スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、キャスター・セメンヤ(南アフリカ)が起こしていた国際陸上競技連盟(IAAF)のテストステロン(男性ホルモンの一種)値を制限する規定の撤回を求めた歴史的な訴えを棄却する判断を下した。
オリンピックの女子800メートル走で2大会連続(ロンドン、リオデジャネイロ)の金メダルを獲得したセメンヤはIAAFが新たに定めた性分化疾患(DSD)を持つアスリートに関わる規定に反対していた。
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問題となったルールは、先天的にテストステロンの値が高い選手に対して、女子の400メートルから1600メートルまでの中距離トラック走競技に出場するためには、投薬によってテストステロン値を下げることを義務づけるものだ。
IAAFは昨年、特にこれらの距離の種目のみが規定対象に選ばれた理由について、高いレベルのテストステロン値がもたらす競技上の優位性が多種目に比べて大きいことが明らかであるからだと説明している。
CASのこの争点に巡る発表を受けて、IAAFは「この訴えに対するCASの迅速で詳細な対応に感謝する」と声明を発表した。一方の当事者であるセメンヤは自身のツイッターを更新し、「時には何も対応しないことがよい対応である」と肩をすくめた絵文字と共にコメントしている。
🤷♂️ pic.twitter.com/FHmm10npfx
— Caster Semenya (@caster800m) 2019年5月1日
セメンヤはこの規定は「差別的、不必要、不正確、そして不適当」であるとして、南アフリカ陸連を通じて母国政府の後押しも受けていた。だが、5月1日にCASがIAAFの主張を認めたことで、28歳のセメンヤは今後国際レベルで競技を続けるには投薬を受けなくてはいけなくなる。
CASの裁定は30日以内にスイス最高裁に抗告することが出来る。IAAFの新規定は5月8日に発効となる。CASは性分化疾患に関する規定が差別的であることを認めたうえで、それにもかかわらず、女子選手による競技の公平性を守るためには必要であるとしている。
CASの声明は以下の通り。
「裁定委員の多数による判断により、原告の性分化疾患に関する規定が不適切であるとの主張が不充分であるとして、その訴えを退けることに合意した。裁定委員会はこの規定は差別的ではあるが、多数の委員は多くの科学的根拠に基づき、このような差別的措置がIAAFが目的とする女子選手による限られた競技の公平性を守るために合理的かつ適当な方法であることを認めた」
セメンヤは1500メートル走でも競技している。CASはIAAFに対し、この距離と1600メートル走については「さらなる科学的根拠が明らかになるまで」新ルールの適用を延期することを求めると同時に、この性分化疾患に関する規定が、将来実際に運用される上で深刻な懸念があることを表明している。
原文:Olympic champion Caster Semenya loses appeal over IAAF testosterone rules
翻訳:角谷剛
編集:SNJ編集部
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「※」は提携サイト『Goal』の記事です