25奪三振の試合の記念品は、ニューヨーク州クーパーズタウンの野球殿堂とオンタリオ州セントメアリーズのカナダ野球殿堂に飾られている。
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クーパーズタウンの野球殿堂には、試合で着用されたグレイの帽子とサイン入りのカード、試合のスコアシートとプログラムが保存され、カナダ野球殿堂にはグレイのユニフォームが額に入れて飾られている。
※本記事トップ画像が、クーパーズタウンにある野球殿堂の収集品の一つ、25奪三振を記録した試合のブレット・グレイの帽子。(ミロ・スチュワードJr/野球殿堂博物館)フロンティアリーグも2014年に自リーグの野球殿堂を設立した。初年度は5名の選手(モーガン・バークハート、アーロン・レッドベター、スコット・ピオーニ、フラン・ライアダン、カーク・テイラー)が殿堂入りを果たしたのに加えて、リーグは“スペシャルモーメント部門”も毎年選出することに決めた。グレイの25奪三振が初年度に選出されるのは簡単な話だった。
「あの日は信じられないほど特別な夜でした」そう語ったのはコミッショナーのビル・リーだ。彼は、グレイと彼のチームメイトに1999シーズンの優勝旗を手渡すべく、25奪三振の試合を見届けていた。「試合終了直後に、彼に握手を求めにロッカールームに行き、『ああ、君はなんて努力をしたんだ』と言ったのを覚えています。
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本編記事でも述べたように、25奪三振の試合で球審を務めたジム・クレスマンは、アメリカが金メダルを獲得した1988年のソウル五輪での決勝戦に審判団の一員として参加していた。アメリカ代表は(対面した最後の打者12人の内11人を打ち取った)ジム・アボットの完投とティノ・マルティネスの2本のホームランの支えもあり、5対3で日本代表を打ち負かした。その大会ではクレスマンは一塁塁審を務めていた。
オンタリオ州出身のクレスマンは、プロの審判としてのキャリアを1972年にアパラチアンリーグ(ルーキーリーグレベル)でスタートさせた。偶然にも、グレイの25奪三振を凌ぐ記録を歴史上で唯一残しているレイ・ネッチアイは、1952年に27奪三振をアパラチアンリーグで奪っている。クレスマンは1973年にシングルAのフロリダ・ステートリーグへと昇格し、1974年と1975年にはダブルAのイースタン・リーグで審判を務めた。
しかしその時、MLB配下のリーグでの審判としてのキャリアは、前触れもなく止まることになる。
「次にトリプルAの審判に選ばれるのは自分だと聞いていました」クレスマンは私にそう語った。「しかし、1975年の後、私がアメリカ人から仕事を奪っているとの判断を米労働省が下したため、私はマイナーリーグで4年間審判を務めてキャリアを終えました」。
本当にひどい話だ。彼は、カナダ人だという理由でそのキャリアの幕を下ろしたのだ。同じくカナダ人審判であるエイブ・シャピーロは、1974シーズンを終えた後に就労ビザを失効している。クレスマンは1975シーズンの後に失効した。しかし、すでにメジャーで審判を務めていたカナダ人のジム・マッキーンは、そのまま審判を続けることとなった。
その後、クレスマンはロンドン・フリー・プレス紙にてスポーツ記者として働くことになり、36年間勤め上げた。その傍ら、暇を見つけるとパートタイムでリーグのレベルに関わらず審判を務めた。記者としてはデトロイト・タイガースとトロント・ブルージェイズ(両チームはロンドンからは正反対に位置しており、どちらも車で片道2時間半ほどかかる)の2チームの担当を受け持ち、短期間だけ存在していたダブルAのロンドン・タイガーズも担当していた。
クレスマンはオンタリオ・ホッケー・リーグ(OHL、カナダ・ホッケー・リーグ内の3大ジュニアリーグの一つ)の担当も19年間続けた。実際、彼は25奪三振の試合の日にOHLのドラフトも取材していたのだ。フリー・プレス紙で彼の編集だったデイビット・ラングフォードはテレビ番組でスポーツ解説者も務めており、試合前のコメントでこんな一説を残していた。
「今日のジムは本当に忙しかったんだ。彼はOHLドラフトのためにミシサガにあるハーシーセンターまで行ってきたんだ。主な関心事はロンドン・ナイツとサルニア・スティングについてだろう。そして皆がオフィスに戻る中、彼は記事を2本も書き上げて、この球場にやって来たんだ。今夜の試合のための準備もしっかり終えてね」
(後編へ続く)
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