二日酔いで出場、前日に失踪……スーパーボウルで起きた10の事件

Sporting News Japan Staff

二日酔いで出場、前日に失踪……スーパーボウルで起きた10の事件 image

毎年、そのシーズンの頂点を決めるスーパーボウル。NFLチームにとって、選手にとって、またファンにとってもその舞台は格別だ。

▶DAZNならスーパーボウルをタダで観られる。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

そんな大舞台だからこそ、思ってもみない出来事も起きる。今回は、50年以上に渡るスーパーボウルの歴史で起きた10の珍事件やエピソードを紹介する。

※本記事トップ画像は、第52回スーパーボウル(2018年)で優勝したフィラデルフィア・イーグルスの QBニック・フォールズ

 

【1】二日酔いで出場したヒーロー

1967年、記念すべき第1回のスーパーボウルでの出来事だ。

グリーンベイ・パッカーズは、試合開始早々、先発WR(ワイドレシーバー)のボイド・ダウラーが肩の負傷で途中退場。そこで声がかかったのがマックス・マギーだったのだが……。レギュラーシーズンでわずか4度のパスキャッチという成績だったマギーは、まさか自分に出番が回ってくるとは思わず、なんと前夜は宴に興じていたのだ。

完全に二日酔いの状態のマギーはヘルメットもロッカールームに置きっ放し。仕方なくチームメイトのヘルメットを拝借してフィールドに出ると、見事に記念すべき“スーパーボウル史上初”となるタッチダウンを決めてしまった。背後からのパスを片手でキャッチしてのタッチダウンという スーパープレー だった。

この試合でマギーはキャッチ7回で138ヤード獲得、2タッチダウンを記録。チームはカンザスシティ・チーフスに35-10で勝利した。

packers helmet

画像:Getty Images

 

【2】スーパーボウルの最中に薬物?

1979年、ダラス・カウボーイズのラインバッカー(LB)トーマス・ヘンダーソンは、大舞台にドラッグ持参で乗り込んだ。

ESPN 』によると、ヘンダーソンは点鼻薬のボトルを空にし、コカインと水を混ぜたものを注入。そして“念のために”ユニフォームのポケットに忍ばせたという。そして試合前と第3クォーターの合間に摂取した。

この試合でカウボーイズは31-35でピッツバーグ・スティーラーズに敗れた。

そしてヘンダーソンはNFLでの6年のキャリアのほとんどを薬物問題を抱えて過ごし、わずか15ヶ月の間に3チームを放浪した。

cowboys thomas henderson

画像:56番がヘンダーソン(Getty Images)

 

【3】ロッカールームでくつろぐ謎の男

その年のスーパーボウルではもうひとつ怪事件が発生していた。スティーラーズのロッカールームに、ファンが侵入していたのだ。

すべてを目撃していた『 ロサンゼルス・タイムズ 』の記者、サム・ファーマーは以下のように語っていた。

「僕は長いことスティーラーズを追いかけていたので、その男がスタッフではないことはすぐにわかりました。こいつは一体誰なんだ? 彼が選手ではないことも明らかでした。僕はロッカーの前にいた(ディフェンシブタックルの)ジョー・グリーンと話をしていたのですが、その間、その男がシャワー室から出てきて、近くのロッカーで着替え始めたんです。僕はジョーに“彼は誰?”と聞きました。そしてジョーはこう言ったんです。“分からない。あいつは……誰だ?”」

結局この男の正体は謎に包まれたままだったが、“顔が青白くて禿げた男”だったという。

steelers helmet

画像:Getty Images

 

【4】選手がスーパーボウル前夜に逮捕

1999年、第33回スーパーボウルの前夜、アトランタ・ファルコンズのS(セイフティ)ユージン・ロビンソンがマイアミで逮捕された。売春婦になりすました覆面警察官にまんまと引っかかってしまったのだ。その日、彼はフィールド外で目覚ましい活躍をした選手に贈られるバート・スター賞を受賞したばかりだった。

ロビンソンはかろうじて翌日のスーパーボウルに出場することができたものの、デンバー・ブロンコスのWRロッド・スミスに80ヤードのタッチダウンを許してしまった。前夜はよく眠れなかったという。

19-34でブロンコスに敗れたファルコンズの選手たちは、ロビンソンの逮捕に動揺を隠せなかったようで、『 ニューヨーク・タイムズ 』に以下のように語っている。

「気持ちの面で、ブロンコス戦への準備ができていなかった。僕らは皆ユージンのことを話していたんだ。ブロンコスにやられて、皆表向きはユージンのことは(負けたことには)関係ないって言っていたけど、あれはうそだったね」

insert 1 Eugene Robinson

画像:ユージン・ロビンソン(Getty Images)

 

【5】失踪した選手、その理由は……?

2003年、第37回スーパーボウルの前日に、オークランド・レイダーズの先発センター、バレット・ロビンスが失踪した。

ロビンスはスーパーボウル本番の2日前にホテルに到着したが、翌日のチームミーティングには現れなかった。その日の20時頃、ホテルに戻ってきたロビンスがしどろもどろな状態だったため、ビル・キャラハンHCはロビンスをロースターから外すことを決意、妻と二人の娘と過ごすよう言いつけた。

大学時代にうつ病を患っており、かねてより精神面の問題と戦っていたというロビンスは、後にこの失踪の理由を『 HBOスポーツ 』に語った。チームがすでに勝ったと思い、それを祝福するためメキシコにいたという。

レイダースはタンパベイ・バッカニアーズに21-4で大敗を喫した。

insert 2 Barret Robbins

画像:バレット・ロビンス(Getty Images)

 

【6】カメラが回っていない時のレーガン大統領

スーパーボウルでコイントスを行った初めての大統領はロナルド・レーガンだが、1985年のその記念すべきコイントスは、試合会場ではなく衛星中継で行われた。

スーパーボウルが開催されるその日は、レーガンの大統領就任式と重なっていたのである。

レーガンは就任式を終えるとすぐさまホワイトハウスに戻り、コイントス中継の準備を始めた。本番が始まる10分前からカメラが回っていたのだが、その放送電波をパラボナアンテナを介して傍受していた人がいたという。つまり、表向きではない素のレーガン大統領の様子を垣間見ることができたのだ。

作家のポール・スランスキーはその様子を著書『The Clothes Have No Emperor』にこう記している。

「・コイントスを3回練習していた。“表です”“裏です”……彼はすべての可能性を想定して準備していた。

・ある著名な友人との会話を暴露した。“フランク・シナトラが勧めてくれたんだけどね。コインをトスするよりもっといい方法があるよって。僕が(ホワイトハウスから)ボールを投げるんだ。そしたら(画面上に)地図が出てきて、その上をボールが飛んで行く(アニメーションが)映し出されるんだ。そして試合会場で誰かがそのボールをキャッチする。まるでボールがアメリカを横断したように見せるんだ。どう思う?”

・カメラが回っていないときの彼は、微動だにせず、ほとんどしぼんでしまったみたいに、そこに存在していないようにさえ見えた」

Reagan throws foot ball

画像:フットボールを投げるレーガン元大統領(Getty Images)

 

【7】ヘルメットがない!

のちにプロフットボール殿堂入りを果たすバッファロー・ビルズのスターRB(ランニングバック)サーマン・トーマスは、1991年シーズン、2038スクリメージヤードを獲得するなどチームのスーパーボウル進出に大きく貢献した。

ところがスーパーボウル当日、試合が始まっても、そのトーマスの姿が見えない。それもそのはず、彼はサイドラインで自分のヘルメットを探していたのだ。

出端をくじかれたトーマスはこの日、10キャリーでわずか13ヤード獲得と絶不調。ビルズはワシントン・レッドスキンズに24-37で敗北した。

当時、この“ヘルメット紛失事件”の真相として語られていたのは、トーマスは普段、慣習として必ず34ヤードラインのあたりにヘルメットを置くが、この日は国歌斉唱を行うアーティストのために別のところへ移動されていたというもの。

ところが“事件”から約20年が経ち、当時用具担当だった男性の話から 別の説 が浮上した。チームメイトの誰かが自分のものだと勘違いして持っていき、間違いに気づいてそのままそこに置いてしまったのではないかという。

「正直、もうどっちでも良いじゃん」という言葉は飲み込もう。この事件はビルズ史上最悪の事件の一つとも言われているのだ。

この敗戦を踏み台にしてか、チームは翌年も、さらにそのまた次の年もスーパーボウルに進出した。

そしてすべて負けた。

insert 3 Thurman Thomas

画像:サーマン・トーマス(Getty Images)

 

【8】無情! スーパーボウル前日にクビ

2012年、ニューイングランド・ペイトリオッツのビル・ベリチックHCは、第46回スーパーボウルの前日にWRのティクアン・アンダーウッドを解雇した。アンダーウッドは2011年にわずか3レセプションとぱっとしないシーズンを送っていたが、このことで一躍時の人となった。

アンダーウッドのかわりに登用されたのが、アレックス・シルベストロ。彼はプラクティス・スクワッドから一気にロースター入りを果たしたが、出番はほとんどなかった。そしてNFLでの全キャリアを通して、わずか1試合しか出場しなかったという。

insert 4 Bill Belichick

画像:2012年のビル・ベリチックHC(Getty Images)

 

【9】陰謀論も飛び出したブラックアウト

2013年、第47回スーパーボウルの第3クォーター開始数分で、会場であるメルセデスベンツ・スーパードームの照明が落ちた。それまで28-6とボルティモア・レイブンズが独走状態だったが、34分の中断の後、サンフランシスコ・49ersが勢いを取りもどし、一気に17得点を決めた。

原因は電気系統の問題だったようだが、停電後の劇的展開から、試合に活気を与えるため意図的に指示されたのでは、など多くの憶測を呼んだ。

最終的に34-31でレイブンズが勝利した。

insert 5 black out

画像:Getty Images

 

【10】19歳が解決に導いた、トム・ブレイディのユニフォーム盗難事件

2017年、メキシコ人記者が、スーパーボウルでトム・ブレイディのユニフォームを盗んだ。犯人逮捕のきっかけとなったのは、ある19歳の機転の効いた行動だった。

ディラン・ワグナーは、スーパーボウルの数ヶ月前、この記者と連絡を取り合っていた。オークションサイトで、記念品の売り買いをしていたのだ。その一環で互いのコレクションを見せ合うことになったのだが、ディランは記者が送ってきた写真の中に、過去のブレイディのスーパーボウルユニフォームがあることに気がついた。それをどうやって手に入れたのかと問うと、「いずれ教えるよ」と言われたという。

そしてその数ヶ月後、ディランはブレイディのスーパーボウルユニフォームが盗まれたというニュースを見た。ピンときたディランは、ボストンATFの捜査官である友人に相談。捜査官がFBIに例の写真を転送し、犯人特定へと結びついた。

記者が盗みを働いたのはこれが最初ではないことが明らかになったが、罪には問われなかった。

ブレイディが告発しなかったのである。

insert 6 brady

画像:トム・ブレイディ(Getty Images)

 

【おまけ】大学チームにストレート負けするNFLチャンピオン

1934-76年、『シカゴ・トリビューン』紙は、そのシーズンのNFLチャンピオンとフットボール強豪大学から集めた4年生たちとを対戦させるチャリティーゲームを主催していた。

NFLの戦績は31勝9敗2分。引き分けのうち1試合は、なんと0-0だった。そしてNFLが11の試合でシャットアウト勝ちしたのに対し、大学オールスターも3試合でシャットアウト勝ちしたという。

コストの都合上、この慣習は1976年を最後に打ち切られることとなった。


【DAZN関連記事】
【必読】DAZN(ダゾーン)の"トリセツ" 最新・2018年版!
ネットでプロ野球中継を視聴する方法を紹介
DAZNでのプロ野球の放送予定や試合スケジュール
DAZNでF1放送を視聴する方法は?
【最新・2018年版】F1の放送予定・レース日程まとめ
ネットでMLB中継を視聴する方法を紹介
MLBの試合日程・放送予定|テレビでの視聴も可能?/2018シーズン

Sporting News Japan Staff

Sporting News Japan Staff Photo

日本を拠点に国内外の様々なスポーツの最新ニュースや役に立つ情報を発信しているスポーティングニュース日本版のスタッフアカウント。本家であるスポーティングニュース米国版の姉妹版のひとつとして2017年8月に創刊された日本版の編集部員が取材・執筆しています。