韓国球界で覚醒したナックル左腕(後編)

Sung Min Kim

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フィアベンドは、高校からナックルボールの投球法を知っており、使いこなしてきたものの、実際に試合で使用したのは2017年が最初だった。

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これが、彼のナックルボールだ。

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この投球は時速119キロ(73.9マイル)だった。韓国野球サイトStatizによると、球速平均は、120.5キロ(74.9キロ)で、23.2%の割合でナックルを投げているという。

2016年、彼はストレート、スライダー、チェンジアップを使う標準的な選手だった(それぞれ55.1、18.2、18.3%)。彼は今シーズン、ストレートも多く投げている(44.4%)が、スライダー数を大幅に減らしている(3.9%)。そして主に、チェンジアップとナックルボールのコンビネーションで打者を翻弄している。

このピッチングはとても効果的だった。打者たちは彼のナックルボールの63.1%にスイングするものの、被打率は.198であり、長打率は.271だった。フィアベンドはナックルボールをストライクとして投げることもできたし、低く投げ空振り三振に持ち込むことも可能だった。

注目すべきは、フィアベンド躍進の要因がナックルボールだけではないということだろう。一つは、彼がストライクゾーンの端を狙って攻めているということだ。韓国のサイトNaverによると、フェアベンドはストライクゾーン周辺の6.5センチのエリア(全体の32.3%)への投球でリーグ首位に立っている。これは、今シーズンリーグが導入した、以前より大きくなったストライクゾーンの恩恵によるものかもしれない。2017年開催のワールドベースボールクラシックにおいて、韓国代表チームの打撃結果が満足のいくものではなかったことを受け、KBOはストライクゾーンを拡大したのだ。

その結果、投手にとっては失点が減り(リーグ全体で5.19から4.63に減少)、四球数も減っている(9イニング当たりの与四球数は3.78から3.25に減少)。そして奪三振は増えている(9イニングあたりの奪三振数は6.85から7.02に上昇)。しかしこの変更を除いても、フィアベンドの数値は大幅に向上している。確実に自分自身で調整を行っているはずだ。

KBOでの最初の2シーズンにおけるフィアベンドの成績は、問題はないが地味なものだった。そして一度は球団から放出されている。KBOで持ちこたえ、安定したプレーを続けるため、彼は調整を行い、変化を遂げたのだ。そしてそれが結果につながった。

KBOや日本プロ野球、CPBL(中国野球リーグ)において、外国人選手がプレーするために重要なのは、リーグで生き残るための才能だけではなく、進んで学び、調整する姿勢を見せることだ。

多くの選手が、才能と実績を認められてアジアのリーグに移籍しているが、長くは続かなかった。一方で、エリック・テイムズがKBOでのプレーで学んだもの、そしてそれによってミルウォーキー・ブリュワーズでの成功につながったことは、皆が知っていることだろう。

フィアベンドがパフォーマンスを維持できれば、少なくともKTウィズからの高い年俸を得て、安定してプレーができるようになるはずだ。将来、彼は素晴らしいプロ野球界のレガシーとなるかもしれない。

(完)

原文:Ryan Feierabend is Korean baseball's next big reclamation project

翻訳:Ayako Hayashi

Sung Min Kim