5度目のオリンピック出場を果たしたパウ・ガソル、復帰の裏にあったコービー・ブライアントの存在

大西玲央 Reo Onishi

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7月26日、スペイン代表が日本代表に88-77で勝利した東京オリンピック男子バスケットボール競技の試合で、パウ・ガソルが5度目のオリンピック出場を果たした。

左足のケガで長期離脱を強いられていたガソルだったが、見事に復帰を果たし、再びオリンピックの舞台に立ったのだ。

日本との試合後、ガソルは「私はこのゲームを愛している。プレイしている状態でキャリアを終えたかったんだ」と復帰について語った。

「これまで信じられないほど素晴らしいキャリアを送ることができただけに、ケガで終わりたくなかった。乗り越えるのはとても厳しいケガだった。それでも代表のためにオリンピックで再びプレイできる可能性を信じて、全力でリハビリに取り組んだんだ。その努力の甲斐、リスクの甲斐はあったと感じている」。

同じくスペイン代表で東京オリンピックに出場している弟のマルク・ガソル(ロサンゼルス・レイカーズ)も、兄の活躍を「とても嬉しいよ」と喜んでいる。

「彼のことが誇らしい。やる必要なんてなかったわけだからね。彼はすでにプロアスリートとして、達成すべきことは全て達成している。あらゆるレベルでロールモデルなんだ。人間としてもアスリートとしても」。

現在41歳のガソルは、2004年のアテネ大会でオリンピックデビューを果たした。その後も2008年の北京大会で銀メダル、2012年のロンドン大会で銀メダル、2016年のリオデジャネイロ大会で銅メダルと、長い間スペイン代表を支えてきた中心選手だ。

代表選手としてだけでなく、プロ選手としても1998年にリーガACB(スペイン)のFCバルセロナでデビューを果たしてから、2001年にNBA入りし、2019年までプレイを続けたレジェンドだ。NBAではロサンゼルス・レイカーズ時代に、コービー・ブライアントとともに2連覇(2009、2010年)を達成している。

しかし2019年3月、ミルウォーキー・バックスでプレイしていたガソルは、左足の疲労骨折で離脱が決まった。最終的に手術を受けることとなり、2年弱もの間リハビリに取り組むこととなった。

2021年2月23日、古巣のFCバルセロナと契約したことが発表され、2020-21シーズンはリーグ戦で16試合に出場し、平均10.4得点、5.0リバウンドの活躍。リーグ制覇に貢献し、見事な復帰を果たした。

ガソルはこの苦しいリハビリの裏で、2020年にヘリコプター事故で亡くなったコービー・ブライアントの存在が間接的に自分のモチベーションに繋がったと、『USA Today』のマーク・メディナ記者に語っている。

「いつも彼のことを考えながら『コービーならもっと自分を追い込んでいる。コービーならこのワークアウトで手を抜こうとか、辞めようなんて思わない』と自分に言い聞かせていたんだ。彼はずっと自分の中で大きな存在だ。これからも自分の人生におけるインスピレーションとなり続ける」。

日本戦にベンチから13分33秒出場したガソルは、フィールドゴール5本中4本成功の9得点、4リバウンド、1アシスト、2ブロックという活躍を見せた。ベテランとしてチームを鼓舞するためだけのロスター入りではなく、純粋な戦力として、最後までプレイしている姿を見せ続ける。


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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。