バスケ・NCAAトーナメントの新たなシード分け方法が物議呼ぶ

Mike DeCourcy

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毎年開催されるマーチマッドネスに出場するチームとそのシード分けを行うために、NCAAは新たな算出方法を作ったことを発表した。あと数カ月もすれば、2018-19シーズンの試合が十分消化され、その新たな算出方法がどう機能するのか見ることができる。

しかし、NCAA Evaluation Tool(NET)と呼ばれるこの新たなシステムが、過去のチームをどうランク付けするかは見ることができないのだ。NETがどう機能するのか伺う良いチャンスなのだが、過去のランキングに対する不満が噴出してしまう可能性も高く、NCAA的にそこを公開しないのは賢い選択だろう。

NCAAとしては、NETが試合結果、スケジュールの難易度、試合の場所、得点差、オフェンス効率、ディフェンス効率、勝敗の質をしっかりと計算するということを見て欲ほしいのであって、決して2017-18シーズンに28勝5敗したセントメアリーズ大学がこのシステムだと出場できないかもしれないということが話題になって欲しい訳ではないのだ。

NCAAのダン・ギャビット・シニアバイスプレジデントは「過去を分析してもメリットはあまりない」と『Sporting News』に語っている。「我々は後ろを振り返るのではなく、前を向いているのだ」。

ギャビット氏は新しい算出方法の導入に「興奮」しており、「しばらく時代遅れだった要素を現代化することができる」と喜んだ。

NCAAはトーナメントに出場できるチームを選択するために、Ratings Percentage Index(RPI)というシステムを37年間使用してきた。ランキング100位のチームよりも、RPIトップ50のチームへの勝利の方が重要、という形で見られていた。RPIはチームの勝率、対戦相手の勝率、対戦相手の対戦相手の勝率を考慮したものだった。

それらの数字の重みは、スケジュールの難易度よりも高いのではないかという批判に繋がっていた。むしろそれよりも辛辣なことも言われ続けていた。

ナショナル・アソシエーション・オブ・バスケットボール・コーチ(NABC)は2016年に、ケン・ポメロイ氏が作った「KenPom」ランキング、ESPNのBPI、ミシガン州立大学のケビン・パウガ氏が作ったKPIなど、もっと多くの要素を組み合わせた選出方法を起用することをNCAAに提案している。

NCAAは上述されたアナリストたちを2017年1月に招集。しかしそれらの数字の平均値を取るのが決して言い訳ではないという結論に至った。そしてNCAAは独自のルートを進むことを選択し、19カ月後、NETが発表される流れとなった。

NETはこれまであったいくつかの批判に対応している。

ー「賢い」算出方法を望んでいた人にとって、「とても前進的で複雑な算出方法」であるとギャビット氏は話している。「結果ベースではあるが、RPIが持たなかった予想性を持ち込むことができる」。

NCAAはこの算出方法を生み出すために、『Google Cloud』のプロフェッショナルサービスを使用し、機械の学習能力に2003年までさかのぼるディビジョン1のシーズン結果を反映させた。突如撤退してしまう外部に頼るよりも、NCAAは自分たちで算出方法を生み出す道を選んだ。

ーつの勝利の得点差を反映することに反対していた人に対しては、「得点差をある程度考慮しない限り、予測性を入れることが不可能であることをここ数年で理解した」とギャビット氏は話した。

スポーツギャンブルにおいて得点差はとても重要な要素ではあるが、リーグの順位では1点差の勝利も30点差の勝利も同じ扱いだ。さらに、得点差が重要な要素となってしまうと、スポーツマンシップが失われ始めるのではないかという懸念の声もある。点差を広げるために先発選手が長く試合に残るということに繋がってしまうかもしれないのだ。

今回の算出方法では、得点差は最大10点差まで計算されるので、25点差の勝利も10点差の勝利と同じ重さを持つこととなる。なるべく効果的な結果を得るために、最大25点差、20点差、15点差、10点差でテストされたとギャビット氏は説明した。

「得点差を導入した方が結果は正確なものになることは間違いなかった。しかし点差に制限を設けないものと、最大10点としたものでは、結果に大差はなかったのだ。10点差という制限を設ければ、ゲームのスポーツマンシップに影響させず、効果的な結果を得られるという自信に繋がった」。さらに試合が延長戦に入った場合は、勝者は1点差の勝利、敗者は1点差の敗戦で計算されるようになっている。ギャビット氏によると、延長戦は2018年のPac-12トーナメントでアリゾナ大学がUCLAに78-67で勝利するという大差がつく場合もあるものの、実質同点という扱いで計算されるとギャビット氏は話した。

ー「異常値」を心配する声。NABCは各算出方法がいくつかのチームに全く異なる評価を与えることの懸念をNCAAに伝えている。

ビラノバ大学は、2016-17シーズンのRPIで1位、KenPomランキングでは2位だった。しかしウィチタ州立大学は、KenPomランキングで5位、RPIで32位という状態でNCAAトーナメントに出場した。ボー・ライアンHC率いるウィスコンシン大学も、KenPomランキングで好結果を出す傾向にあった。2009年から2015年前、ウィスコンシン大学はKenPomランキングでトップ10入りを5回記録している。2012-13シーズンでは23勝12敗という成績でありながらも、12位にランクインしている。

ギャビット氏は「この新たな算出方法は、そういった異常値を平均値に近づけることができる」と自信を覗かせた。

しかしNCAAはどんな算出方法を使おうと、どのチームがトーナメントに出場でき、いいシードをもらえるかという議論は常に立ち向かうこととなるだろう。

RPI同様、NETは選別するためのツールである。NETでランキングが高いチームを倒すことは、ランキングが低いチームを倒すことより高く評価される。

それだけ単純なことではなるのだが、算出方法を導入するのはとても複雑なことなのだ。

原文:Can NCAA's new tournament metric make March less maddening?
翻訳:Reo Onishi


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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.