フリーエージェントの先発投手トップ20人をランク付け…予想される移籍先

Ryan Fagan

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あなたが贔屓にしているチームは投手を必要としている? それなら、あなたは我々の仲間だ。ニューヨーク・ヤンキースのGMブライアン・キャッシュ氏は、今週初めにあったGM会議でこう言った。「投手、投手、投手だ」。

今年のフリーエージェント市場ではすべてのチームが何かしらの事情を抱えている。短期で高額の契約を狙うベテランもいれば、長期で高額の契約を求める30歳周辺の先発投手もいる。あるいは不調から復活して自身の価値を再構築するために1年契約(ひとつかふたつのオプションがつくかもしれないが)を目論む選手もいる。

もしあなたの贔屓チームが先発投手を補強しなかったとしたら、その理由はただ選択肢がなかったからに他ならない。

フリーエージェント市場にある先発投手のトップ20人を見てみよう。

 

1. ロビー・レイ, 左投げ

シーズン開幕日の年齢: 30

選出理由:レイは2020年のトレード期限でトロント・ブルージェイズに移籍した。そのオフにフリーエージェントとなったが、2021年シーズンもトロントに残留することを希望し、1年契約を結んだ。結果として、それは素晴らしいアイデアだった。レイはそれまで長く苦しんでいたコントロールの課題を克服し、エリート先発投手の仲間入りを果たすことができたのだから。2021年シーズン前までのキャリア平均で4.3だった与四球率が2.42 と大幅に改善したのだ。防御率、投球回数、奪三振数、そしてWHIPの分野でアメリカン・リーグのトップだった。サイヤング賞の最終候補にも残った(受賞が有力視されている)。

予想される移籍先:ブルージェイズはこれからの何年かでアメリカン・リーグ東地区とワールドシリーズ制覇を本気で狙っている。そのためには三振を多く奪えるレイのような投手を先発ローテーションの筆頭に据えたいと思うだろう。

 

2. マックス・シャーザー, 右投げ

シーズン開幕日の年齢: 37

選出理由:シャーザーの実年齢は37歳だが、まるで29歳のようだ。今でもメジャーリーグで十分に通用するし、ときには圧倒的な先発投手である。これまでにサイヤング賞を3回受賞しているこの右腕は、ワシントン・ナショナルズからロサンゼルス・ドジャースに移籍してから、11試合に先発登板し、防御率は1.98だった。シャーザー獲得に動く球団は多いだろう。2年か3年の超高額な契約オファーが予想される。

可能性がある移籍先:サンディエゴ・パドレス。パドレスには書類上は先発ローテーションに5人の投手が揃っている。ダルビッシュ有、ブレイク・スネル、ジョー・マスグローブ、クリス・パダック、そしてトミージョン手術から復帰するマイク・クレビンジャーだ。だが、昨年の悲劇を考えると、パドレスは今オフ、補強に極めて積極的になると思われる。シャーザー獲得はその最たるものになるだろう。

 

3. マーカス・ストローマン, 右投げ

シーズン開幕日の年齢: 30

選出理由:ニューヨーク・メッツは2021年シーズンに数多くの問題を抱えたが、ストローマンの働きは悪くなかった。33試合に先発登板し、防御率3.02、FIP 3.49 をマークしたのだ。与四球率は2.2 でしかなかった。33試合で179回の投球回数は少なすぎるという批判もあるかもしれないが、その数字のいくらかは投球パフォーマンス以外の原因によるものだ。例えば、4月11日の試合では、試合開始後に2人の打者を打ち取っただけで、審判が降雨のために試合を止め、ストローマンはマウンドから下ろされた。6月22日は1回終了後に腰痛を理由に降板した。別の数字を示すとすれば、33試合のうち29試合で最低でも5回以上を投げている。7,8,9月は先発したすべての試合で5回以上を投げた。その数字を越える投手はザック・ウィーラー、ウォーカー・ビューラー、フリオ・ウリアスの3人だけである。

予想される移籍先:ストローマンは現代野球には珍しく、打たせてアウトを取るタイプの投手だ(キャリア通算の奪三振率は7.5)。その投球スタイルからすると、5人のゴールドグラブ受賞者を抱えるセントルイス・カージナルスがもっとも適したチームと言える。カージナルスは昨シーズン、先発ローテーションに故障者が相次ぎ、苦しい台所事情に陥った(代わりの投手たちの多くは予想外の活躍を見せたが)。計算できる先発投手を補強することを望むだろう。

 

4. ケビン・ゴーズマン, 右投げ

シーズン開幕日の年齢: 31

選出理由:ゴーズマンは2021年をサンフランシスコ・ジャイアンツでキャリア最高の成績を残した。33試合に先発登板し、防御率2.81、FIP 3.00、奪三振率10.6、そして与四球率は2.3 である。昨年はクオリファイング・オファーを受託してジャイアンツでプレイしたため、今オフに他球団へ移籍しても、獲得した球団側にはドラフト指名権の補償は発生しない。そのことはゴーズマンには有利に働くだろう。

予想される移籍先:トレード補償が発生しないことは間違いなく有利ではあるが、ゴーズマンは過去に在籍したボルチモア・オリオールズ、アトランタ・ブレーブス、シンシナティ・レッズのどこでも、ジャイアンツ時代のような活躍はできなかった。ジャイアンツは資金面で余裕がある。ゴーズマンがこのチームに復帰することが、両者にとって最良の判断だと言えるだろう。

 

5. カルロス・ロドン, 左投げ

シーズン開幕日の年齢: 29

選出理由:ロドンは数年間をほぼ棒に振った後、今シーズンに見事な復活を遂げた。肩に不安を抱えているため、球団側は高額な長期契約のオファーをためらうことは十分に考えられる。だが、代理人であるスコット・ボラス氏の実績からすると、ロドンの1年契約に合意することはないだろう。

予想される移籍先:シアトル・マリナーズは菊池雄星が他チームへ移籍した場合、この左腕との契約を望むかもしれない。

 

6. ノア・シンダーガード, 右投げ

シーズン開幕日の年齢: 29

選出理由:シンダーガードの長い不在期間(右肘の故障で約2年欠場)を考えると、この順位は高すぎる評価かもしれない。だがそれには理由がある。シンダーガードはまだ29歳であるし、今シーズン最後に投げた2イニングを見ると、トミージョン手術後経過の不安は消えたようである。それに加えて、トミージョン手術から復帰した投手の多くが成功している事実がある。シンダーガードは自身の価値を再構築するために1年契約を望むかもしれないし、あるいは複数年の保証といくつかの相互オプションがついた長期契約を申し入れるチームもあるかもしれない。

予想される移籍先:多くの人はシンダーガードがメッツに残留することを予想する。その場合は、クオリファイング・オファーを受け入れるか、あるいは別の短期契約になるだろう。だがフリーエージェントには奇妙な魅力がある。2022年にプレーオフ進出を狙うチームに移籍することも大いに考えられる。例えばマリナーズはそのひとつだ。

 

7. クレイトン・カーショウ, 左投げ

シーズン開幕日の年齢: 34

選出理由:カーショウは来年3月に34歳になる。もはやサイヤング賞候補になるような投手ではないかもしれないが、それでも故障さえなければ、まだまだ大きな実力を備えた投手である。新型コロナウイルスの影響で短縮された2020年シーズンでは、10試合に先発登板し、防御率2.16の成績を残した。ポストシーズンでは5試合に先発し、防御率2.93(ワールドシリーズの2試合では2.31)だった。2021年は22試合の先発登板でFIP 3.00と2016年以来でもっともよく、奪三振率10.7 はキャリアで3番目の数字だった。3回受賞したサイヤング賞のうち、2シーズンで挙げた数字よりも高かったのである。
 

可能性がある移籍先:ドジャース。現実に目を向けるとすれば、カーショウはこれから毎年のように故障者リスト入りする期間があるだろう。2015年以来、様々な問題による戦線離脱があり、先発試合数が28を越えたシーズンが一度もない。だが、ドジャースにとってカーショウはたとえ欠場しているときでもフランチャイズ大使としての価値がある選手だ。先発ローテーションに穴が開いたときにバックアップする人材も豊富だ。ファンに人気があるカーショウをチームに留め、なるべく10月のプレーオフまで故障を避ける努力を払うほうが賢明だろう。

 

8. ジャスティン・バーランダー, 右投げ

シーズン開幕日の年齢: 39

選出理由:バーランダーはもうすぐ40歳になり、将来の野球殿堂入りが確実視される。だが2019年以来一度しか先発登板していない。この投手をどのランクに評価するべきかについては判断が困難だ。手術後の経過状況と移籍先はさらに分からない。

 

9. エドゥアルド・ロドリゲス, 左投げ

シーズン開幕日の年齢: 29

選出理由:32試合(31試合に先発)を投げ、防御率4.74 はあまり良い成績には見えない。だがFIP 3.32 は立派な数字だ。奪三振率は10.6、奪三振と与四球の比率(K/BB)は3.94で、どちらもキャリア最高の成績だった。2020年は新型コロナウイルスの影響で完全欠場したことを考えると、なおさら印象的だ。E-Rod(ロドリゲス)に興味を持つチームは多いはずだ。6

予想される移籍先:ボストン・レッドソックスに戻ったとしても、まったく驚くべきことではない。これまでにこのチームで通算856回2/3を投げ、防御率4.16の成績を残している。

 

10. ジョン・グレイ, 右投げ

シーズン開幕日の年齢: 30

選出理由:グレイはコロラド・ロッキーズに残留を希望していると報じられていたが、ロッキーズはクオリファイング・オファーを申請しなかった。それは他球団がグレイを獲得してもドラフト指名権の補償が発生しないことを意味する。空気の薄いコロラド以外の場所へグレイを連れてくることに興味を持つチームにとっては好都合だ。もっともグレイの本拠地でのキャリア通算防御率は4.54で、実際には遠征時の4.65より良い成績を残している。だが、空気の薄い高地コロラドの球場と「普通の(平地の)」球場を行ったり来たりすることがなくなれば、それがグレイの投球にどのように作用するかは興味深い問題だ。グレイの昨シーズンは安定していた。FIP 4.22、奪三振率は9.5である。

予想される移籍先:ロサンゼルス・エンゼルスはこのリストのどの投手にとっても「予想される移籍先」に挙げられてもおかしくない。なかでもグレイはエンゼルスにとても適している。何事もなければ、耐久性が高い投手である。直近の5シーズンで最低20試合以上に先発登板し、そのうち4シーズンで最低149回以上を投げている。

 

11. スティーブン・マッツ, 左投げ (30)

選出理由:2020年シーズンはメッツで30回2/3を投げ、防御率9.68という散々な成績で終わったマッツだが、ブルージェイズに移籍した2021年シーズンは復調を遂げた。29試合に先発登板し、防御率3.82、FIP 3.79 の数字を残している。エンゼルスの2番手先発投手に向いているだろう。

 

12. アンソニー・デスクラファニー, 右投げ (31)

選出理由:マッツ同様、デスクラファニーも2020年の成績は酷かった(防御率7.22)が、2021年には新天地ジャイアンツで復調した(防御率3.17)。デスクラファニーに向いているのは、かつてマッツが在籍したメッツだろう。

 

13. アレックス・ウッド, 左投げ (31)

選出理由:ウッドも2021年にジャイアンツ躍進の原動力の1つになった先発投手だ。3人(ゴーズマン、デスクラファニー、ウッド)のうち、1人くらいはチームに戻してもよい気もする。この3人の中ではウッドはもっとも低い契約を要求すると思われる。他チームに移籍するとすれば、ワシントン・ナショナルズが向いているだろう。

 

14. 菊池雄星, 左投げ (30)

選出理由:この左腕はシアトル・マリナーズに在籍した間、年俸に相応しいだけの活躍を見せたとは言い難い。3年間通算で70試合に先発登板し、防御率は4. 97だ。だが、菊池は耐久力に優れ、昨シーズンは奪三振率が9.3とまずまず安定した成績を挙げ、初めてオールスターにも選出された。もっともシーズン後半は苦しんだが(防御率5.98)。必ずしもプレーオフ進出を狙うチームでなくても、複数の先発投手を補強しようとするチーム、例えばジャイアンツ、エンゼルス、シカゴ・カブス、あるいはミネソタ・ツインズあたりが菊池に興味を持つだろう。

 

15. ディラン・バンディ, 右投げ (29)

選出理由:かつてボルチモア・オリオールズで期待の星だったバンディは、短縮された2020年シーズンにはエンゼルスで目覚ましい活躍を見せた。11試合に先発登板し、防御率は3.29 だった。しかし、2021年の成績は酷いものだった。防御率は6.08、FIP 5.51、そして奪三振率は2020年の9.9から2021年は8.3 まで下落した。現時点では、バンディは価値の再構築ができる場所を探しているだろう。それにはプレーオフ進出を狙って、5番手先発投手に多くの期待をかけるチームでない方がよい。例えば、ピッツバーグ・パイレーツやテキサス・レンジャーズなどがよいのではないだろうか。

 

16. ザック・デイビーズ, 右投げ (29)

選出理由:デイビーズの2021年の成績は良くなかった(32試合に先発登板し、防御率5.78)。しかし、リグレー・フィールド(シカゴ・カブスの本拠地)でもっとも悪かった投手であったわけではない。2019年と2020年で、ミルウォーキー・ブリュワーズとパドレスという強敵を相手に43試合に先発登板し、防御率3.30 の成績を残していることを忘れてはならない。プレーオフ進出を狙わないチームに移籍し、課題のコントロール(与四球と奪三振の比率が2020年の2.5から2021年は4.6に悪化した)の改善に取り組むことが合理的な選択だろう。そうすればトレード期限で他チームへ移籍し、翌年にはもっと良い条件のフリーエージェントになることができる。

 

17. ダニー・ダフィー, 左投げ (33)

選出理由:ダフィーはカンザスシティに愛着を持っている。家族もそこに住んでいる。ロイヤルズに復帰することを望んでいる。

 

18. マイケル・ピネダ, 右投げ (33)

選出理由:ミネソタ・ツインズの2021年シーズンは酷いものであったが、ピネダ個人はマウンド上でまずまずの働きをした。22試合に先発登板し、防御率3. 62の成績を残している。ツインズは勝率5割から16試合分下回ったが、ピネダが先発した試合に限ると勝率5割だったのだ。ピネダは5イニング限定の先発投手でもある。18個以上のアウトを取った試合はひとつしかない。だが、その役割に徹すれば、良い仕事をする。9月は24回1/3を投げ、防御率は1.85だった。

 

19. ザック・グレインキー, 右投げ (38)

選出理由:グレインキーの全盛期はもう過ぎてしまったようだ。しかし、この将来の野球殿堂入りが確実視される右腕は試合を作る方法を熟知している。プレーオフ進出を狙うチームの4番手先発投手としては最適だろう。ツインズやマイアミ・マーリンズのようなチームとグレインキーが契約することは考えにくい。守備力に定評があるカージナルスは良い候補だろう。あるいはドジャースに復帰することも考えられる。

 

20. アレックス・カッブ, 右投げ (34)

選出理由:カッブは故障がないときは安定していた。故障者リスト入りするまでは、15試合に先発登板し、防御率3.82だったが、その後は手首の故障でほぼ9週間も戦線離脱した。9月には復帰し、先発登板した3試合で5イニングを投げた。そのうちの2試合は良く、1試合は悪かった。

(翻訳:角田剛)

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Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.