スター選手のFA流出は、チームにどう影響するのか?【中編】

Sean Deveney

スター選手のFA流出は、チームにどう影響するのか?【中編】 image

運命のドラフト指名

スター選手のFA流出は翌シーズンのチームのパフォーマンスを崩壊させるが、チームはシーズン後のドラフト1位指名権を補償される。すべてがプラン通りに進めば、ドラフトで獲得した選手がスター選手の抜けた穴を埋められるはずなのだ。

▶スポーツ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

しかし、もしチームが1位指名で将来のスター選手を獲得したとしても、そこまで都合よく話は進まない。

ジェームズが退団した2010年、キャブズはカイリー・アービングを全体1位指名で獲得した。しかしアービングのNBAでの最初の2シーズンは悲惨なものだった。新人の年は21勝、2年目は24勝しか挙げられなかった。アービングはこう話していた。「チームには何人かタレントがいたけど、戦術が限られていたんだ。お互いにどうプレーしたらいいかわかっていなかった。チームとして組織されていなかったんだ」。

2011年のロックアウトの後にクリス・ポールを失ったニューオーリンズ・ペリカンズ(とその後のシャーロット・ホーネッツ)も同じ問題を抱えていた。2012年のドラフト全体1位指名でプレーレンジの広いアンソニー・デイビスを獲得したが、チーム力が落ちたペリカンズは彼を十分にサポートできず、入団後3シーズンの成績は21勝45敗、27勝55敗、34勝48敗だった。

ペリカンズは2014-15シーズンにようやくプレーオフに進出したものの、昨シーズンに調子を取り戻すまでの2年間は再び下位に沈んだ。


シーズン     ペリカンズの成績


2010-11*     46勝36敗


2011-12      21勝45敗


2012-13      27勝55敗


2013-14      34勝48敗


2014-15      45勝37敗**


2015-16      30勝52敗


2016-17      34勝48敗


2017-18      48勝34敗**

* ポールの最終在籍年
** プレーオフ出場

 

煉獄にはまったチーム

スター選手流出に伴ってチーム状態が悪化の一途を辿ると、組織の再建がはじまる。フィラデルフィア・シクサーズが若手のタレントをそろえるために(ドラフトで高順位指名権を得るべく)わざと試合に負けて勝率を落とすような戦い方をしたことが議論を呼んだが、チームが解体されていくとファンは二分される。

そうでもしなければ、チームが競争力を維持するべく最善の手を打ったとしても、44勝48敗のシーズンが続くばかりで優勝争いに食い込めない煉獄のような苦行が待っている。

近年はその傾向が強まっている。ひどいスタートを切ったキャバリアーズは、最低でもポストシーズンには進めるようチームを立て直そうとしている。2016年にデュラントを失ったオクラホマシティ・サンダーはラッセル・ウェストブルックをトレードする選択枝もあったが、そのかわりにウェストブルックとの契約を延長してポール・ジョージと再契約した。それはチームが自ら「強いが最強にはなれない」バスケットボールをしていくことを選んだに等しい。

同様に、2014年にジェームズが退団したマイアミ・ヒートも優勝争いに留まろうとしたし、アルドリッジがFA移籍したポートランド・トレイルブレイザーズも同じ方策を取った。ブレイザーズにはまだスターPG(ポイントガード)のデイミアン・リラードがいたが、アルドリッジのオフェンス面での存在感は大きかった。

これらのチームは来春のプレーオフにも進出するだろうが、どのチームも優勝することはないだろう。それでも、NBAファンからのシクサーズへの批判を見る限り、彼らが最善の努力を尽くしたことにはいくばくかの敬意を表したほうがいいかもしれない。


シーズン      サンダーの成績


2015-16*      55勝27敗**


2016-17       47勝35敗**


2017-18*      48勝34敗**

* デュラントの最終在籍年
** プレーオフ出場

 


シーズン      ヒートの成績


2013-14*      54勝28敗**


2014-15       37勝45敗


2015-16       48勝34敗**


2016-17       41勝41敗


2017-18       44勝38敗**

* ジェームズの最終在籍年
** プレーオフ出場


シーズン      トレイルブレイザーズの成績


2014-15*      51勝31敗**


2015-16       44勝38敗**


2016-17       41勝41敗**


2017-18       49勝33敗**

* アルドリッジの最終在籍年
** プレーオフ出場

 

後編へ続く)


【DAZN関連記事】
【必読】DAZN(ダゾーン)の"トリセツ" 最新・2018年版!
ネットでプロ野球中継を視聴する方法を紹介
DAZNでのプロ野球の放送予定や試合スケジュール
DAZNでF1放送を視聴する方法は?
【最新・2018年版】F1の放送予定・レース日程まとめ
ネットでMLB中継を視聴する方法を紹介
MLBの試合日程・放送予定|テレビでの視聴も可能?/2018シーズン

Sean Deveney

Sean Deveney is the national NBA writer for Sporting News and author of four books, including Facing Michael Jordan. He has been with Sporting News since his internship in 1997.