バスケ少年だったバラク・オバマが、今なお大切にしているコーチとの絆【第3回】

Christian Shimabuku

バスケ少年だったバラク・オバマが、今なお大切にしているコーチとの絆【第3回】 image

「マックコーチ、調子はどうですか?」

2008年の大統領選期間中に放送された、ESPNの「マンデーナイト・フットボール」で、オバマは司会のクリス・バーマンに、若い頃の経験が今の彼に大きな影響を与えていることを語った。

▶スポーツ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

「私はバスケを遊びながら学ぶタイプでした。でもマクラクランコーチはボブ・ナイトのような厳しいタイプで、私は彼に少し反抗的な態度をとりました。コーチは私に、“自分のことではなく、チームのことを考えろ”と言いました」

「彼の言葉を本当に理解するには、時間がかかったと思います。しかし、それ以来、この言葉を常に念頭に置き、仕事や政治に取り組んでいます」

マクラクランもこの言葉を忘れてはいなかった。彼はオバマのインタビューを生放送では見ていなかったが、取材を求める報道陣から電話とテキストメッセージが殺到した。マクラクランは、このオバマのコメントに謝意を述べたが、自分はナイトほど厳しくはなかったと付け加えた。

選挙戦が終わり、大統領就任を1ヶ月後に控えた2008年のクリスマス休暇に、オバマはプナホウ・スクールを訪れた。そして、学校の体育館で即席メンバーによるバスケの試合を行った。マクラクランは、その年の1月に重篤な脳梗塞を起こしていたが、試合を観戦するまでには回復していた。オバマとその関係者、1979年の元チームメイトたち、プロスポーツ選手のマクラクランの息子2人の、12人の選手を揃えた。

2時間の試合で6回の休憩があったが、最初の休憩でオバマは真っ先にマクラクランの所に行った。

「マックコーチ、調子はどうですか?」

「大丈夫だ。薬も効いているし、復帰も近いと言えるよ。心配してくれてありがとう」

オバマは、その後の4回の休憩でもマクラクランと会話をした。同じようなやり取りが行われたが、最後の休憩は少し異なった。

「コーチに色々と質問しているのは、私がこの国の医療保険システムを憂慮しているからです。全ての人が医療保険の恩恵を享受できるようにしたいのです。今後のことも含めて、私はコーチのことをとても気に掛けています。ワシントンに来る時は、必ず立ち寄ってください」

その後、オバマは約束を守り、マクラクランはワシントンのオバマ大統領を何度か訪問した。

insert

※写真は、即席メンバーでの試合当日に撮影したもの。オバマの右に立つアラン・ラムは、「元チームメイトをテレビで見るのは、今でも信じられないよ。彼は当時から変わってない」と述べた。

マクラクランは試合中、オバマの変化に気づいた。試合後にオバマのチームメイトが言った言葉を聞いて、マクラクランは自分が試合中に見た彼の変化は、確かなものであると確信した。

「コーチ、バラクはバリーより良い選手ですよ」

「どういうことだ?」

「バラクはスクリーンし、自分よりシュートの上手い選手を探し、ボックスアウトもした。バラクが他の選手をサポートして指揮を執ったんです」

マクラクランは、チームを勝たせるために行動するオバマの姿を見た。それは彼にとってその日一番嬉しい出来事だった。

「彼のシュートは良くなった。自分より良いシュートを打つ選手を探して任せるからだ。ボールを皆に回してチームのリーダーとして動いた。我々は皆、時間と共に何でも上手く出来るようになる。彼は前より良い選手になった」とマクラクランは述べた。

最終回へ続く)

Christian Shimabuku