下位指名されたのち、本領発揮し輝きを増した選手たち
現地25日から、今年もいよいよNFLドラフトが開催される。NFLに限らず、あらゆるプロスポーツのドラフトで注目を集めるのは、往々にして第1巡目か、いっても2巡目くらいまでだ。そこで埋もれていた原石が磨かれ、輝きを放ち始めるには、しばらく時間を要する。
だが原石がダイヤモンドになる時。それはまさに、4巡目、5巡目、もしくはそれ以降で“彼”を指名したチームにとって、最高の掘り出し物となるのだ。
以下に紹介するのは、2000年以降にドラフトで下位指名され、今や誰もが知るビッグネームになったか、プロ入り後に期待以上の活躍を見せた“掘り出し物”たちだ。主なポジションから1名ずつピックアップした。
※選手名横()内のチーム名は、現所属チーム。
トム・ブレイディ(QB、ニューイングランド・ペイトリオッツ、2000年)
6巡目、全体199位、QB7位(ペイトリオッツ指名)
画像:Getty Images
言わずもがなNFLきってのスタークォーターバック。このリストは彼のためにあると言っても過言ではない。彼がこんなに下位で指名されたことを記憶している人はいるだろうか? もしくは、彼より前に指名されたクォーターバックが他に6人も――チャド・ペニントン、ジョバンニ・カルマッジ、クリス・レッドマン、ティー・マーティン、マーク・バルガー、そして不屈のスパーゴン・ウィン――いたことを知っている人は?
クォーターバックでは他にも、シアトル・シーホークスのラッセル・ウィルソン(2012年)が3巡目全体75位で指名されている。
ダレン・スプロールズ(RB、フィラデルフィア・イーグルス、2005年)
4巡目、全体130位、RB15位(ロサンゼルス・チャージャーズ指名)
画像:Getty Images
身長170センチちょっとしかないスプロールズが、ランニングバック、レシーバー、そしてキック・リターナーとしてこれほど長く活躍できるとは驚きだ。さらに驚くべきは、チャージャーズとニューオーリンズ・セインツが、今やイーグルスで非常によく働く彼に見切りをつけたことだ。
ランニングバックでは他にも、ブライアン・ウェストブルック(2002年)が3巡目91位で、アルフレッド・モリス(2012年)が6巡目173位で指名されている。
アントニオ・ブラウン(WR、FA、2010)
6巡目、全体195位、WR23位(スティーラーズ指名)
画像:Getty Images
彼よりも優れたレシーバーを、何人思い浮かべることができる? 1人? もしくはゼロ? 彼の過去数シーズンの成績は、殿堂入りに直結するレベルだ。スティーラーズはこの年のドラフトで、ブラウンよりも113位前にエマニュエル・サンダースを獲得。ブラウンがいなければ、彼がこのドラフトにおける“掘り出し物”となっただろう。
ワイドレシーバーでは他にも、ジュリアン・エデルマン(2009年)が7巡目232位で指名されている。
ジョージ・キトル(TE、サンフランシスコ・49ers、2017年)
5巡目、全体146位、TE9位(49ers指名)
画像:Getty Images
アイオワ大でのキャリアをワイドレシーバーとしてスタートしたキトルは、NFL1年目にして43キャッチで515ヤード獲得、2タッチダウンと最高のシーズンを過ごした。ただし、最悪のチームで、だ。昨シーズンは1,377ヤード獲得とタイトエンドのNFL記録を達成、プロボウル選出とオールプロのセカンドチームにも名を連ねた。49ersは昨年も相変わらずうだつが上がらなかったが、クォーターバックのジミー・ガロポロのお気に入りターゲットとして相思相愛の関係を築いている。
タイトエンドでは他に、ジミー・グラハム(2010年)が3巡目95位で、ジェイソン・ウィッテン(2003年)が3巡目69位で指名されている。
ジャリッド・ベルドヒアー(OT、FA、2010年)
3巡目、全体69位、OT8位(オークランド・レイダーズ指名)
画像:Getty Images
なかなか日の目を見る機会のない、カレッジ・フットボールディビジョンIIのヒルズテール大が誇る逸材。スカウトに目をつけられて幸運なチームに巡り会うか、もしくはどこか名も知らぬチームに騙されるかの紙一重だったベルドヒアーは、低迷しているレイダーズの頼みの綱だった。アリゾナ・カーディナルスに移籍後はカンファレンスファイナルまで経験した。
オフェンシブタックルでは他に、リッキー・ワグナー(2013年)が5巡目、168位で指名されている。
ジャリー・エバンス(G、FA、2006年)
4巡目、全体108位、OL10位(セインツ指名)
画像:Getty Images
セインツに10年所属したエバンスは、第44回スーパーボウルでの優勝に貢献し、驚くべき数字を叩き出すクォーターバックのドリュー・ブリーズを守り続けた。そしてチームから放出された際は、ヒーローとして讃えられた。
ガードでは他に、クリス・ケモートゥ(2005年)が6巡目、204位で指名された。
ダン・コッペン(C、引退、2003年)
5巡目、全体164位、C5位(ペイトリオッツ指名)
画像:Getty Images
ビル・ベリチックHCとブレイディが牽引するペイトリオッツの黄金時代創成期に加入したコッペン。センターのダミアン・ウッディが負傷し、ルーキーのコッペンにその席が回ってきた。10年在籍したペイトリオッツで2つの優勝リングを獲得。ブロンコス移籍後にもスーパーボウルを経験したが、シーズン前にACLを断裂し、ベンチでチームメイトを見守る形での参加だった。
センターでは他に、ジェイソン・ケルス(2011年)が6巡目191位で指名された。
ジーノ・アトキンス(DT、シンシナティ・ベンガルズ、2010年)
4巡目、全体120位、DT12位(ベンガルズ指名)
画像:Getty Images
185センチとディフェンシブタックルにしては小柄で、スカウティング・レポートに“小さめ”という文字が並んだアトキンス。そのため4巡目での指名に意外性はなかったが、それから3年以内で彼は最高のディフェンシブタックルの一人に名を連ねることとなる。長年続いた彼に対する疑問の声は、2013年にアトキンスがACLを断裂した時にようやく止まることとなる。ベンガルズのディフェンスは、その時を境に一向によくならないのだ。
ディフェンシブタックルでは他に、ジェレミア・ラットリフ(2005年)が7巡目224位で指名されている。
エルビス・デュマービル(DE、引退、2006年)
4巡目、全体126位、DE11位(ブロンコス指名)
画像:Getty Images
カレッジで幾度となくクォーターバックをやり込めていたデュマービルを知っている人は皆、彼がドラフトで下位指名されることに困惑した。
ディフェンシブエンドでは他に、ロブ・ニンコービック(2006年)が5巡目135位で、ロバート・マチス(2003年)が5巡目138位で指名された。
アダリアス・トーマス(LB、引退、2000年)
6巡目、全体186位、LB25位(ボルチモア・レイブンズ指名)
画像:Getty Images
2000年代、レイ・ルイスやエド・リードらが牽引したレイブンズの強力なディフェンスにおいて、彼らほどは知られていなかったが、トーマスはパスラッシュ、ランの阻止、パスカバーとすべてをこなし、その万能ぶりはまさに“スイス・アーミーナイフ”だった。FAとなった後は、ほとんど完璧と言ってもいい強豪チーム、ペイトリオッツに加入した。
ラインバッカーでは他に、スコット・フジタ(2002年)が5巡目143位で、ダニー・トレバサン(2012年)が6巡目188位で指名された。
リチャード・シャーマン(CB、49ers、2011年)
5巡目、全体154位、DB34位(シーホークス指名)
画像:Getty Images
スタンフォード大でワイドレシーバーからコーナーバックにコンバートしたシャーマンは、控え目に言っても物覚えの良い選手だった。理想的な体型、スキル、そしてポジションに合った持ち前のアグレッシブさで次々とレシーバーをカバーし、パスをインターセプトして、すぐさまチームのために力を発揮した。
コーナーバックでは他に、ジョシュ・ノーマン(2012年)が5巡目143位で、アイク・テイラー(2003年)が4巡目125位で指名された。
タイラン・マシュー(S、カンザスシティ・チーフス、2013年)
3巡目、全体69位、DB17位(カーディナルス指名)
画像:Getty Images
ドラッグ関連の問題でルイジアナ州立大学のフットボールチームから退部を余儀なくされたマシューは、ドラフト指名からは程遠いところにいた。しかしカーディナルスはそんなマシューを指名。彼に対して責任を負うことを約束すると同時に、彼にも同等の心構えを要求した。そうして彼らは、マシューという典型的なディフェンシブバックを手にいれることに成功したのである。
ディフェンシブバックでは他に、カム・チャンセラー(2010年)が5巡目133位で指名された。
原文(抄訳): Biggest NFL Draft steals: Star players you never saw coming
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「※」は提携サイト『 Goal 』の記事です