150キロを投げた高校球児たちの今。プロで通用するかどうかの分かれ目は?【3点解説】

Satoshi Katsuta

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第100回全国高校野球選手権大会で、150キロ超のストレートを投げた投手は4人。柿木蓮(大阪桐蔭・3年)が151キロ、吉田輝星(金足農・3年)、奥川恭伸(星稜・2年)と井上広輝(日大三・2年)3人が150キロだ。彼らは将来のドラフト会議で注目を集める存在となることは間違いない。さて、過去の甲子園において150キロ超を記録した選手たちは、どのように成長したのだろうか。ここで振り返ってみたい。

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★ポイント1:150キロ超はプロへの片道切符?

松坂大輔(当時横浜高)の登場した1998年以降で2017年までに夏の甲子園で150キロ超を記録した選手は、新垣渚(沖縄水産高→九州共立大→ダイエー)をのぞき、全員が高卒でプロ入りをはたしている。唯一大卒でプロ入りした新垣も、高校生の頃にドラフト1位で指名されたうえでの大学進学だった。高校時代に甲子園という大舞台で150キロを投げることは、スカウトにとっても大きな魅力なのだろう。

もちろんそれだけではプロでの活躍はできないが、近年は、高校時代に150キロを計測することが上位指名のカギになっている。

【夏の甲子園・球速ランキング】

  球速 投手名 高校名 年度
  155キロ 佐藤由規 仙台育英 2007
  155キロ 安樂智大 済美 2013
  154キロ 寺原隼人 日南学園 2001
  154キロ 菊池雄星 花巻東 2009
  154キロ 今宮健太 明豊 2009
  153キロ 北方悠誠 唐津商 2011
  153キロ 釜田佳直 金沢 2011
  152キロ 辻内崇伸 大阪桐蔭 2005
  152キロ 藤浪晋太郎 大阪桐蔭 2012
  152キロ 今井達也 作新学院 2016
  152キロ 高田萌生 創志学園 2016
  151キロ 松坂大輔 横浜 1998
  151キロ 新垣渚 沖縄水産 1998
  151キロ 小笠原慎之介 東海大相模 2015
  150キロ 田中将大 駒大苫小牧 2005
  150キロ 大嶺祐太 八重山商工 2006
  150キロ 岩嵜翔 市船橋 2007
  150キロ 秋山拓巳 西条 2009
  150キロ 大谷翔平 花巻東 2011
  150キロ 清水達也 花咲徳栄 2017

※2017年終了時点
※初計測時

★ポイント2:甲子園最速155キロのふたりはケガで苦しむ

1998年以降、夏の甲子園で最高球速は、佐藤由規(仙台育英/2007年)、安樂智大(済美/2013年)の155キロだ。プロでも指折りの投手しか出せない驚異的な球速を、彼らは高校3年生の夏に記録しているのだ。

ともに甲子園を制することはできなかったものの、その年のドラフト1位指名を経てプロ入り。由規は東京ヤクルトスワローズ、安樂は東北楽天ゴールデンイーグルスへと入団している。

由規は入団3年目に12勝(9敗)をマークしたもののその後は肩の故障で低迷してしまう。2016年に復帰したものの、思うような成績を残すことができていない。また安樂も故障による離脱がつづき、一軍での結果を残すには至っておらず。今後の巻き返しに注目が集まる。

★3:メジャーリーガーがいる一方で一軍未登板も……

最速のふたりは思うように結果を残せていないが、その他の投手はどうだろうか。

現時点では松坂大輔(中日)、田中将大(ヤンキース)、大谷翔平(エンゼルス)と3人がメジャーリーガーとなっている。また今オフには菊池雄星(西武)もポスティング制度を用いての移籍が濃厚と、日本球界だけでなくメジャーリーグにも通用する選手が数多くいるのは間違いない。

一方でプロ入り後は結果を残すことがなかった選手もいる。辻内崇伸(元巨人)、北方悠誠(元ソフトバンク)のふたりは、一軍での登板機会を得ることができないままNPBを去った。このふたりに共通しているのは制球難だったことだ。高校野球はストライクゾーンが広いが、プロの世界では正確な投球を求められる。なお、北方は今シーズンBCリーグの信濃グランセローズでプレーしているが、ここまでに28.2回を投げ40四球とコントロールの問題をいまだに克服できていない。

高校時代の球速はポテンシャルを測るひとつの要素ではある。しかし、それが絶対ではない。今年、甲子園で150キロを超えるストレートを投げ込んだ球児たちは、どのような野球人生を送るのだろうか。これからの未来にも注目したい。

※数字は2018年8月17日終了時点


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Satoshi Katsuta

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かつた・さとし/東京都出身。複数の業界で営業、経営管理を行ったのち2015年に独立。同年よりNPB、MLBなの記事作成、2022年からメディアのSNS運用など野球関連の業務を行っている。