東京五輪:柔道重量級で男女金メダル! 78kg級の濵田尚里、100kg級のウルフ・アロンが優勝

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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今日も日本柔道が強さを見せた。女子78キロ級の濵田尚里がオール1本勝ちで制し、男子100キロ級のウルフ・アロンが5大会ぶりの同級金メダルを勝ち取った。重量級は近年、国際化が進み、日本勢が金メダルに届かない中、地元開催の東京オリンピックでその歴史を塗り替えてみせた。


寝技でオール1本!濵田尚里が金メダル

遅咲きの"寝技の女王"濵田尚里が圧巻のオール1本優勝で頂点に立った。柔道をベースとしながら関節技・寝技に特出したロシアの格闘技サンボを学び、寝技に強みを持つ濱田は、初戦となったベアタ・パチュト(ポーランド)に、隅落から横四方固の合わせで1本勝ち。準々決勝のアレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア・オリンピック委員会)戦では、お互い指導を2回ずつ受けた状況で、巴投げから送襟絞で1本勝ちを決める。寝技対策に対して、担ぎ技や足技から寝技を狙う作戦が功を奏した。

準決勝は2021年世界選手権王者のアナ・マリア・ワーグナー(ドイツ)という強豪相手だったが、1分23秒、腕挫十字固で1本を奪い、決勝へ。決勝は直近で負けている、2019年世界選手権王者マドレーヌ・マロンガ(フランス)を迎えた。だが、マロンガの先制の足技で倒れ込みながらも、すかさず寝技に移行。崩上四方固に持ち込み、そのまま1本勝ち。

試合後のインタビューでは、次第に緊張の糸が切れたのか、涙ながらに「対策して得意の寝技を出せて良かった。絶対に金メダルを取りたいと思ってやってきた」と話した。女子78キロ級の日本勢の金メダルは、2004年アテネ五輪の阿武(現・園田)教子さん以来、4大会ぶり。


史上8人目の3冠王を達成したウルフ・アロン

日本が21年間頂点に届かなかった男子100キロ級でもウルフ・アロンが結果を出した。

五輪初出場のウルフは初戦のムハマトカリム・フラモフ(ウズベキスタン)を浮技で1本で下すと、準々決勝ではペテル・パルチク(イスラエル)に大内刈で優勢勝ち。準決勝で世界ランク1位第1シードの強豪バルラム・リパルテリアニ(ジョージア)にも大内刈で技ありを奪い勝利した。決勝は2018年世界選手権王者のチョ・グハムとなったが、延長戦の末、大内刈で1本勝ち。

ウルフは2017年世界選手権、2019年全日本選手権を制しており、五輪金メダル獲得で史上8人目の「柔道3冠」を達成した。2019年12月に右膝半月板損傷し、直前まで調整に苦しんだが、それをはねのけて優勝した。

男子100キロ級においては、日本男子代表の井上康生監督の2000年シドニー五輪以来の金メダル。「僕自身が取り戻してやろうという気持ちで戦った」という胸の内を明かした。決勝での延長戦ついても「自分の持ち味はああいう泥臭い柔道。自分を信じて闘った」と語った。ウルフの米国人の父と日本人の母の間に生まれた。出身は東京都葛飾区。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。