逆境をものともせず……米代表、FIBA U17W杯で他国を圧倒

Mike DeCourcy

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7月8日、アメリカがFIBA U17ワールドカップで優勝した。この大会を8年前の導入時から見ている人にとっては、この結果は驚くことではないだろう。

ただしそのスコアはすごかった。アメリカは金メダルを懸けた試合で、最終スコア95対52でフランスを倒した。準決勝のカナダ戦の勝利を加えると、アメリカの最後の2試合の得失点差合計は92点だった。

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もしアメリカが、彼らがプレーするAAU(アマチュア・アスレチック・ユニオン)によって能力の向上を妨げられていなかったら、どれほどすごい結果を残していたのか想像してみてほしい。

実際、金メダリストの内7人は今大会の後、ナイキが高校生を対象に開催しているバスケットボール・トーナメント「ナイキEYBLピーチジャム」に向かった。この大会はカレッジのコーチたちが自由にスカウトできる場として毎年恒例行事となっているのだが、今大会が最後となるかもしれない。

というのも、コンドリーザ・ライス元国務長官がトップを務めるカレッジバスケットボール委員会は、NCAAが設立・運営する夏の一連のキャンプ以外ではカレッジのコーチのスカウト活動は認められるべきではないとしているのだ。

彼女の主張はこうだ。「学校とは無関係なバスケットボールが、コーチや選手及びその家族、代理人、スポンサーたちが選手たちに対する責任を負うことなく、将来の利益に期待して金品を交換する野放しの空間となっている」。

「ばかげている」コービー・ブライアントはかつてAAUを批判し、そう言い放った。

選手たちが夏の間所属するAAUは、そのおおざっぱで問題点も多い仕組みゆえ、若いアメリカ人選手の能力を伸ばしきれず、可能性を奪うという見方もあるのだ(編注:コーチ陣の選出も甘いため、能力のないコーチの下でプレーする羽目になる選手もいるという)。

しかし、それでもアメリカはU17では1試合も負けたことがない。37勝0敗だ。ジェイソン・テイタム、ジャバリ・パーカー、コリン・セクストン、マイケル・キッド・ギルクリストらの選手は過去にこの大会で金メダルを獲得している。今年のチームに32点差未満で負けた相手はいなかった。アメリカは54点近い平均得失点差で勝ったのだ。

カリフォルニア州フレズノ出身の196センチのウイング、ジャレン・グリーンが決勝で11点を挙げ、大会平均15.7点をマークして今大会のMVPに選ばれた。ロースター12選手の中で、9人が平均8点以上をマークし、6人が2アシスト以上をマークした。ニューヨーク州ロチェスター出身のセンター、アイザイア・スチュワート(8.4)とミシガン州ニューヘブン出身のパワーフォワード、ロミオ・ウィームス(8.1)がリバウンドの上位だった。

決勝戦で15点を挙げた唯一の選手はスチュワートだったが、12人全員が得点を挙げた。

「僕たちは本当にいいプレーをしたと思う」とテキサス州デントン出身のデビオン・ハーモンは言う。「長い過程だった。すばらしい形で大会を終えられて……。僕はこのチームの一員であったことをとても幸せに思う。とても楽しかった」。

アメリカのバスケットボールの現状を踏まえれば、試合での差は、本来もっと縮まっているべきだろう。我々はすでに、ヨーロッパのクラブシステムの方が、“基本”を学ぶには優れているということも知っている。

「ヨーロッパの選手の方がはるかに能力が高いと思う」コービーは2015年、AAUに反対する中で熱く語った。「彼らは若いうちからバスケットボールを正しく教えられているんだ」。

とはいえその能力の優位性は、昨シーズンのNBAで得点のトップ25人中23人を、スリーポイントシュート成功率のトップ25人中23人を、そしてアシストのトップ25人中21人をアメリカで訓練を受けた選手たちが占めることを妨げなかったのではあるが。

そして、そのアメリカがこの日、フランスに53点差で勝ったのだ。

「我々は着実に勝ったような感じでした。とにかくリードを広げていきました」と、2010年の最初の大会以来U17に携わってきたコーチのドン・ショーウォルターは言う。「いつものように一気に得点を連取するような場面は多くありませんでしたが、毎クォーター、リードを広げていきました。本当に堅実な試合をしたと思います」。

今回優勝したアメリカは、なにも高校生トップテン選手を擁して世界の10代を圧倒したわけではない。「247スポーツ」は、ハーモンを40位にランクした。ロミオ・ウィームスは36位で、アイザック・オコロは38位だ。ロースター12人中、グリーンを含む5人がこの秋、高校2年生になる。

グリーンは5カ月前に16歳になり、そして今回、世界チャンピオンになった。

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原文:USA Basketball destroys field at U17 World Cup, despite 'handicap' of AAU experience

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

Mike DeCourcy

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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.