ダルビッシュらスター選手がキャンプ参加の侍ジャパン…キャンプ地の宮崎は歓喜も、各球団は苦悩

菅谷齊

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想像以上の注目度に驚く。WBC出場の日本チームの練習(宮崎)を見に全国各地からファンが押し寄せるほど。その余波はセ・パ12球団の情報激減をもたらした。

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前代未聞の経済効果

こんな状況である。

「午前3時から並んでいます」

練習会場の球場に並んだファンの声である。多くのファンがずらっと並んで練習開始を待っていた。

そこへ選手たちがバスで到着、グラウンドに向かう。

「サインして下さい-」

一斉にそんな声が上がる。立ち止まって色紙にペンを走らす選手もいる。そのたびにファンが集まって来る光景はWBCの人気を証明するものだった。

売店は笑顔、笑顔…。喜びの声が流れて来る。

「選手のグッズはすぐ売れ切れになっています。入荷してもすぐさばけてしまう。大変な人気、大変な売り上げです」

自家用車でやって来るファンも多い。球場のある総合運動公園の駐車場は通常500円なのだが、3000円に値上げしたそうである。近くの民家も自宅の駐車場を空け、また空き地も臨時駐車場となった。一台2000円から3000円だとか。

「思わぬ経済効果です」

地元の人たちはそう言って驚く。コロナ禍で打撃を受けた観光地だけに、日本チームのキャンプは大きな効果をもたらした。

グラウンドは“ダル効果”

ひとたびグラウンドに目を向けると、ダルビッシュ有の存在が際立っている。なにしろサンディエゴ・パドレスと「6年、142億円」で契約したばかりの現役バリバリ。

「憧れの人」「なんでも学びたい」

選手たちの中からはこんな声ばかり。ダルビッシュは第2回WBCで日本チームが優勝したとき。決勝で最後のマウンドにいた実績がある。

投手だけではない。食事会をしては貴重な話を引き出していた。

たとえば、変化球の握りについて「縫い目の回転で落ち方が変わる」。かなり奥の深い内容だが、素晴らしいヒントである。

体調管理の話もあり、食事にサプリメントの摂り方など、選手にとっては参考になる経験談ばかりだった、という。

最年少三冠王の村上宗隆を相手に投げ、バックスクリーンへの一打や左翼へ軽打された後、その感想を「公開処刑された」。こんなユーモアもあるからチーム全体が一つになっている、と首脳陣は見ている。“ダル効果”は想像以上に大きい。

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WBC余波

日本代表チームがキャンプをすると、メディアは連日、その模様を報じている。その影響は各地でキャンプを張り、オープン戦を行っている12球団の情報に及び、調整情報が少ない現象を起こした。つまり例年のキャンプの季節とは違う状況なのである。

代表チームに主力を出している球団の中には悩むところもある。とりわけレギュラー内野手がいないとチームプレーに響く。併殺プレー、連携プレーなどである。控え選手を使ってしのいでいるのだが、公式戦を思うと悩みのタネだろう。

また本来のポジションとは違うところを守る練習をWBCの練習でしていることも、心配の材料となっているだろう。

WBC全体を見ると、最も燃えているのが日本、といわれている。米国をはじめ、中南米の強豪チームは主力の辞退があった。「公式戦が大事」「WBCで故障したら…」といった理由がほとんどで、これはWBCの問題点といっていいだろう。

ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は米国で調整した後、来日し、代表チームに合流するスケジュールとなっている。

このWBCの参加については、かつて日本のプロ野球選手会が「出場辞退」を決めたことがあった。分配金の問題だったと聞いているが、大事な2月、3月の調整中にチームを抜けることで各チームが調整に苦悩するのが実情である。出場したい選手、故障を恐れる球団。この問題の解決は難しい。

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菅谷齊

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菅谷齊(すがや・ひとし)1943年、東京・港区生まれ、法大卒。共同通信で巨人、阪神、大リーグなどを担当。1984年ロサンゼルス五輪特派員。スポーツデータ部長、編集委員。野球殿堂選考代表幹事を務め三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。大沢啓二理事長時代の社団・法人野球振興会(プロ野球OBクラブ)事務局長。ビジネススクールのマスコミ講師などを歴任。法政二高が甲子園夏春連覇した時の野球部員。同期に元巨人の柴田勲、後輩に日本人初の大リーガー村上雅則ら。現在は共同通信社友、日本記者クラブ会員、東京プロ野球記者OBクラブ会長。著書「日本プロ野球の歴史」(大修館、B5版、410ページ)が2023年度ミズノスポーツライター優秀賞を受賞。