2023年3月に開催される野球世界一を決める国際大会、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(2023 World Baseball Classic™|以下WBC)では、アメリカ代表や日本代表(侍ジャパン)をはじめ、MLBや日本プロ野球などで活躍する世界のトップ選手たちがそれぞれの母国を代表して戦う。普段のリーグでは見られない『夢の対決』がいくつも実現する可能性があり、それも大会の見どころのひとつだ。
ここでは、本誌『スポーティングニュース』のライアン・フェイガン記者が、WBC 2023で見てみたい注目の『打者 vs. 投手』のマッチアップを選んだ。皆さんはどの対決を見てみたいだろうか?
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WBC 2023で見てみたい実現可能な直接対決10選
ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)を見るべき理由のリストは長くなる。そのなかでもトップ近くに挙げられるべきなのは、WBCではふだん我々が見ることができない投手と打者の直接対決が実現するかもしれないということである。春季トレーニングキャンプの練習を見に行くようなコアなファンは別として、ではあるが。
WBCが回を重ねるごとに、チームメイト同士の対決が注目を集めるようになっている。初期はエキシビションのような扱いではあったが、現在は真剣勝負に近くなっている。アメリカ代表チームのキャプテンを務めるマイク・トラウトは、1月20日のオンラインインタビューに応じた際、メディアへ向けて下のように答えている。
「僕たちがここにいる理由はひとつしかない。それは優勝することだ」とトラウトが言ったのだ。
「たくさんの強敵チームがいるけど、僕が代表チームに参加することを決めたすべての理由は優勝するためだ。他には何もないよ。それ以外は失敗でしかない」
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何と楽しみなことだろう。ここでは、我々が見たいと願う、そして実現可能な直接対決を10個選んでみた。
1. ロサンゼルス・エンゼルス対決:マイク・トラウト vs. 大谷翔平
可能性があるラウンド・試合:決勝戦/アメリカ(トラウト)vs. 日本(大谷)
考察:こんな夢のようなことが起きないだろうか。WBC決勝戦の終盤、8回か9回のマウンドに大谷が上る。試合は同点で、打席にはトラウトが向かう。筆者にはこの直接対決の勝者を想像することすらできない。しかし、そのすべての瞬間を楽しむはずだ。当事者の2人もそうだろう。
トラフトは「僕らはそのことについては昨シーズン中に話したよ」と1月20日にメディアに話している。
「大谷が出場することは知っていたからね。大谷が投げるときはいつも近くで見ている。エグイ球だよ。大谷と対戦したことがある打者と話をすると、だれもがもう打席に立ちたくないって言うからね。すごく興味があるよ。楽しみにしている。大谷とは仲の良い友人同士だし、きっと楽しくなるはずだ。僕らは多くのチームメイトやふだん戦っている選手たちとWBCで対戦することになる」
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2. ヒューストン・アストロズ対決:ホセ・アルトゥーベ vs. アストロズ投手陣
可能性があるラウンド・試合:第1ラウンド/3月11日 ベネズエラ(アルトゥーベ)vs. ドミニカ共和国(全員)
考察:アルトゥーベは長きにわたってアストロズを象徴する選手であり続けている。しかし、アストロズのファンがWBCではアルトゥーベの敵に回ったとしても、それを非難することはだれにもできない。なぜならドミニカ共和国代表チームはアストロズのスター選手で溢れているからだ。ワールドシリーズでヒーローになったジェレミー・ペーニャもそうである。
投手陣にいたっては、ワールドシリーズで継投ノーヒットノーランを演じたクリスチャン・ハビエル(6イニング)、ブライアン・アブレウ(1イニング)、そしてラファエル・モンテロ(1イニング)の全員がドミニカ共和国代表チームに名を連ねている。それだけではなく、ジャスティン・バーランダーがニューヨークに移ったことでアストロズのエースとの期待がかかるフランバー・バルデスも、救援投手陣のカギとなるヘクター・ネリスもそうなのである。
そして、もしベネズエラ代表チームが第2ラウンドに進出すると、アルトゥーベは対アメリカ戦でアストロズのクローザーであるライアン・プレスリーと相まみえるかもしれない。
3. 将来の野球殿堂入り選手対決:ミゲル・カブレラ VS. クレイトン・カーショウ
可能性があるラウンド・試合:第2ラウンド/ベネズエラ(カブレラ) vs. アメリカ(カーショウ)
考察:彼らはチームメイト同士ではない。しかし、そう遠くない将来、ミゲル・カブレラとクレイトン・カーショウは野球殿堂入りジャージーを着て、クーパータウンの同じステージに並んで立つはずだ。
1回目の投票で当選することが確実視されている2人がWBCの第2ラウンドで対決するところを見たくはないだろうか。彼らの長いキャリアで、この直接対決は今までに8回しか実現していない。対戦成績はカブレラの8打数0安打3三振で、カーショウが圧倒している。
4. MLBの将来を担うスター対決:フリオ・ロドリゲス(ドミニカ共和国)vs. 佐々木朗希(日本)
可能性があるラウンド・試合:決勝戦/ドミニカ共和国(ロドリゲス)vs. 日本(佐々木)
考察:少し気が早い夢かもしれない。佐々木がMLBに来ることになるとしても、それはまだ数年先のことだからだ。
しかし、この日本の少年は間違いなくスターなのだ。昨年、佐々木は日本プロ野球で28年ぶりとなった完全試合を達成した。だが佐々木の凄さはその日のパフォーマンスだけでは語れない。20歳になったばかりの佐々木はその日に13人連続を含む19三振を奪っただけではなく、次の先発登板でも8回を走者なしで完全に抑えたのだ。その試合では9回を前に降板を命じられている。
WBC決勝戦において佐々木がJ-Rod(ロドリゲス)を相手に1回か2回迎えるところを想像すると胸が躍らないだろうか。
関連記事:完全試合達成の日本人・佐々木朗希とは何者か…MLBにやって来る可能性は?
5. ニューヨーク・メッツ対決:ピート・アロンソ vs. エドウィン・ディアズ
可能性があるラウンド・試合:第2ラウンド/アメリカ(アロンソ)vs. プエルトリコ(ディアズ)
考察:我々はこれを「131対決」と呼びたい。なぜなら、昨シーズンのディアズはメッツの絶対的クローザーとして防御率1.31の成績を残し、アロンソはチームの主軸打者として131打点を挙げたのだ。
6. フィラデルフィア・フィリーズ対決:J.T.・リアルミュート vs. レンジャー・スアレス
可能性があるラウンド・試合:第2ラウンド/アメリカ(リアルミュート)vs. ベネズエラ(スアレス)
考察:捕手が自チームの投手とWBCの打席で対戦することほど想像をかき立てるものはない。それもワールドシリーズ進出の原動力になったばかりのバッテリーとなればなおさらだ。
頭脳戦の始まりである。リアルミュートはスアレスの球種やメンタルを誰よりも熟知している。そのことはリアルミュートにとって有利に働くだろう。しかし、スアレスがそれを逆手にとって、リアルミュートの裏をかくことも可能だ。しかし、リアルミュートはスアレスがそれを知っていることを知っている。そしてスアレスはリアルミュートが…と考え出すときりがないのだ。試合が待ち遠しい。
7. サンディエゴ・パドレス対決:ザンダー・ボガーツ vs. ダルビッシュ有
可能性があるラウンド・試合:第2ラウンド/オランダ(ボガーツ)vs. 日本(ダルビッシュ)
考察: プールA/Bは少し実現が困難な組み合わせかもしれない。MLB選手の多くがプールC/Dのチームに所属しているからだ。しかし、もしこの対戦が実現すれば、とても興味深いものになる。パドレスのエースと同チームがオフシーズンに獲得した大物が対決するかもしれないのだから。
サンプル数は少ないが、ボガーツはダルビッシュのチームメイトになれたことを喜んでいるだろう。これまでの直接対決では6打席でボガーツの5打数0安打2三振1四球なのだ。パドレスファンはこの対決が実現すれば喜ぶに違いない。
8. ロサンゼルス・ドジャース対決:ムーキー・ベッツ vs. フリオ・ウリアス
可能性があるラウンド・試合:第1ラウンド/3月12日、アメリカ(ベッツ)vs. メキシコ(ウリアス)
考察: この対戦はプールCで両チームにとっての第2戦である。ウリアスはメキシコ代表チームのキャプテンだ。そうなると、この重要な試合に登板する可能性は高いのではないだろうか。ぜひとも、そうあってほしい。ドジャースの元MVPとサイヤング賞候補が対峙する場面を見たくない人がいるだろうか。
9. セントルイス・カージナルス対決:ポール・ゴールドシュミット&ノーラン・アレナド vs. ジオバニー・ガジェゴス
可能性があるラウンド・試合:第1ラウンド/3月12日、アメリカ(ゴールドシュミットとアレナド)vs. メキシコ(ガジェゴス)
考察:カージナルスはMLB選手枠から9人、傘下マイナーリーグから3人の選手をWBCに送り出している。そのなかでカージナルス同士の対決をひとつ選ぶとすればこれになる。
実現する可能性は高い。とくに接戦になれば、試合後半のイニングでメキシコがガジェゴスをマウンドに送り、アメリカの主軸を担う右打者たちと対戦させるだろう。これは楽しみな対決だ。試合前半で前述のベッツ vs. ウリアスが実現していたら、さらに言うことはない。
プールCではタイラー・オニール(カナダ)がアダム・ウェインライトかマイルズ・マイコラス(アメリカ)と対峙するかもしれない。 第2ラウンドではほかにもカージナルス同士の直接対決が実現する可能性がある。プールA/Bではラーズ・ヌートバー(日本)またはトミー・エドマン(韓国)vs. アンドレ・パランテ(イタリア)がそうであるし、プールC/Dではヘネシス・カブレラ(ドミニカ共和国)vs. ゴールドシュミット/アレナド(アメリカ)またはオニール(カナダ)である。
10. トロント・ブルージェイズ対決:ブラディミール・ゲレーロ・ジュニア vs. ホセ・ベリオス
可能性があるラウンド・試合:第1ラウンド/3月15日、ドミニカ共和国(ゲレーロ)vs. プエルトリコ(ベリオス)
考察:この2人ほど2023年のブルージェイズにとって重要な選手はほかにいない。昨年のブルージェイズはこの2人がやや不調だったにもかかわらず、ポストシーズン進出を果たした。しかし、このチームがアメリカン・リーグ東地区のタイトルを目指すのであれば、ゲレーロにはふたたびMVP級の活躍を、そしてベリオスにはふたたびオールスター級の活躍を、それぞれ望むだろう。
この試合はプールDの最終戦である。少なくとも、どちらかのチームにとっては第2ラウンド進出をかけたものになるはずだ。ブルージェイズのチームメイト同士がマイアミで激突する場面が見られるかもしれない。
原文: 2023 World Baseball Classic: 10 pitcher-hitter matchups we can't wait to see
翻訳:角谷剛
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