史上最年少で100セーブを達成した松井裕樹のこれまで【3点解説】

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松井裕樹が、"甲子園のスター"として鳴り物入りで東北楽天ゴールデンイーグルスに入団してから5年が経った。昨シーズンまでは順調なキャリアを送り、いまやチームの顔とも呼べる存在にもなった松井だが、今季は一転して困難に直面している。

★ポイント1:順風満帆だった昨シーズンまで

松井裕樹がその名を全国へ轟かせたのは、2012年の夏の甲子園だった。

2年生にして桐光学園高のエースだった松井は、今治西高戦で大会史上最多の1試合22奪三振をマークする。150キロ近い速さのストレートと大きく曲がるスライダーを武器に、ドラフト1年前にも関わらず、大きな注目を集めていた。

翌年のドラフト会議では、5球団が松井に入札。抽選の末に東北楽天ゴールデンイーグルスが交渉権を獲得し、現在に至っている。

1年目から主に先発で起用された松井は4勝(8敗)を挙げ、高卒1年目としてはまずまずのスタートを切った。転機がやってきたのは2年目(2015年)。故障で離脱したキャム・ミコライオの穴を埋める形でクローザーに転向すると、松井はいきなり33セーブを挙げる。翌2016年も30セーブを記録し、リーグを代表する抑え選手へと成長した。その活躍から、第4回ワールド・ベースボール・クラシックの日本代表にも選出された。

開幕前にWBCが開催された昨シーズンは、例年より早めの調整によって多くの代表選手が苦しいシーズンを送った中、松井は33セーブをマークする活躍を見せ、チームを3位に導いた。まさに球界を代表する選手として、キャリアを順調に歩んできた。

★ポイント2:制球に苦しんだ今シーズン

松井は昨シーズンまでに96個のセーブを積み上げ、節目の100セーブも早ければ4月上旬に到達すると思われていた。

しかし、今季はこれまで通りにはいかなかった。松井は初登板となった開幕戦で救援失敗し、出鼻をくじかれる。4月10日に初セーブをマークしたが、その後3試合連続で失点を喫した。4月19日にようやく2セーブ目をマークするが、この試合でも失点してしまった。

その原因は制球面にあった。6月までの松井のK/9(奪三振率)は11.57と前年の10.59を1ポイント以上も上回っていたが、BB/9(与四球率)は6.17と前年の4.44から大幅に悪化。コントロールが原因で思うように結果を残せなかったのである。

その後、中継ぎへの配置間転換や二軍での調整を経て、8月は12試合で防御率1.72を記録し、ようやく本来の調子を取り戻すことができた。

松井は9月に入ってからも調子を落とさず、ここまで6試合の登板で失点はわずかに「1」と安定感抜群だ。月間のBB/9も8月は2.30、9月は1.29と本来のピッチングが戻ってきた。また、9月16日には待望のプロ入り通算100セーブを達成した。史上最年少(22歳10カ月)の100セーブ達成者として、球史にその名を刻んでいる。

★ポイント3:来シーズン以降の起用法は?

今シーズンは梨田昌孝監督が6月中旬に辞任し、平石洋介監督代行が暫定的に後を引き継いでいる。そのため、来シーズン以降松井がどのように起用されるかは現段階ではわからない。仮に抑えを続けていくのであれば、岩瀬仁紀が持つ通算408セーブの大記録の更新に期待がかかるが、先発としての松井を見たいという声があるのも事実だ。

楽天は9月1日に石井一久氏がGMに就任。来シーズンは監督を含め、体制がガラッと変わる可能性もある。しかし、松井がどう起用されるにせよ、今シーズンの困難を乗り越えたことは、その後の野球人生で大きな武器となるはずだ。来シーズンも松井裕樹の活躍に期待したい。

【松井裕樹・通算成績】

251試合/15勝24敗101S41H/359回/436奪三振/188与四球/防御率2.76


※数字は2018年9月19日終了時点


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