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ヤクルト首脳陣が最も期待する若手左腕
今季ヤクルトは2位でシーズンを終え、球団ワースト記録の96敗を喫した昨季から大きく立ち直った。終盤の大混戦を抜け出せたのは、昨シーズンの悔しい思いがバネになったからかもしれない。
そんな思いを背に、2位を確定させる大切な試合に先発したのが高卒3年目の高橋奎二だった。10月2日のDeNA戦でプロ3試合目の登板を果たした高橋は、5回1失点・8奪三振の好投でプロ初勝利をマーク。チームの2位フィニッシュを決める大仕事をやってのけた。
この重要な試合の先発を任されたことや、実現はしなかったものの、クライマックスシリーズファーストステージ第3戦に先発する予定だったことからも、首脳陣が高橋にかける期待の大きさがうかがいしれる。
とくに、クライマックスシリーズにおいては、小川監督の頭の中に「高橋で勝ち抜く」という確固たる思いがあったはずだ。
自身のアイデンティティを捨てる決断――。フォーム改造が大きな転機に
高橋は2015年ドラフト3位で龍谷大平安高からヤクルトに入団。足を高く上げる投球フォームはMLBのレジェンド、ノーラン・ライアンを彷彿とさせ、「左のライアン」や「古都のライアン」として注目を集めていた。
奇しくもヤクルトには同じくノーラン・ライアンを参考にしていた小川泰弘も在籍しており、左右のライアンの先発ローテーションを夢見ていたファンも多いはず。しかし、その願いは叶わなかった。
2年目のシーズンが終わった昨年11月。高橋は入団以来悩まされ続けた度重なる故障を克服するため、腰に負担がかかる要因となっていたライアンフォームからの脱却を決めた。自身のアイデンティティでもある特徴的なフォームを捨てることは簡単な決断ではなかった。
その決意は成果として現れる。フォームの改造が功を奏し、今シーズンは初めて二軍でシーズンを通して先発のマウンドに立つことができた。どれだけ凄い球を投げても、故障しては意味がない。一軍で戦力となるためには、故障しない身体が何よりも大切となる。高橋はその第一歩を踏み出したと言ってもいいだろう。
一軍定着・そして先発ローテーション入りを目指す
来シーズンは開幕からローテーション入りを果たすことがひとつの目標となる。小川泰弘、原樹理、ブキャナンの3人は来季のローテーション入りが濃厚で、残りの3枠をベテランの石川雅規、大卒3年目の星知弥、アンダースローの山中浩史、ドラフト1位ルーキーの清水昇(国学院大)、秋季キャンプで先発としてのテスト登板する中尾輝らと争うことになりそうだ。
今シーズン最終盤に期待を抱かせる投球を見せたことはたしかだが、一軍でシーズンを通して戦ったことはない。投げる機会が多くなればなるほど、相手球団からのマークや対策は厳しくなる。また、体力の消耗していく中、コンディションをどう調整するかも課題のひとつだ。来季は相手のマークをかいくぐり、故障せず、年間を通じて安定したパフォーマンスを残すことが求められる。
自身のアイデンティティを捨ててでも、選手としての成長を選んだ高橋。こうした課題を乗り越え、さらなる進化を遂げられるか注目だ。
【今シーズン成績】
高橋奎二(ヤクルト)
3試合/1勝1敗/15回/20奪三振/防御率3.00
※数字は2018年シーズン終了時点
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