「便利屋」からリーグ屈指の守護神へ。燕復活の立役者・石山泰稚

Satoshi Katsuta

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2017年、東京ヤクルトスワローズは球団ワースト記録となる96敗を喫し、借金は実に「51」にまで積み重なった。

屈辱的なシーズンを乗り越えるべく、首脳陣を大きく入れ替え。新体制のもと、山田哲人や小川泰弘ら、選手たちが投打で結果を残し、今シーズンは貯金「9」の2位と大きな躍進を遂げた。

そして、その中でも特に重要な働きを果たしたのが、守護神を務めた石山泰稚だった。

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シーズン途中からのクローザー抜擢ながら、リーグ2位のセーブ数

シーズン序盤、ヤクルトのクローザーを担ったのは新戦力のマット・カラシティーだった。ところが、そのカラシティーはなかなか期待に応えるピッチングを見せられない。そこで、4月終盤に石山が守護神に選ばれる。150キロに迫る糸を引くような速球に、鋭く落ちるフォークボール、そして不要な四球を出さない制球力を買われての抜擢だった。

配置転換後も石山は持ち味を発揮し、セーブを積み上げていく。とくに、セ・パ交流戦では10試合で無失点を記録。7セーブを挙げ、優秀選手賞を受賞した。

シーズン途中からのクローザー抜擢だったにもかかわらず、最終的に積み重ねたセーブ数は35。これは横浜DeNAベイスターズの山﨑康晃の37セーブに次ぐリーグ2位の成績だ。

1年目にも抑えとして起用されたことはあったが、実質的に初めてとなる役割でこれだけの結果を残したのは誇っていいだろう。

<今シーズン成績>

  選手名 試合数 S H 投球回 奪三振 与四球 防御率
  石山泰稚 71 3 2 35 7 73.2 62 15 2.08


目立たない「オールラウンダー」だった

そんな目覚ましい活躍を見せた石山だが、これまではあまり目立った存在ではなかった。

2012年にヤマハからプロ入り。ドラフト1位指名ながら派手な印象はなく、どちらかというと初年度からエース級の働きをしたドラフト2位の小川泰弘に注目が集まっていた。もしかすると、先発の柱として活躍する小川と対照的に、毎年のように役割が変わっていたこともその要因かもしれない。

初年度は中継ぎを務め、2年目半ばに先発に転向する。優勝を果たした2015年も先発としての起用が多く、5勝5敗をマークした。

ちなみに、優勝決定の瞬間は、次戦の先発として前乗りしていた広島で迎えた。そのため、グラウンドで行われたビールかけには参加していない。試合後の歓喜の輪に加わることの多いクローザーを務める現在と比べれば、まさに正反対の役割だったことがよくわかる。

その後、2016年に負った右肘の故障を乗り越え、昨シーズンは中継ぎとして66試合に登板し、見事に復活を果たした。そして、今シーズンは守護神としてチームに大きく貢献。今季だけで見れば小川よりも露出は大きく、飛躍的に知名度が上がったはずだ。

 

来シーズンこそは歓喜の中心に

今季はキャリアハイの71試合登板と、フル回転の影響は来シーズンへの懸念点でもある。また、11月に開催される日米野球の日本代表にも選出され、休むことなく来季のユニフォームに袖を通すことになる。

「初めての日本代表で緊張感はある。ヤクルトの一員として恥じないプレーをしたい」と自身のことだけでなく、球団にも気を遣うコメントを残すのがいかにも石山らしい。

石山は来シーズンも引き続き守護神として起用されることが濃厚だが、近年のヤクルトはクローザーに外国人選手を据えるケースが多いため、新外国人選手の補強状況によっては、セットアッパーなどその他の役割に回る可能性もある。

しかし、どんな役割になったとしても、顔色ひとつ変えず『夢色傘』のメロディーに乗ってマウンドへ向かって行く姿は、今シーズンときっと変わらないはずだ。

それでも、願わくば1年後。リーグ優勝を決めるその瞬間には、前回参加できなかった歓喜の中心に石山がいることを多くのファンは願っている。そのとき、どのような表情を見せてくれるのだろうか。気が早いのはたしかだが、今から楽しみだ。

※数字は2018年シーズン終了時点

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Satoshi Katsuta

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かつた・さとし/東京都出身。複数の業界で営業、経営管理を行ったのち2015年に独立。同年よりNPB、MLBなの記事作成、2022年からメディアのSNS運用など野球関連の業務を行っている。