東京五輪:メダル史上最多58個獲得で報奨金も史上最高4億円超えへ…卓球・石川佳純には所属先から米6トンの報奨品も

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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17日間に及んだ東京オリンピックが8月8日に閉幕し、日本勢は過去最多の58個のメダルを獲得。同時に日本オリンピック委員会からのメダリストに対する報奨金も史上最高の4億円を超えることになった。ここに加えて、競技団体、所属企業・スポンサーからの報奨金や報奨品・贈呈品がある。一例をみていこう。
 

報奨金は史上最高4億4000万超え…競技団体からの報奨金は増額の可能性も

まず、日本オリンピック委員会(JOC)からのメダリストへの報奨金は、ひとり当たりで金500万円、銀200万円、銅100万円となり非課税となっている。税制改正前は金は300万円だった。金メダルの野球は24選手が対象となり計1億2000万円は過去最大額という。

米国経済誌『フォーブス』によると、今回の東京オリンピック金メダリスト報奨金における世界最高額は、シンガポールの73万8000ドル(約8040万円)となっており、アジア諸国の一部でも約6000~7000万円台、欧州は約2000万円台となっているという。米国は3万7500ドル(約409万円)とさらに低い。もっとも、日本や米国は競技団体や所属企業・スポンサーなどからの報奨金が比較的大きいため、トータルでみれば一概に低いというわけでもない。

日本での競技団体からの報奨金は、競技によって違いがあり、金メダルでみると陸上・ゴルフの2000万円が最高額とされる。卓球・バドミントンなどでも1000万円だ。快進撃で惜しくも米国に敗れた銀メダルとなった女子バスケットボールでは、従来では銀300万円だったが、その健闘ぶりを評価。金に届かなかった分の1万円を引いた499万円への増額が検討されている。ちなみにJOC、競技団体の報奨金は計500万円以上は課税対象になる。

逆に予算的に体力のない団体は、報奨金なしという場合もある。男女団体合わせて金9個、銀2個、銅1個のメダルを獲得した柔道に関しては、次世代の強化選手育成に予算を多く投じるために無報酬となっているという。また、JOCからの報奨金がない、監督やコーチらに競技団体から報奨金が贈られる場合もある。

珍しい例では、女子ゴルフ銀の稲見萌寧が男女通して日本勢ゴルフ競技初のメダリストになったことで、日本女子プロゴルフ協会(と日本ゴルフ協会)が報奨金1000万円に加えて、国内ツアー5年シード権を付与した。通常ツアーの優勝賞金の方が高額なゴルフにおいては、こうした付加価値のある報酬は意義があるのだろう。韓国の男子メダル獲得者に対して与えられる事実上の兵役免除もこうした例に当てはまる。
こういった報奨金以外の「報酬」は、所属先やスポンサーから贈られることが多い。
 

所属企業・スポンサーからは報奨金だけでなく報奨品も

所属企業やスポンサーからの報奨金は一時所得として課税対象になるが、その分金額も大きいケースがある。2004年アテネ五輪の女子柔道金メダルの谷亮子には所属先のトヨタ自動車から1億円が贈られた。今回の東京五輪金メダリストの中でも、フェンシング男子エペ団体金の見延和靖が所属先のネクサス(アミューズメント事業)から報奨金1億円を贈られ、「緊張とは違う体の震えを感じている」と話した。

野球の侍ジャパンに関しては、JOCの金メダル1000万円分にプラスして運営事業会社から同等の金額が各選手に贈られるという。こちらは監督やコーチも含まれるようだ。

報奨金ではない形で「報奨品」が贈られることもある。卓球女子団体銀メダリストの石川佳純は、所属先の全農から米100俵(約6トン)と各地の特産品が贈られる。リオデジャネイロ五輪の女子団体銅獲得時も100俵に加え、直営レストランの食べ放題サービスも贈られており、これらも今回延長されるという。ちなみに全農は石川佳純監修のカレーと牛丼を販売しているが、公式オンラインショップではカレーは注文できるものの、牛丼は完売しており、8月末から再販予定だという。現在JAタウン公式Twitterでは、そのカレーと牛丼が当たるキャンペーン中だ。

国外になるが、中国では、金メダリストに高級車(約630万円)や高級マンション(約8000万円)などが贈られるという報道もあった。一部の国や地域においては、誤解を恐れずに言えば、五輪メダリストはあらゆる意味で身元が保証されるということなのだろう。

選手以外にも恩恵があったケースといえば、競泳の大橋悠依は、女子400メートル個人メドレーと女子200メートル個人メドレーで金メダルを2個獲得したが、所属先のイトマン東進(株式会社イトマンスイミングスクール)にとって創業49年目にして初の金メダリスト輩出となり、大橋への報奨金とは別に、全社員に一律10万円、総額3200万円の臨時ボーナスが振る舞われたという。
 

自治体からの栄誉賞も

2000年シドニー五輪の女子マラソン金メダリスト、高橋尚子さんが贈られた国民栄誉賞を筆頭に、行政や自治体から贈られる賞も報奨品に含まれるだろう。記念品と金一封が副賞として授与されるが、2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪の金メダリスト・羽生結弦は東日本大震災の被災者への配慮から個人として受けるべきではないという理由で副賞を辞退したことでも知られる。

今回の東京五輪では、これまで金メダリスト未輩出だった鳥取県は、ボクシング女子フェザー級金の入江聖奈にスポーツ最高栄冠賞を創設し第1号として贈呈予定。もうひとつの沖縄県は、空手男子形・金の喜友名諒とさらにレスリンググレコローマン77キロ級銅メダリストの屋比久翔平に県民栄誉賞を贈呈を検討している。自治体の栄誉賞でも、記念品及び金一封が贈られることが多い。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。