スター選手のFA流出は、チームにどう影響するのか?【前編】

Sean Deveney

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NBA史上最大のスター選手のFA流出となった、シャキール・オニールのロサンゼルス・レイカーズ移籍から22年が経つ。1992年のドラフト全体1位指名でオーランド・マジックに入団後、4シーズンで1試合平均27.2得点12.5リバウンドを記録したオニールを放出した時の気持ちをマジックのパット・ウィリアムズ球団幹部に尋ねてみると、その傷はまだ疼くようだ。

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「苦しいね」と彼はSporting Newsに話した「苦痛だよ。非常に痛い」。

前年にマジックをイースタンカンファレンス決勝に導いたオニールとの交渉過程は、これまでも吟味されてきた。マジックは市場の相場に対抗するべく、いくつかの移籍先を見込んでいたオニールに最高の条件を提示した。

交渉が大詰めを迎え、当時ジェリー・ウェストがGMを務めていたレイカーズが7年1.2億ドルでの契約をオファーすると、マジックもすかさず7年1.3億まで金額を引き上げた。しかし、オニールの心はすでに決まっていた。

「シャック(オニール)との交渉では、最後の最後でレイカーズよりもいい条件を提示したんだ」とウィリアムズは言った。「しかしその時にはもう彼の気持ちはレイカーズに傾いていて、間に合わなかった。でもシャックとの交渉の話は、最初にFAでの契約が結ばれた時点で別の契約を締結できない時代だったということに尽きる。当時は制限付きFAがなかったんだ」。

オニール移籍のいざこざはあったものの、まずまずのチーム力を保持していたマジックは翌シーズンも45勝を挙げてプレーオフに進んだ。オニール退団後は7年連続で勝率5割以上を維持し、そのうち5度ポストシーズン出場を果たしている。

「チームの核となるメンバーは残っていたんだ。ホーレス・グラントはまだいたし、デニス・スコットにニック・アンダーソンもいた」とウィリアムズは話す。「ペニー(アンファニー・ハーダウェイ)もいたけど、ヒザの手術で復帰に数年かかってしまったね。それでも(オニール移籍で)打ちのめされたことは変わらないよ。どう思ったか人に聞かれるけど、痛手だったよ」。

「若い24歳の殿堂入り選手がうちを離れてどこかへ移籍することを決めたんだ。痛いに決まっているよ」

もうひとり、歴代最高選手との呼び声高いレブロン・ジェームズが今オフに地方都市クリーブランドから大都市ロサンゼルスに向かったことで、オニールのレイカーズ移籍に再び脚光が当たった。これによって、今度はキャバリアーズのフロントが1996年のウィリアムズの苦悩を味わうことになった。そして案の定、キャバリアーズは苦しんでいる。苦痛を知り、痛みを感じている。

しかし、悪いことばかりでもない。11年前にミネソタ・ティンバーウルブズからボストン・セルティックスに加入したケビン・ガーネットの移籍まで遡り、FAで退団した11人のスター選手たちが所属チームに与えた影響を検証してみたい。

選定するスター選手の基本条件は、前シーズンにMVPの投票を受けたことだ。MVP候補には挙がったがスター未満の選手(2012年のジョー・ジョンソンなど)は独断で除外している。そして2年前の夏以前に成立した移籍までが対象となる。

上記の条件に該当するスター選手は以下の通りだ。ガーネット、アマーレ・スタウダマイヤー(2010年)、クリス・ボッシュ(2010年)、ジェームズ(2010年)、クリス・ポール(2011)スティーブ・ナッシュ(2012年)、ドワイト・ハワード(2012年)、ジェームズ(2014年)、ケビン・ラブ(2014年)、ラマーカス・アルドリッジ(2015年)、ケビン・デュラント(2016年)。

彼らの移籍が所属チームにどのような影響を及ぼしたのか、振り返ってみよう。

首脳陣の大変動

スター選手の移籍と合わせるかのように派生するのは、HC(ヘッドコーチ)の交代であり、今年はキャバリアーズのティロン・ルーHCがジェームズ退団後わずか6戦で解任された。FA流出したスター選手11人の事例研究のうち、6チームが移籍後1年以内にHCを解任している。

たとえば、マジックはドワイト・ハワードの最終在籍年からの6年間で4度のHC交代があった。現HCのスティーブ・クリフォードが就任したのは昨夏のことだ。

しかし、2007年にガーネットがセルティックスに移籍し、その7年後にラブがキャバリアーズに移籍したティンバーウルヴズほど首脳陣の大変動に対処してきたチームはない。ガーネットの最終在籍年からの10年間でウルブズは8人のHCを起用しているが、その中には在任中に亡くなったフリップ・ソーンダースも含まれている。

トム・シボドーがHCに就任し、ウルブズは昨シーズンにようやくプレーオフ進出を果たした。しかし、そんなシボドーも今、チームと(ヒザを負傷した)ジミー・バトラーの状態が悪化する危機を迎えているが、彼は断固としてバトラーにすがろうとしている。

以下は、ウルブズのガーネット移籍後からラブ移籍後までを表した成績だ。


シーズン  ウルブズの成績  ヘッドコーチ


2006-07*  32勝50敗       ドウェイン・ケイシー、

               ランディ・ウィットマン


2007-08   22勝60敗     ウィットマン


2008-09   24勝58敗     ウィットマン、

               ケビン・マクヘイル


2009-10   15勝67敗     カート・ランビス


2010-11   17勝65敗     ランビス


2011-12   26勝40敗     リック・アデルマン


2012-13   31勝51敗     アデルマン


2013-14**  40勝42敗      アデルマン


2014-15   16勝66敗     フリップ・ソーンダース


2015-16   29勝53敗     サム・ミッチェル


2016-17   31勝51敗     トム・シボドー


2017-18   47勝35敗***    シボドー

* ガーネットの最終在籍年
** ラブの最終在籍年
*** プレーオフ出場

中編へ続く)


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Sean Deveney

Sean Deveney is the national NBA writer for Sporting News and author of four books, including Facing Michael Jordan. He has been with Sporting News since his internship in 1997.