【ジョシュア対ポベトキン】王者は「内なる戦い」にも臨む

Dom Farrell

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世界タイトルの懸かった試合がある週の多くは、見た目以上のことが裏に潜んでいる。

挑戦者であるアレクサンデル・ポベトキンは39歳。試合に勝利したらパラシュートをつけて空から飛び降りてお祝いするようなアドレナリンジャンキーだ。

一方、彼よりも11歳若い統一王者は、人生の意味に悩んでいるのだ。

「自分はいったい何のための生きているんだろうと思うような段階にいる」とIBF、WBA、WBO王者であるアンソニー・ジョシュアは記者たちに語った。

「何をしている? 誰の気を惹こうとしている? そんな状態でジムにいる。中年の危機に直面し、もうどうでもよくなってしまうんだ。そういうやつだよ」(ジョシュア)

「そして若い頃のことを思い出すんだ。世界のヘビー級王者になりたい。そしてなれば人生が変わると思っていたが、そうではないことに気づいたんだ」

「この小さい部屋に座りながら、今の家でも十分問題ないなと感じ、『もうどうでも良いや』という壁に当たってしまった」

「これが自分の人生であり、それを受け入れるしかない。だから髪も切っていないんだろうな、切る意味がないから」。

髪型問題は別として、ジョシュワの身体はしっかりと仕上がっている状態を維持している。対戦相手も同じく元オリンピック王者であり、35戦で1敗しかしていない。

ポベトキンの唯一の敗戦はウラジミール・クリチコ相手で、クリチコは17か月前にウェンブリーでジョシュワにあわや勝利という内容のファイトをしたことで有名だ。その夜、英国出身のジョシュワはスーパースターになったのだ。試合中の危機を脱し、11ラウンドに見せたアッパーカットで偉大なるウクライナ人ファイターをキャンバスに沈めた。

スタジアムで派手が派手なショーとなるのはもはやジョシュアにとって当たり前なこととなっている。カーディフで8万人の観衆の前でカルロス・タカムとジョセフ・パーカーを倒し、彼はイギリスの国立スタジアムに帰ってくる。

パーカーを倒しWBOのベルトを手に入れたとき、我々はジョシュアの新たな一面を目撃することとなった。ジョシュアは上達したフットワークを使い距離をコントロールし、パーカーのスピードを殺したのだ。

全員一致の判定勝ちが発表される頃には、観衆が次に求めることはすでに決まっていた。WBC王者でビッグマウスのデオンテイ・ワイルダーと全てのベルトをかけて戦って欲しいということだ。

しかしジョシュア陣営とワイルダー陣営による交渉は難航し、お互い苛立ちを隠せないものとなった。そこでタイソン・フューリーの登場だ。

無敗の元チャンピオンとワイルダーは今年の終わりに対戦する日程を発表する準備ができており、慣習が求めているものは得られなそうだ。そしてジョシュアは自分より小さく年齢も上で、ドーピング処分明けの選手と対戦しようとしているのだ。

フューリーの2度の復帰戦はどちらも惨めな内容で、失うものがなくなっただけにワイルダーにとっては交渉のしやすい相手だったのだ。しかし両者はPR合戦を繰り広げており、ジョシュアの今週末の試合に影を落とすこととなりそうだ。

これは、ジョシュアが思いつめており、あの1000ワットの笑顔があまり見られていない理由のひとつなのかもしれない。それでもジョシュアはこのスポーツを熟知しており、十分にまだ強敵であり技術も高い相手にどうすれば勝てるのかを理解しているはずだ。

ポベトキンは9月20日(日本時間21日)に行なわれた試合前記者会見でジョシュアに「壁は狭まっている」と注意喚起し、頭部やボディへのフックとアッパーでジョシュアを追いかけ回し、窒息させると話している。

ジョシュアのコーチであるロバート・マクラッケンは力強いジャブでポベトキンのリズムを崩し、リングの中央を支配することでロシア人のファイターを倒したいと考えている。昨年のクリチコ戦で見せたウェンブリーの火花はわざわざ着火する必要はない。絶対的な存在になるための戦いが残っているなかで、そのリスクを背負う意味がないのだ。

自身のレガシーがどういうものか熟知しているジョシュアも、そのことを理解している。しかし自分の髪を切ることよりも激しい戦いを好んでいたあの戦士はどこにいるのだろうか? 今週末の試合はチャンピオンにとって、逆コーナーにいる朝鮮相手だけでなく、自分自身との戦いにもなりそうだ。

原文:Joshua vs. Povetkin: No need for fireworks on AJ's Wembley return
翻訳:Reo Onishi


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Dom Farrell

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Dom is the senior content producer for Sporting News UK. He previously worked as fan brands editor for Manchester City at Reach Plc. Prior to that, he built more than a decade of experience in the sports journalism industry, primarily for the Stats Perform and Press Association news agencies. Dom has covered major football events on location, including the entirety of Euro 2016 and the 2018 World Cup in Paris and St Petersburg respectively, along with numerous high-profile Premier League, Champions League and England international matches. Cricket and boxing are his other major sporting passions and he has covered the likes of Anthony Joshua, Tyson Fury, Wladimir Klitschko, Gennadiy Golovkin and Vasyl Lomachenko live from ringside.