本当に申し訳ないです…すみません。

今村:自分たちが、三屋会長が言ったような再生していただけるような身分ではないという風に今、実感しています。僕たちが今できることは、僕たちが行なった行動に対して誠心誠意、謝罪し続けることが全てだと思っているので、これからのことについては今は何も考えることができない状況です。


質疑応答が終わり、三屋会長、東野技術委員長、そして選手4人は深々と頭を下げ、「申し訳ございませんでした」と再度謝罪した。今後JBAとしては裁定委員会による答申を待ち、協会として処罰を決める。所属クラブはそれぞれBリーグと協議した結果、JBAの処分が課されるまで謹慎処分にすることを発表している。

Reo Onishi