性別疑惑に揺れたキャスター・セメンヤ、スイス最高裁の判決までは競技出場制限なしに

Ben Spratt

性別疑惑に揺れたキャスター・セメンヤ、スイス最高裁の判決までは競技出場制限なしに image

男性ホルモンであるテストステロン値を下げるための投薬を義務付ける規定に反対していた陸上女子800メートルの五輪金メダリスト、キャスター・セメンヤ(南アフリカ)について、スイス最高裁は正式な判決を出すまでの間、既定の導入を禁ずる仮決定を国際陸上競技連盟(IAAF)に通達した。

 

先天的な性分化疾患を持つセメンヤに対し、スイス最高裁が慎重な判断を下す

オリンピックの女子800メートル走で2大会連続の金メダルを獲得したキャスター・セメンヤは、スイス最高裁が判決を出すまでの間、制限を受けることなく競技に出場できることが決まった。

セメンヤは、2009年の世界陸上での女子800メートルで優勝して以来、性別詐称疑惑の目を向けられてきた。医学的検査の結果、性分化疾患が判明し、結果として通常の女性の3倍以上のテストステロン(男性ホルモン)を持つことが報じられた。人為的な症状ではなく、生来の症状であったため、金メダルの剥奪には及ばなかったものの、以来セメンヤは国際陸上競技連盟(IAAF)から各大会への出場自粛を求められることになった。

当然ながらセメンヤ側が反発し、IAAFとの長い話し合いの末、女性として競技に復帰が可能になったものの、2018年になって今回の事態につながるある決定がくだされた。

2018年、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、国際陸上競技連盟(IAAF)がセメンヤに対して、女子の400から1600メートルまでの中距離トラック走競技に出場するためには、投薬によってテストステロン値を下げることを義務づける規定を設けることを認めていたのだ。

ところが、セメンヤはこの規定に反対。全面廃止を訴えて、先週スイス最高裁に抗告していた。そしてスイス最高裁はこの件について“猶予期間”を設定したのである。

結果として、IAAFはスイス最高裁が最終的な判決を出すまでの間はこの規定を導入することを禁じられることになった。

先月CASの決定が公表された2日後、セメンヤはドーハで行われたダイヤモンド・リーグの800m走で優勝を果たすも、現状の状況の難しさから引退をほのめかしていた。だが、この猶予期間の発生により、しばらくの間は競技を続けることが可能になる。

セメンヤは6月3日(日本時間4日)に声明を発表し、「スイス裁判官の決定に感謝します。私の訴えが受け入れられ、もう一度自由に走れるようになることを願っています」とコメントした。

セメンヤのスイスにおける弁護人ドロシー・シュラム氏も以下のようにコメントしている。「スイス最高裁はキャスター・セメンヤに一時的ではありますが、歓迎すべき保護を与えました。この決定は、女性アスリートの人権に普遍的な影響を及ぼすであろう、重要な裁判になります」

原文:Caster Semenya cleared to compete until Swiss court ruling
翻訳:角谷剛
編集・校正:SNJ編集部

 

▶スポーツ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう


■【オリンピック特集】ファン必見!注目記事・動画まとめ

hanyu1

【動画】羽生結弦、平昌五輪FSの“王者の輝き”をもう一度

hanyu2

【動画】羽生に贈られるプーさんはその後どうなる?

uno

【動画】宇野昌磨、平昌五輪FSの感動を振り返ろう!

7人制ラグビー日本代表が東京五輪への出場権を獲得

【動画】いざ東京へ!!陸上男子日本代表、リオ五輪4×100mリレー決勝

※記事はIOC公式サイト『Olympic Channel』提供

【DAZN関連記事】
【2019年版】DAZNの最新取扱説明書はこちらへ
DAZNの料金体系|月々に支払う料金はいくら?
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
● DAZNをテレビで視聴する方法って?|大画面でスポーツ観戦を!
【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説
「※」は提携サイト『Goal』の記事です

Ben Spratt