男子バスケットボール日本代表・比江島慎単独インタビュー: 来季からの海外挑戦について「考えないことはない」

Hiroshi Kato

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男子バスケットボール日本代表“AKATSUKI FIVE”(アカツキ・ファイブ)は7月2日、FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区1次予選最終戦となったチャイニーズ・タイペイ戦で40点差(108-68)をつけて圧勝し、2次予選進出を決めた。敵地・臺北和平籃球館(Taipei Heping Basketball Gymnasium)で行われたこの試合で、台湾ファンの大声援が響き渡るなか17得点、6アシスト、5スティール、3リバウンド、2ブロックと攻守両面で活躍した比江島慎(現:Bリーグ 栃木ブレックス)に、翌朝、台湾の空港で単独インタビューを敢行した。

 

「手応えを感じている」

――昨夜のチャイニーズ・タイペイ戦から、翌日早朝のフライトですがゆっくりできましたか?

比江島: 寝てないですね。一睡もしていないですね。

――寝ることができなかったのは、チャイニーズ・タイペイ戦に勝利してテンションが上がっていたからですか?

比江島: そうですね。サッカー(ワールドカップの日本対ベルギー戦)もありましたし。みんなで観戦して、寝る時間もなかったですね。

――2次予選進出について一言いただけますか。

比江島: (1次予選は出だしで4連敗と)苦しい展開にはなりましたけど、我慢して、我慢してという感じでした。ニック(ファジーカス)と八村塁がチームに入ってきてくれてのもありましたし、未来につながる勝利、ワールドカップにつながる勝利を勝ち取れたので良かったと思います。

比江島慎 Makoto Hiejima

――「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」でシーズンMVPを受賞された際のメッセージビデオの中で、お兄さんが海外にも挑戦して欲しいとお話をされていました。オーストラリア戦ではマシュー・デラベドーバ(NBA ミルウォーキー・バックス)とマッチアップしたわけですが、海外挑戦については今どのように考えていますか?

比江島: それは常に持っています。(デラベドーバとマッチアップして)ある程度通用するかな、という手応えも感じています。

――実際にNBA選手とマッチアップしてみた感想は?

比江島: もっと激しくディフェンスしてくるかと思っていたんですけど、そこまでこなかった。むこうも本調子じゃなかったかもしれないですけど、十分手応えはありました。

――来シーズンから海外挑戦ということもありえますか?

比江島: 考えないことはないですね。まだ(来シーズンの)契約をしていないので。

比江島慎 Makoto Hiejima

「自分でも独特な動きだと思う」

――アレン・アイバーソン(NBAのフィラデルフィア・76ersなどで活躍し、2016年に殿堂入りしたレジェンド)をはじめNBA選手や、各国代表選手、Bリーグ選手を撮影してきましたが、比江島選手の前後左右のステップワークは他の選手と比較して曲線的な動きに特徴があり、直線的な動きと曲線的な動きをうまく使い分けているように感じられます。何か意識していることはありますか?

比江島: 自分では意識はしてはないですけど、生まれもったものじゃないですかね。自分は普通に動いているつもりですけど、映像を見ると自分でも独特な動きだと思います。いろいろなフェイクをかける意識はあります。

―― プレイの参考にしている選手はいますか?

比江島: 自分はスピードがないので、参考にしているというか、(ミロシュ)テオドシッチ(NBA ロサンゼルス・クリッパーズ)は好きですね。ポール・ピアース(NBA ボストン・セルティックス等で活躍)も好きです。

――NBAよく観ていますか?

比江島: はい、観ます!

比江島慎 Makoto Hiejima

――7月に入ってNBAはフリーエージェントの時期になりましたが、FAの状況はチェックされていますか?

比江島: はい、もちろん見ています!

――NBAのFA市場は今年もすごいですね。

比江島: レブロン(ジェームズ)の(ロサンゼルス・レイカーズ移籍)は本当に予想外でした。面白いですよね!

――将来NBAの舞台で比江島選手を取材させていただきたいです。

比江島: そうですね(笑)。

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比江島は、新しく代表チームに加わった八村塁とニック・ファジーカスとともにチームの中心選手としてオーストラリア戦、チャイニーズ・タイペイ戦の連勝に貢献し、“AKATSUKI FIVE”を2次予選進出に導いた。特に、マシュー・デラベドーバとソン・メイカー(ともにNBA ミルウォーキー・バックス)もプレイしたリオデジャネイロ・オリンピック4位かつFIBA世界ランキング10位のオーストラリア戦での勝利では、チームとして世界の強豪と渡り合える自信を手に入れた。

比江島本人も、ディフェンスの良さで知られるデラベドーバとのマッチアップで引けを取らず、何度もデラベドーバを置き去りにすることができたことで、これまで以上に世界との差が縮まっていることを実感しているようだった。

もちろん、国外挑戦には様々な障害があり、なかでも世界の猛者が集まるNBAでのプレイが容易ではないことは比江島本人も十分に理解しているだろう。名実ともに日本を代表するバスケットボール選手となった比江島の海外挑戦には否定的な意見もあるかもしれない。

ただ、前述した「B.LEAGUE AWARD」で配信された動画のなかで比江島の兄・章さんが「もっともっとすごい選手になってほしいかなと思います。日本だけにとどまらず世界にいっても挑戦してほしいかな、世界でも(バスケットボールを)やってほしいかなと思います」と語っているように、彼のチャレンジを楽しみにしている人たちも数多くいるはずだ。

現時点でそのタイミングは誰にも分からないものの、本人や家族が「海外挑戦」を視野に入れている限り、比江島の海外リーグ挑戦が実現する可能性はあるだろう。

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Hiroshi Kato